東大法学部卒30代弁護士は食べていけるのか?【弁護士は儲からないというのは本当なのか?】

ロースクールができて新司法試験が始まり、旧司法試験時代と比較して法曹になる門戸が緩やかになった結果、弁護士の数が急激に増加しました。

弁護士といえば日本では昔から医者と並ぶ高年収が期待できる高ステータス的職業ですが、弁護士の数が増えて業界での競争が激しくなってからは、巷の記事では、「もう弁護士は食えない」とか「弁護士会費を払うのも苦しい」とか苦境に苦しむ弁護士の姿が紹介されることが多いです。

弁護士の平均年収も年々低下しており、もはや高年収の職業ではないという論調も見受けられます。

一面では真実なのかもしれませんが、周りで弁護士をしている人を見ていると違和感しかありません。

本当のところ実際はどうなのでしょうか?

弁護士になっている同級生のケースで実態を見てみます。

なおここで登場する弁護士はみな東大法学部卒あるいは東大ロースクール卒の30代です。

なので厳密にいえば「30代の東大法学部卒弁護士は食べていけるのか?」という命題について書いていきます。弁護士一般がどうなのかはよくわかりません。

まず結論から述べます。

知り合いの同期で弁護士になって食べていけてない人は1人もいません。

東大法学部、東大ロースクールを卒業して弁護士になった知り合いで、メディアの記事のように苦しんでいる人はいません。

東大法学部卒弁護士になりたい人は安心してください。

弁護士になって「イソ弁」せずにすぐ独立した進取の精神あふれる同級生に聞いたところ「今は弁護士業界も好況」ということです。

知り合いの弁護士を、所属によって4つのケースに分けます。

  1. いわゆる「4大弁護士事務所」(日本の弁護士業界のビッグ4の巨大法律事務所です。会計業界の「4大事務所」と同じようなイメージ)に入った人
  2. 中堅弁護士事務所に入った人
  3. 1人や2人の事務所など、独立又は少人数での事務所に入った人
  4. 企業内弁護士となった人

前提としてですが、よくテレビや映画で出てくる弁護士は、離婚とか刑事弁護を扱うパターンが多いですが、東大法学部卒弁護士の多数派はそのような事件を扱う事務所には行きません。

彼らは、「企業法務」を扱う大きな法律事務所に行きます。企業法務とは、個人相手の一般民事ではなく企業相手の案件を専門に扱う分野です。

例えばトヨタ自動車のM&Aとか、ソニーのストックオプション対応とか、巨大企業の破産案件とか、UFJ銀行の金融法務とか、会社が活動する上で生じる法的問題を解決する案件です。

つまりお金が大きく動いて儲かるキラキラした案件ということです。

なので、この記事でサンプルになっている弁護士も基本はみな企業法務、会社法務の領域で働いている人が多いです。大手の事務所ほどそうです。

それでは、1のケースから述べていきます。

超大手法律事務所勤務の場合

このケースの人は、数百人を抱える超一流の弁護士事務所です。弁護士階級の中でもトップエリートです。

日本の多くの大企業の顧問先であり、会社法務の実務を支えている集団です。日経新聞の1面に出る案件を担当して誇りを感じることもしばしば、のようです。

僕も会社の法務部員で弁護士事務所に案件を依頼することがありますが、4大事務所はフィーも高いもののその分クオリティも抜群です。東大法学部卒弁護士の最上位層、準最上位層が行くところなので、それもそのはずです。

もし自分が法務部長になって権力を持ったら、4大に行っている同級生と癒着する構想を練っています。

この層は、食べていけない額の給料しかもらえないなんてことはありえません。

ある同級生は初任給から1000万超えの額をもらっており、3年目には1500万になっていました。

この層には年収を聞くとかつての同級生と自分の処遇との格差に人生とは何なのだろうかと胸が痛くなるので、聞かないようにします。東大法学部卒業生の卒業後格差は凄まじいですね。

ということで、余裕で食べていけます。

続いて、2の中堅弁護士事務所に入った人のケースです。

中堅法律事務所の場合

中堅とはどのくらいの規模なのかということですが、5人~30人くらいとします。アバウトですいません。

先に述べた4大事務所はまさに大手の総合デパートのようなイメージで、企業法務全分野に全般的に対応しますが、この規模の事務所は、景表法に強いとか、個人情報に強いとか、特定の法分野に強みを持っている事務所も多いです。

普通に世間のサラリーマンよりは高給で、食べていけます。以上。

続いて、3のケースです。独立した人かそれに近い人です。

独立・少人数事務所の場合

独立すると、なかなか食べていけないイメージがありますが、周りを見ているとそうでもありません。

このケースに該当する知り合いは3人いますが、1人は営業好きでどんどん自分から自分を売って案件をとれる人で、商売大繁盛。

もう1人は奥さんも弁護士という弁護士カップルで、夫婦で事務所を運営しています。

夫のほうは英語ペラペラで、初年度年収余裕で1000万超の外資系法律事務所に入りましたが、あまりのブラック労働ぶりに疲弊して1年で辞め、独立しました。

当時ボス弁護士からは、一回企業法務から離れるともう同じような仕事はできないと言われたそうですが、今のがずっと楽しそうです。

中小企業から顧問を依頼され、適度に忙しそうに仕事をし、順調そうです。というか奥さん弁護士だったら僕絶対働かない。

最後の1人は、友達と独立して2人で事務所をしています。奥さんは専業主婦で子どももいて僕より高い家賃のマンションに住んでいるので、普通に生活できています。

独立か少人数で事務所をやっている人も、みな十分かそれ以上で食べていけます。

最後に、4番目のパターンの企業内弁護士となったケースです。

企業内弁護士の場合

このパターンは、最近比率が上がっています。

初めから企業に就職するというケースもありますが、周りを見ているとそれよりは弁護士事務所での勤務に心身共に疲弊して企業就職へと転進するというケースが多いです。

例えば、先に述べた弁護士の最高峰である4大事務所のいずれかに就職して初年度年収が1200万だとしても、ブラック企業以上の激務がまっています。

終電で帰れるわけもなく、朝の4時、5時まで仕事をし当然土日もないという生活です。ソルジャークラスファーストなわけです。

これに普通に耐える人も多いですが、人間って何なのだろうと疑問を持ち人間的生活を希求する人もいます。

また、4大事務所はまさに会社と同じような組織なので、上司との人間関係といったサラリーマン的な理由で嫌になることもあります。

そういった弁護士事務所にネガティブな感情を抱いて、ワークワイフバランスが優れている大企業の法務部員として中途入社で入る人もいます。

4大事務所から、三菱商事やサントリーやUFJの法務部に移るといった転職です。

また、例えば5人しかいない小規模の弁護士事務所に入ると、企業のように異動もないし、ボス弁護士との人間関係・相性がすべてなわけです。

そしてだいたいパワハラで頭おかしいボス弁に嫌気がさして、辞めます。

小規模事務所に入った知り合いは、みんなボスとの人間関係で事務所を辞めています。結局どこにいってもヒト科生物がいる限りは人間関係なんです。

小規模事務所を辞めると、転職先は限られます。大規模事務所だったら、その後中規模事務所に移れたりしますが、小規模事務所だとそれより大きな事務所への転職はなかなか難しいです。

なので、企業へと行くパターンもあります。また、中小規模の事務所だと、大規模事務所と比べて年収は低いです。そのため、いわゆる大企業にもし就職できれば、年収はUPする、人間関係もラク、早く帰れるとなっていいことだらけ、というパターンもあったりするようです。

ただ実際は、小規模事務所だと大手企業の会社法務案件を経験できるケースも少ないので、経験が足らず大企業に転職するというのもなかなか難しいようです。

長くなりましたが、企業内弁護士は身分は会社員ですので、同じ企業の会社員と同じように企業の給与体系によって年収は決まります。

資格があっても特別扱いのない企業が多いですが、資格手当で年数十万~100万とか手当が出る企業もあったりします。

みな大企業か年収の高い新興企業に勤めていますので、サラリーマンの平均よりお金はもらっており、食うに困ることはありません。

「弁護士業界に異常事態!40歳東大法学部卒弁護士が年収300万の悲劇!」、「弁護士余りが深刻化!くたばれロースクール!弁護士資格なんてもういらない~多大な奨学金ローンを抱え無職となった東大法学部卒の元・弁護士の嘆き~」といったアクセス数を稼げるショッキングな週刊誌的な記事が書けず、書いていても読んでいてもつまらない記事になりました。

自分のまわりの同級生の現状を踏まえると、「東大法学部卒の30代の弁護士の圧倒的大多数は、サラリーマンの平均給与を上回るお金を稼いでおり、食うに困っているという状況では全然ない」となります。

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