スマホ用半導体の大手クアルコム(Qualcomm)が、160億ドル(約1兆7600億円)の自社株買いを発表しました。
期間は2019年までを想定しています。
この自社株買い発表を受けて、株価は大きく上昇しています。
クアルコムによる車載半導体大手NXPセミコンダクターズの買収が不成立となったことから、資金を株主還元に向けたことになります。
NXPセミコンダクターズの買収を断念
クアルコムは、オランダの会社であるNXPセミコンダクターズを440億ドル(約4兆8400億円)で買収する計画を断念しました。
買収の成立には独禁法絡みで中国の独占禁止法当局の承認が必要であったものの、中国当局からの承認がクアルコムとNXPセミコンダクターズの契約で定めた期限である2018年7月26日午前0時までに得られなかったことが原因です。
中国以外にアメリカと欧州など8つの独禁法当局の買収承認も必要であったのですが、これらの承認は得ていました。
中国当局がクアルコムの買収を認めなかった原因は明らかではありませんが、背後には加熱する米中貿易戦争が影響しているのではないかと言われています。
買収不成立により、クアルコムはNXPセミコンダクターズに違約金として20億ドル(約2200億円)を支払うことになります。
クアルコムは、スマーフォン向けの半導体チップメーカー最大手で、自動車用の半導体大手であるNXPを買収することでスマホ半導体事業の一本足打法から別分野への進出を目指し、成長する自動車用半導体市場に本格進出しようとしていました。電気自動車への移行や自動運転技術の導入で、自動車業界の半導体需要は伸びることが予想されています。
Appleと特許訴訟等で激しく法廷合戦
時価総額1兆ドルの企業と激しく訴訟合戦を展開中です。2017年にアップルから、スマホ向け半導体の独占的地位を乱用しているとして違法なロイヤルティーの支払いには応じられないと訴えられました。クアルコムは、携帯用の半導体チップで市場を独占していました。クアルコム製の半導体チップ搭載の対価であるロイヤルティーが高すぎるということです。
その後も、互いに別の理由で提訴や逆提訴を繰り返しており、泥沼化の法廷合戦となっています。
なおインテルとサムスンもアップル側について訴訟参加しているという状況です。
もはやアップルからライセンス料も支払われていない状況ですが、訴訟がクアルコムに有利に進むとポジティブサプライズになると思います。
今秋発売の新型iPhoneからはクアルコムのLTEモデムチップは採用されない見込みです。代わりに競合のインテルのチップが採用されるようです。これは、クアルコムの2018年第2四半期決算で、同社のCFOが述べています。
ただ、旧型のiPhoneには変わらずクアルコム製のチップは使用され、供給は続いていくということです。
クアルコム製のチップが優れているんだから、もういっそアップルはクアルコム買収したらいかがでしょうか。
クアルコムに投資した時期
2017年の初めころに投資しています。当時配当利回りが4%を超えており、スマホ向け半導体の独占的企業という中二心惹かれる事業内容に魅力を感じて投資しています。
配当利回りが高いということはリスク要因もそれだけあったということですので、現在まで株価は上下を繰り返しており買値より下に行ったこともありましたが、今の瞬間だけ切り取って見れば、買値から40%近く上昇している、マイ銘柄では稀有な銘柄の1つです。
チャートだけ見るとレンジの上限に来ているので、一旦利食いが入るかタイミングよくバッドニュースが出て突如急落して調整しそうではあります。
2年チャートです。
(出典:SBI証券HP)
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