天下国家を語る警察官僚の結婚式スピーチに、微かな人生の後悔を覚えた

先日、警察庁で働く同級生の結婚式に行ってきました。

結婚相手も東大の卒業生で、大手の金融機関で働いている人でした。

警察官僚×大手金融ウーマンというパワーカップルです。

警察庁は、入庁後に月単位か年単位かで警察学校でかなり体育会系の研修を受けるらしく、新郎は初めはこれにへばって脱走したいと言っていましたが、今や警察行政の中枢で頼もしく働いています。

かつての同級生と今の自分の仕事内容とを比べると空嘘な気持ちになることは否定しきれませんが、頑張って自己肯定して生きています。

長きにわたるきつい研修によって同期の絆も強くなるようで、結束の強い同期による催しも警察らしく?声高に威勢良く整列して走ったり応援団のように声を張り上げるものでした。

結婚式の新郎の上司のスピーチがカッコよすぎて惚れそうになったので、紹介したいと思います。

よどみのない誠実でストレートなスピーチで、こんな上司の下で働けて新郎は恵まれてるなあと思わせるような人でした。

これが弁護士の同級生の結婚式のスピーチだと、まずはタイムチャージ5万は優に超えるであろう自分大好きなパートナー弁護士による誰も興味のない自分の弁護士事務所の長い紹介から入るのがパターンなので、際立ったかっこよさでした。

民より官、ここにあり。

ここから仮に、新婦の名前を「まゆみさん」とします。

彼曰く、警察官僚というものは、どうも青臭いままなことが多く、いつまでも天下国家を議論しがちだとか。しかし、時にそのような天下国家論というのは、抽象的で中身のない空虚なものに陥りがちである。もっとも、今日この日まゆみさんと結婚した新郎は、もう中身のない天下国家の議論をする心配はないであろう。

なぜならば、彼にとって、

  • 国家とは、まゆみさんが住むこの日本のことであり、
  • 国民とは、まゆみさんその人のことであり、
  • 天下とは、まゆみさんが仰ぎ見るものであるからである

とのたまい、ミーハーで影響されやすい僕は初めて目の前で天下国家を語られるかっこよさにただただ胸キュンでした。

これまでの結婚式のスピーチで1番良かったです。

ゲッベルスに演説されたら自分はひとたまりもないでしょう。

この後、続けて新婦が勤める大手金融機関の上司によるスピーチがあったのですが、完全に直前のイケメン警察官僚上司のスピーチに圧倒されていました。

スピーチはかみかみで、自分も何か気の利いたことを言わねばと思ったのか、おそらく準備していた内容のままでは前のスピーチとの格差が激しすぎるから内容を変えようと試みたのでしょう。

それが失敗して、スピーチしている本人も何を言っているのかわからない状態になり、支離滅裂な内容となっていました。

もうロウソクの残り火以下の程度と思っていましたが、まだ自分には天下国家に仕え天下りをして美味しい思いをする実現できたはずの人生を選択しなかった心残りの感情が残っているのだなと微かなしかし確かな黄昏を感じました。



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