共働き世帯のが専業主婦世帯より多いとするのは間違い/ 専業主婦モデルが今も健在な日本

日本は高度経済成長期から外で働く猛烈サラリーマンの夫と外では働かない専業主婦と子供という核家族家庭が典型的な家族像となり、国の様々な制度も働く夫と専業主婦という専業主婦モデルを前提に作られています。

それが高度経済成長が終焉し、共働き家庭が年々増加した結果、専業主婦家庭よりも共働き家庭の数のが多くなったと聞いて久しいです。

会社勤めをしていると共働きで時短勤務の女性もいますが、子供を幼稚園に入れると、周りは専業主婦家庭ばかりになります。

もともと幼稚園は専業主婦家庭を前提にしていますので似たような専業主婦家庭ばかりになるのは当たり前で、妻が正社員で忙しく働く世帯は保育園に入れるケースがほとんどだと思われます。

そのため、うちの子供は幼稚園に行っているので必然的に付き合いのできる家庭は母親が正社員で働いていない専業主婦家庭ばかりとなります。

平和なものです。

平日昼間に専業主婦同士でヨガに行ったり、幼稚園のPTAの同じ係でランチをしたり。あるべき日本の姿だと思います。

自分が育った家庭も母親が専業主婦で、周りの仲が良かった友達の家もほとんど専業主婦家庭だったことに加え、このように自分が親になってからも周りが専業主婦世帯ばかりなので、共働き家庭の方が専業主婦家庭よりもずっと多いという統計にどうも違和感をずっと持っていました。

そんな中、最近その違和感が解消される出来事がありました。

それは、現在でも日本は専業主婦家庭モデルが健在であり、共働き家庭のほうが専業主婦家庭よりも多いというのは間違っているという統計結果を目にしたからです。

厳密には言葉の定義の問題なので、間違っているとまでは断定できませんが、「専業主婦」という言葉の定義をもう少しゆるく考えると、今でも専業主婦世帯が共働き世帯を上回る日本の姿を見ることができます。

厚労省が出している、専業主婦世帯と共働き世帯の推移を表したグラフが下のもです。

このグラフを見ると、専業主婦世帯の数が年々減少し、反対に共働き世帯の数が年々増加し、90年代半ばには共働き世帯数のほうが多くなり、その差はますます拡大している様が見て取れます。

何かにつけて日本は共働き世帯のが優勢であることを根拠付ける時によく引用されるグラフです。

ただ、ここで注目して欲しいのは、このグラフの「専業主婦世帯」の定義です。

何事も言葉の正確な定義を抑える所から議論はスタートします。

この資料によると、「専業主婦世帯」とは、「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」(夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者))を指しています。

つまり妻は無職、完全失業者の世帯であり、月3万円稼いでいるパート主婦はここから除かれているんです。

妻が正社員じゃなくても1円でもパートで稼いでいれば専業主婦世帯ではなくて「共働き世帯」にカウントされます。

「貧困専業主婦」 (新潮選書 周 燕飛 著)によると、メインの活動は家事や育児で、その傍らでパートをして仕事をしている「準専業主婦」層を専業主婦としてカウントすると、その数は全体(15~65歳)の63%を占めており、共働き世帯の数を上回っているということです(数字は2015年国勢調査より算出)。

さらにこれを6歳未満の子供のいる家庭に限ると、専業主婦の女性と準専業主婦の女性がそれぞれ全体の51%と23%を占める結果となります。

この層に限れば完全無職の専業主婦の完全体が過半数であり、74%は完全無職の専業主婦か、空いた時間で夫の扶養の範囲でお小遣い稼ぎをするパート主婦です。

こうなると、いわゆるキャリウーマンというか、正社員としてバリバリ働く女性は4人に1人の割合となり、マイノリティー集団となります。

こうした実態が見えてくると、実感値にも合ってきます。

日本は現在でも専業主婦モデルは元気に健在です。

ちびまるこちゃん、ドラえもん、クレヨンしんちゃんといった国民的アニメがみんな専業主婦モデルで古くて今の日本の実態に合っていないという謎のクレームがありますが、とんでもない、日本は専業主婦世帯のが現在でもマジョリティーなのですから、的外れな批判です。

例えば映画やドラマなどで夫が自衛隊とか消防士とかで命を賭けて闘っている時にピンチとなりもしかしてこれが最期かもしれないとスマホに格納してある妻子の写真を見つめるとします。その後ふと場面が夫から同時刻の銃後の妻に切り替わるとします。その場面で出てくる妻は、いじらしく可憐に健気に一途に夫の安否を心配しながら幼い子供を抱え平和に僕が守りたいこの世界で過ごしている絵か、ふと胸騒ぎを感じて君と同じ空の下繋がっている空を不安げに見上げるシーンでしょう。

これが妻がキャリアウーマンで、夫がピンチの同時刻にバリバリと企業の法務部で分厚い英文契約書をレビューしていたり、会社の次期5か年計画を取締役会でプレゼンしている最中で夫のことなど1ミリも頭にない仕事に全集中という状態だったらもう映画にならんでしょう。

ニュースとかで日本は共働き世帯のほうが数が多いという話を聞くと、イメージとしては正社員でバリバリ働いている妻のいる家庭のほうが数が多いというイメージを抱くのですが、そうではないのですね。

キーとなってくるのはパート主婦を専業主婦世帯と共働き世帯のどちらに入れるかです。

周りにキャリア主婦の数が少ないことに合点がいきました。

もう死語になった感がありますが、「女性の活躍」という風潮に負けずに、これからも専業主婦モデルが維持される国体であることを願います。

恩恵を受ける主体や主語が「女性」だと世の中何もつっこまれませんが、「男性の活躍」なんて言葉が出たらみんな気持ち悪いと思うんではないでしょうか。

「貧困専業主婦」によれば、パートタイムではなく正社員として労働市場に本格的にコミットしているキャリア女性の主婦は、3人に1人程度しかいません。

大半の主婦は、完全な専業主婦とパート主婦の間を行き来しているというのが実態であり、キャリア主婦は70~80年代も現在も少数派です。

専業主婦のが数が少ないというのは、フェイクニュースです。