世界No.1のたばこメーカーを目指すJTが株主優待制度を存続させる理由がわからない

11月26日にJTが、「株主優待制度の変更に関するお知らせ」というプレスリリースを出しました。

2019年12月31日現在の株主名簿に記載または記録された株主から、変更後の新制度を適用することになります。

現行の株主優待制度と変更後の株主優待制度は以下となります。

【現行制度】
割当基準日 コース 保有株式数 継続保有期間 優待内容
6月30日、

12月31日(年2回)

Aコース 100株以上200株未満 1000円相当の当社グループ商品または相当額の寄付
Bコース 200株以上1000株未満 2000円相当の当社グループ商品または相当額の寄付
Cコース 1000株以上2000株未満 3000円相当の当社グループ商品または相当額の寄付
Dコース 2000株以上 6000円相当の当社グループ商品または相当額の寄付
【新制度(変更点は青字部分)】
割当基準日 コース 保有株式数 継続保有期間 優待内容
12月31日(年1回) Aコース 100株以上200株未満 1年以上 2500円相当の当社グループ商品または相当額の寄付
Bコース 200株以上1000株未満 1年以上 4500円相当の当社グループ商品または相当額の寄付
Cコース 1000株以上2000株未満 1年以上 7000円相当の当社グループ商品または相当額の寄付
Dコース 2000株以上 1年以上 13500円相当の当社グループ商品または相当額の寄付

変更前と変更後の違いは下のようになります。

  1. これまで年2回優待をもらえたのが、年1回に変更される
  2. これまで株式の継続保有条件はなかったが、1年以上株式を保有していることが条件となる
  3. 優待でもらえる商品の金額は全てのコースでアップする

JTの株主優待制度変更の理由

プレスリリースには、変更の理由として次のようなあっさりした記載があります。

今後とも当社株式を中長期的に保有していただき、より一層のご支援をいただきたいとの考えから

1年以上株主でいないと株主優待をもらえないという点は株式の長期保有を促進しているといえると思いますが、僕はなぜこの企業が株主優待を廃止しないのかよくわかりません。

ご存知のように、株主優待制度というものは日本独自の制度で、アメリカなど主要国の株式市場では見られません。

配当金で1000円もらうよりクオカードや商品券、食べ物という形で1000円分もらった方がお得だという考えの人がこの国には多いことから日本だけで存続している制度です。

適当に優待つけとけば情弱な個人株主が株買ってくれるだろうという会社側の思惑に個人がのっかって株を買ってしまうものだから他の企業もなんかうちもやらないといけない空気になってとりあえずやっとくかと伝播して広まっている謎の制度です。

僕は優待分を配当金の増配に使って欲しいです。

外国から見れば日本の株主のリテラシーの低さの象徴的な制度だと思われます。

JTは、日本企業の中でもいちはやく会計制度を国際財務報告基準(IFRS)に移行し、決算期間を日本独自の4月〜3月ではなく海外標準の1月〜12月に変更したりと、日本国内の枠組みではなく世界基準の枠組みで会社を評価してもらうとする姿勢をとても感じる国際企業です。

つまり、こういった世界標準の基準に自社を合わせることで、世界の投資家に対して、競合であるフィリップモリス(PM)やブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)と同じ基準、土俵の上で評価してくれと言っているわけです(多分そういうことだと思います)。

しかもJTのHPを見てみると、「世界NO.1のたばこ会社」を目指しているとの記載があります。

そんな国際志向の高いJTが、なぜ日本にしかない株主優待制度を未だ存続させるのか、大いなる矛盾を感じざるを得ません。

証券会社に弱みでも握られているのであろうか。

しかももう飲料事業をサントリーに譲渡してしまったので、優待制度で送られてくるJTグループの食品がしょぼすぎて全く楽しみじゃないのです。

世界標準に追いつくために、何の魅力もない株主優待(本当に送られてくる商品が残念)を廃止して、廃止した分をそのまま配当金の増額に使って欲しいです。

機関投資家は喜んで株価は上がると思います。



1 個のコメント

  • 最近夫婦でJT株を買い増した高齢者です。
    2200万円ほどの出資で、154万円の年金がもらえるのが魅力です。
    20年くらいの生存予測期間、減配がないように祈っています。
    2020年2200万円投資、年間配当154万円、2039年半額1100万円で売却で、
    計算するIRRは年率6%で、手間暇を考えると不動産投資より楽です。
    一部はNISA対象とすることも可能です。
    国民年金を40年も積み立てるよりずっと効率の良い年金です。

    株主優待は減配より前に廃止されるでしょうから、
    優待があるということは安心材料でもあります。
    タバコという分かりやすい衰退業界だけに株価に大きな波はないでしょう。
    衰退といっても、何があっても吸いたい人口は一定数存在します。
    タバコの販売個数が減少しても、単価が上がるので売り上げは微減でしょう。
    国の株式保有割合が大きいのも安心感があります。

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