洗剤、歯磨き粉といった生活日用品を生産・販売する増配50年を超える配当王銘柄のアメリカ多国籍企業、コルゲート・パルモリーブが2018年第3四半期決算を発表しました。
市場予想に至らない決算内容で市場の失望を買い、株価は急落しています。
市場予想との比較
- 売上高は、38.5億ドルとなり、ウォールストリート予想の38.9億ドルを下回る
- 調整後EPS(1株当たり利益)は$0.72となり、市場予想と一致
- 通年の調整後EPS予想を、1桁台半ばの上昇から3%〜4%の上昇に下方修正
決算サマリー(2017Q3との比較)
- 売上高は38.45億ドルとなり、前年同期比で3%ダウン
- 買収、事業売却や為替の影響を除いたオーガニックな売上高は0.5%ダウン
- 売上高ダウンの主要因は、ブラジル市場と中国との貿易量の減少
- グローバルな出荷数量は前年同期比と同じ
- 為替(ドル高)により4.0%の悪影響
- 売上総利益率は59.0%となり、2017Q3の60.0%から1%ダウン
CEOは、今四半期は多くのマーケットで成長が停滞のうえ為替の悪影響を受け、困難なタームであったと述べています。
業績
売上高、営業利益、純利益とも、2017Q3と比較して減少減益です。
百万ドル | 2018Q3 | 2017Q3 | 増減% |
売上高 | 3,845 | 3,974 | -3.2% |
営業利益 | 874 | 957 | -8.7% |
純利益 | 562 | 650 | -13.5% |
希薄化後EPS | 0.60 | 0.68 | -11.8% |

セクター・地域別売上高等
セクター・地域別売上構成比
コルゲートは、主力の歯磨き粉等の日用品の販売市場を北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋、アフリカ/ユーラシアの5つに分けています。
また、厳密には販売地域ではありませんが、ペットフード事業の売上も地域を分けずに記載しています。
地域・セクター別の売上構成比は下のようになります。
地域別売上高(百万ドル) | |
北米 | 858 |
ラテンアメリカ | 856 |
ヨーロッパ | 640 |
アジア太平洋 | 673 |
アフリカ/ユーラシア | 236 |
ペットフード | 582 |

市場については、北米の22%とラテンアメリカの22%が同率1位で、北米中心ではなく全世界に分散されています。
コルゲートは新興国でも稼げるグローバル企業です。
地域別の売上高・営業利益・営業利益率
地域別の売上高・営業利益・営業利益率です。
営業利益率は、北米の30.2%が最も高く、ついでアジア太平洋の28.4%です。
1番営業利益率の低い地域は、アフリカ/ユーラシアの17.4%となります。
百万ドル | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 |
北米 | 858 | 259 | 30.2% |
ラテンアメリカ | 856 | 222 | 25.9% |
ヨーロッパ | 640 | 162 | 25.3% |
アジア太平洋 | 673 | 191 | 28.4% |
アフリカ/ユーラシア | 236 | 41 | 17.4% |
ペットフード | 582 | 163 | 28.0% |

オーガニック売上の対前年同期比
買収や事業売却、為替の影響を除いたオーガニックな売上高の2017Q3との比較です。
5つの市場地域と、それを新興国と先進国に2分した比較です。

これを見ると、先進国より新興国で苦戦している構図のようです。
北米2.0%の上昇、ヨーロッパ0.5%の上昇となり、先進国全体では1.0%売上高が伸びています。
いっぽうで、新興国で売上が2%ダウンしています。
ラテンアメリカで3.5%ダウン、アジア太平洋で4.0%ダウンとなります。
また、各市場において、コスト削減への取り組みの効果がありつつも、一方で原材料コストの増加・包装費用の増加・配送費用の増加のプレッシャーがあり、売上粗利益が押し下げられる構図となっています。
株価の反応と現在の配当利回り
市場の予想に満たない決算を受けて、株価は前日比6.64%急落しています。
コルゲートの5年チャートです。

(出典:SBI証券HP)
チャイナショックで暴落している2015年の晩夏を除けば、概ね$60〜$75のレンジ相場となっています。
現在の株価は$59.58と、レンジの下限近くです。
配当利回りも、2.82%と3%付近まで上昇しました。
コルゲートは憧れの銘柄
僕は、コルゲート・パルモリーブは自分の「憧れの銘柄」です。
アメリカ株に資産を集中させるようになってから、シーゲルランキングにも顔を出す地味な日常生活用品を作っている歯磨き粉のシェア世界1のこの配当王の会社の株が欲しくてたまりませんでしたが、株価にプレミアが付いており配当利回りも低く、なかなか手が出ませんでした。
ようやく手が出せる水準まで落ちつつあるかなと思っていますが、自分が欲しい銘柄を単純に利回りの上昇を理由として買うと多分そこからどんどん下がります。
同じような「憧れの銘柄」でずっとプレミアが付いて株価が高かったゼネラル・ミルズとクラフト・ハインツの株価が落ちてきた時、僕は利回りが3%を超えた頃に待ってましたとアドレナリン全開ですぐに飛びつきました。
結果は、そこからさらに30%の下落です。
コルゲートは、(仮に投資するとしても)この会社の将来大丈夫かなと自分の心理が恐怖を感じる水準まで待とうかなと思っています。
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