アメリカ食品医薬品局（FDA）のメンソールを含むたばこ製品禁止規制の懸念から、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの株価下落が止まりません。
FDAのメンソールたばこ禁止規制に関する以前の記事はこちらになります。
アメリカFDAがメンソールたばこの禁止を検討〜ブリティッシュ・アメリカン・タバコ（BTI）はなぜアルトリアグループ（MO）より大幅に下落したのか？
BTIの１年チャートです。
（出典：SBI証券HP）
年初来高値からは５０％近く下げており、もはや１人リーマンショック的な暴落もいいところです。僕の含み損もどんどんと拡大しております。
現在の株価は37.04ドルで、配当利回りは７．１５％まで上昇しています。
BTIの下げが激しい理由は、メンソール製品からBTIが１番利益を受けているからというものです。
BTIは２０１８年の会社全体の予想純利益８６億ドルのうち、２５％をアメリカ市場のメンソール製品から得ます。対してアルトリアグループは、２０％ほどです。
下はアメリカのメンソール製品からBTI、アルトリア、インペリアルブランズの各たばこメーカーがどれほど利益を得ているかを示すグラフです。
これを見るとBTIが頭１つ抜けているのがわかります。
（出典：BloombergOpinion）
メンソール規制は規制大好きなEUが先行していて、EUでは大手たばこ会社に対して２０２０年にメンソール禁止規制が実際に施行されます。
実際にEU委員会のHPの規制原文を見てみましたが、「シガレット製品は、メンソール・バニラ・キャンディーといった、たばこの味や匂いを隠してしまうような特徴的な風味を含んではならない」という文案だったので、アメリカの規制でもおそらくこれと近い規制文案になるのでしょう。
カナダでは既にメンソール規制は実行に移されているようです。
メンソール製品を愛用するユーザーの核心はメンソールが吸いたいのではなくたばこ葉に含まれる成分が吸いたいということだと思うので、メンソールが禁止されても銘柄を変える行動に出ると考えるのが自然だと思います。
メロンソーダとオレンジジュースとカルピスがあって、メロンソーダに含まれる炭酸が体に悪いから一斉に炭酸規制が入りメロンソーダが市場からなくなったからじゃあ今度はオレンジジュース派になるといった具合なのでは。
そうなると、全体の需要量というパイは変化しない、パイの中での話となります。
ある銘柄を好んでいた人が仕方なく別の銘柄に移るという、パイの中での争いです。
ジュースの例でいうと、メロンソーダの客がオレンジジュースに移行することでオレンジジュースの販売会社がもっと儲かるようになるという図式ですね。
この考えでいくと、メンソールを吸っていた人が次にどの銘柄に移行するかですが、単純に考えるとシェアが大きい会社の製品に移行する人が多いでしょう。
つまりはアメリカ最大手のアルトリアグループです。
アルトリアもBTIほどではないにしても株価は下落していますが、BTIのメンソール製品を好むユーザーがBTIブランドから流出したときにアルトリアの製品に移行することになると、アルトリアの顧客が増えます。
とすれば、今回の規制で最も大きな恩恵を受ける会社は実はアルトリアなのではないか、とするならば買い増しに出動するのであれば仮に規制が施行されれば利益減少懸念はぬぐえず暴落しているBTIではなく、BTIのメンソール顧客が流れ受け皿になるであろうアルトリアのほうをむしろこの勝機に買い増すべきではないのか、そんな思考に陥っています。
メンソールたばこ製品が通常たばこ製品より利益率が高く、全体のパイが変わらなくてもメンソールが禁止されることで業界全体の利益率が下がるという話だったら業界的には心配ですが、作り方も同じでしょうしそんなに変わるものでもないでしょう。
また、メンソール製品の研究・開発費や（そういうものが実際あるのかは知りませんが）メンソール製品専用のたばこ製造機械なるものも不要になれば会社の人件費や費用も減るので、規制によるデメリットばかりではありません。
結局、製品に進化やバリエーションは必要なく同じ製品を繰り返し作っていればよいし、宣伝・広告費もいらないという、たばこ業界の最大のメリットは何ら毀損されない、発生するとすれば競合するたばこ会社の間での顧客と利益の移転にすぎない、という結果なのかなと思います。
まあ、危ない橋を渡らずに素直に順張りで他の銘柄買っとけよという話なのかもしれません。
僕はたばこ銘柄をポートフォリオの２０％ほど保持していますので、ポジショントークにはご注意ください。
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