【MO】アルトリアグループがFDAの電子たばこ規制に対する指令に応じ未成年対策として対象フレーバーポッドの販売を停止

毎週楽しみに見ている鉄腕ダッシュで、北海道の荒れくれた海原で鮭の漁をする海の男たちの姿を見て、もう鮭は北海道産のものしか買わないと強く誓った、ティッシュはエリエールかクリネックスしか買うもんかと思っていたのに最近安いプライベートブランドものに浮気してしまっている個人投資家でございます。

アメリカ国内のたばこ製品の規制当局であるFDA (Food and Drug Administration, アメリカ食品医薬品局)は、アメリカで電子たばこが未成年の間に急速に広まっていることを問題視しており、9月に電子たばこの主要販売会社(アルトリア含む)に対して、「未成年による電子たばこのアクセスを禁止する対策を検討せよ、未成年対策しなければ電子たばこの規制を検討する」との通知を出しています。

なおここでいう「電子たばこ」には、アイコスやグロー、プルームといった日本で話題になっている加熱式のたばこデバイス製品は含みません。これらは、そもそもアメリカでは加熱式たばこの販売許可がFDAから下りていないのに加えて、分類としては「加熱式たばこ」であり、「電子たばこ」には含まれません。

物理的な観点での製品様式の違いはよくわからないのですが、分類としては異なるようです。

この電子たばこカテゴリーでは、我らがアルトリアグループは劣勢です。

マーケットシェアはジュール・ラブズ(JUUL Labs)という新興メーカーが最大手で、当社のカテゴリーシェアは今年7月上旬のアメリカCNBCのニュースでは確か約70%であったと記憶しています。圧倒的なシェアです。

この会社が販売しているJuulという電子たばこが未成年の若者を魅了しています。
たばこに見えないスタイリッシュなデバイスと、フルーツ等の甘い香りが味わえるフレーバーがあり(クリームブリュレ味なるものをあるようです)、若者の間では爆発的なヒットになっています。

もちろん、ニコチンと一緒に味わうことになりますが。

未成年のニコチン依存の深刻化をFDAが懸念しているという状況の下、先の未成年対策をしろという通知を主要各社に出したという経緯です。

この通知を出したことで、アルトリアを初めフィリップモリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコといった伝統的なたばこ会社の株価が久方ぶりに爆騰したのは記憶に新しいです。

通常当局の規制が発動されると、業績に悪影響が出ることから株価が下がるのが通常ですが、本件では逆に上昇しました。

理由としては、伝統的たばこメーカーは、電子たばこ市場では存在感が薄く劣勢で、従来の紙巻たばこのユーザーを電子たばこの新興メーカーに奪われるという懸念が、電子たばこが規制されることにより後退するという効果が期待されるためです。

アルトリアは10月25日に2018年度第3四半期決算の発表をしましたが、決算資料において、FDAの通知に対してどう対応するのかという対応案の概要が記載されていました。

前提として、電子たばこの販売は、アルトリア自身ではなく、グループ会社の「Nu Mark」という電子たばこの開発・販売に特化した会社が実施しているようです。

概要は以下となります。

  • アルトリアのグループ会社のNu Mark社は、「MarkTen Elite」と「Apex by MarkTen」(製品名だと思われます)のポッド製品を、FDAの許可を得るか、または電子たばこの未成年問題への対応が為されるまでは販売を取りやめる
  • Nu Mark社は通常のたばことメンソール、ミントのみ販売し、電子たばこ関連製品のフレーバーはFDAの承認が下りるか、または未成年問題の対応が為されるまでは販売を取りやめる
  • たばこ製品購入が可能となる法定年齢を21歳とする連邦法に賛同する

未成年者への販売抑制のためのポーズ的な施策を実施し、製品の販売自体は辞めないという選択肢もあり得る中で、関連製品の販売自体を取りやめるという、FDAの指令に全面的に迎合するというか、規制当局側にとっては望ましい対策の実施となりました。

アルトリアにとっては長年のお付き合いのある規制当局とのやり取りはお手の物かと思いますので、規制側に立てついても良いことはなく、最もリスクがない方法を選んだということでしょうか。また電子たばこの規制が実際になされることで電子たばこ市場のユーザーが紙巻たばこに流れてくれれば、アルトリアにとっては望ましいです。

なおアルトリアは、未成年対策のために上記の対象製品の販売を取りやめる施策を実施しても、2018年第3四半期における「Nu Mark」の電子たばこの出荷量の約80%は維持される見通しを立てています。

今後、電子たばこ最大手のJuulが未成年規制に向けてどういう対応をするのか、注目されます。

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