11月9日の金曜日のアメリカ市場では、市場が引ける前にたばこ株が急落しました。
アルトリアグループの2日チャートです。−2.98%の下落です。
(出典:SBI証券HP。以下同じ)
続いて、ブリティッシュ・アメリカン・タバコです。
こちらは−4.24%と下げ幅がMOよりも酷いです。
今回の大幅下落でついに配当利回りは、6.34%まで上昇しました。税引き後でも配当利回り5%オーバーという信じ難い株価です。
下落の理由は、アメリカのウォールストリートジャーナルが、アメリカのたばこ規制当局であるアメリカ食品医薬品局(FDA)の幹部がまだ非公式の情報としながらもメンソールシガレット製品の販売禁止の規制を検討しているという情報を報じたためです。
メンソールとは、ハッカやミントに含まれているガムとかにもよく含まれているスースーするやつです。このメンソールが入った紙巻たばこの販売禁止を検討しているということです。
これも未成年が電子たばこに夢中になってけしからんと電子たばこ規制を実施するのと理由は重なるところがありますが、若年層が中心となってメンソール製品に訴求されている状況が好ましくないという理由のようです。
ウォールストリートジャーナルの記事によれば、メンソール禁止のルール策定には少なくとも1年以上はかかり、策定したルールを実際に施行するにはさらに数年はかかるということなので、定番のフレーズを使用すれば、今回の規制が仮に施行に向かって動き出しても時間的な猶予があることから、「直ちに業績に影響が生じるものではない」というところでしょうか。
業績悪化の懸念と今後の不確定性を嫌って株価が下落している状況だと思われます。
しかし、誰がこんなに売っているんでしょうか。定期的に当局の規制検討報道で懸念が生じるというのは、この業界の銘柄には織り込み済みの事象と思うのですが。
なぜBTIの株価はMOよりも激しく下落したのか?
BTIはもう泣きっ面に蜂のような株価の下落具合ですが、今回のFDAの規制の報道で、最も下落したたばこ銘柄です。
アメリカ国内で事業を実施していないフィリップモリス(PM)は、直接に規制の影響を受けないのでわずか0.3%の下落で済んでいます。
こう考えるとたばこ銘柄の中でも分散効果が発揮される場面がありますね。
これで月曜日に同じくアメリカ国内で事業展開していないJTが3%とか下げたら一体何なんだという話になりそうです・・。
BTIが最も下落したのは、製品ポートフォリオの構成に理由があります。
BTIが持つ「Newport」というブランドが、アメリカのメンソール市場ではNo.1の地位にあります。Newportは、正確にはBTIのアメリカ子会社のレイノルズ・アメリカンが2015年にロリラード社から取得したブランドです。
BTIは、MOよりもメンソールたばこが自社製品の売上高に占める割合が大きいのです。
2017年では、BTIのアメリカ市場における紙巻たばこの売上高の実に55%がメンソール製品が占めていました。対してアルトリアグループは、20%ほどです。
そのため、強力なメンソールブランドを持ち売上高へのダメージの大きいBTIの業績への懸念が大きかったというわけです。
仮にメンソール入りの紙巻たばこが規制されても他のたばこ製品に移行するだけのような気がします。
たばこ製品を完全に規制するとFDAのたばこ規制担当者が失業してしまうのでその意味では規制側と被規制側は運命共同体です。僕が規制担当者だったら面倒くさいので適当に業界と忖度してほどほどのでも最低限アメリカ国民に対してちゃんと税金を使ったたばこ規制の仕事はしていますとアピールはできる程度の規制を定期的に小出しにして平和に過ごしていくと思いますが、FDAがそういう担当者ばかりになると良いです。
しかし6%を超える配当利回りは魅力的です。増配も続いていくでしょう。2018年はBTIをナンピン買いして終わる年になるかもしれません。
お世話になっております。
私もBTIを保有しており、泣きそうです。
ただ将来的に減配さえしなければいいかなと思っております。
また管理人様は文末にてBTIの増配が続くと想定されていますが、
そう思われる理由をお聞かせ願えないでしょうか?
正直、減配を織り込んだ株価の下がり方をしていると思いました。
お手すきの際にでも、返答頂ければ幸いです。
コメントありがとうございます。
私はMO, PM, BTI, JTと保有するたばこ銘柄がすべて含み損で、悲哀漂っております。
詳細な財務分析を行ってお役に立てるお答えをする能力が私にはないのが大変恐縮ですが、FDAの規制が実行に移されるまでは、規制案の策定に1年、その施行まで1年と、最短で2年です。
私は、007を生んだ世界最高の諜報機能を持つ英国の企業が、どうしてもこの規制を指をくわえてみすみす短期間で施行に移すのを見ているだけとは思えません。
何らかの手を尽くして、規制の施行を遅らせるか、優秀な経営陣が何らかの対策を講じるのではと思っております。
経営陣も、EUとカナダではメンソール規制がすでに導入予定であったことから今回の規制は想定していた事態ではないのかと思います。
また、ニコチンがある限りメンソールが規制されてもたばこを吸う人は吸うので、全体の需要は基本的には変わらないと思っています。そのため、BTIのメンソール製品からMOのマルボロにユーザーが移転したとして、たとえBTIが5%減配してもMOが10%増配してたばこ銘柄で分散すれば全体では増配を維持できるのではと考えております。
愚見失礼いたしました。