AIによる間接部門への侵攻作戦発動せり

僕は仕事で取引先との契約書の作成やチェック、サービスの規約の確認をしています。

世の中は契約書に溢れています。皆さんも家を借りるときの賃貸借契約とか、家を買うときの売買契約、銀行からのお金の借入の消費貸借契約、スマホでアプリをダウンロードするときのアプリの利用規約、グーグル先生やヤフーメールの機能を使用するときの誰も読まない膨大な規約への合意など、いちいち読む人はいないと思いますが、たくさんの契約をした経験があると思います。証券会社の口座開設のためいろんな電子書類に合意していますが、あれももちろん立派な契約です。

契約とはそれに違反したときに、法という国家の強制力を用いて契約の履行を強制したり、損害賠償という補填措置を求めることができる点で、日常生活の「約束」とは異なります。

片思いしていた憧れのあの子との初めての食事をすっぽかされても、彼の人に対して食事に来いと法の強制力を用いることはできません。それは契約ではなく単なる約束に過ぎないからです。

僕は仕事なので業務では何度も繰り返し担当者も全く読まない契約書を一人黙々と読み込みます(自分しか読んでいないと思うとたびたび虚しくなります)が、私生活ではほとんどスルーパスです。

なぜなら、企業対企業の取引では、契約書の内容を交渉で変えられますが、企業対私人の契約では、企業が雛形を変えるなどあり得ないからです。そのため、読むだけ時間の無駄というわけです。

前置きが長くなりましたが、そのような誰も読まない契約書を企業内で唯一、一言一言細かく重箱の隅をつつくような姿勢で読む部門が僕の所属する法務部門です。

先日、ある間接部門の定型業務をAIに代替させるサービスの導入契約書の確認をしてほしいという依頼があり、対応しました。

日本の大手ベンダーの系列会社によるサービスなのですが、普段ニュースや経済誌で盛んに取り上げられるAIによる人間業務の代替というのに初めて具体的に触れた瞬間であり、自部門の業務ではなくまだサービスとしては導入・初期フェーズなので、規模は小さいのですが、ああこれは波が大きくなるのはもう時間の問題かもしれないなと感じざるを得ませんでした。

感覚ですが、僕の会社は割とその後業界的に主要サービスとなるものを早い段階で導入することがあり、このAIサービスもこれから多くの企業に広がりそうな雰囲気を感じたので、投資したくなりました。

ベンダーは日本企業なのですが、このAIを果たして独自開発したのか、あるいはアメリカ大手IT企業が開発したものをライセンスを受けて商売しているのか非常に気になりました(IBMだと嬉しいけどそんなわけないかな)ので、担当者にちょっと聞いてみようかな。

AIで仕事を奪われても、奪われたAIを扱う企業の株主でいたいです。



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