仕事中にブルームバーグの記事を見ていたら、気になる記事がありました。
「世紀の空売り」に登場するマイケル・バーリが、近年のインデックスファンドへの大量の資金流入を懸念しているという内容です。
「世紀の空売り」は、イケル・ルイスの著作で、マイケル・バーリはリーマンショック前にCDOを空売りして大儲けした投資家として登場します。同作を基にした映画「ビッグ・ショート」だとクリスチャン・ベイルが演じている役だと思います。
99%の人にとっては、最も合理的な投資方法はアメリカS&P500に連動するインデックスファンドに投資することという最適解が出ています。
統計的に、世の中のほとんどのアクティブファンド(市場平均を超える運用成績を目指すインデックスファンド以外のファンドです)は、インデックスファンドの運用成績に劣ることがわかっています。
だとすれば、わざわざ高い手数料を取られて市場平均にも完敗するアクティブファンドに投資する道理はありません。
低い手数料で市場平均の成長率の恩恵を受けられるインデックスファンドに投資するのが合理的です。
ウォーレン・バフェットも、自分の妻に対して自分の死後はS&P500に連動するインデックス投資をするよう言っています。
自分で銘柄分析なんて面倒くさいこともする必要はなく、ひたすらインデックスに投資すれば年率7%(アメリカ株の過去の統計的な成長率)の成長が期待できるので、素人投資家には本当に楽な投資方法です。
しかしながら、インデックスファンドがアクティブファンドに優位であるというのが公知となり多くの投資家がそれに追随すると、誰もアクティブファンドへ投資しなくなり、インデックスファンドへの投資資金が膨らむ一方となりインデックスファンドへの投資バブルが発生してしまいます。
そうなると、インデックスファンドに含まれている銘柄はその銘柄の実力以上に買われることになりますので、常に投資妙味のない割高な状態となり、将来の運用リターンの期待値も下げることとなります。
インデックスファンドの優位性は、アクティブファンドへ投資している愚者がいるからこそ成立するのです。
マイケル・バーリは、インデックスファンドへの大量の資金流入は、リーマンショック前のCDO(債務担保証券)のバブルと近似性があると言及しています。
投資初心者や素人が、無批判に「アメリカ株のインデックスファンドに投資さえしていれば老後資金は大丈夫」という風潮や行動がどんどん加速してくると、インデックスファンドへの投資がいよいよ危険性をはらんできそうです。
もっとも、みんながインデックスファンドへ投資するならば、インデックスに含まれない銘柄や中小銘柄への資金流入が抑制され割安に放置されることで市場の歪みが生じ、これらの銘柄への投資妙味が増したり、また逆にアクティブファンドへの投資が合理性を持つものとなる可能性もあるでしょう。
投資ではバカの1つ覚えの必勝法などないので、インデックス投資をする人が増えれば増えるほど、「とりあえずアメリカ株インデックス投資しとけば良い」という神話も崩れてくるのかもしれません。