強欲米国大企業の契約書を真っ赤に修正して返したら真っ赤に修正されて戻って来た

現在仕事で、某アメリカ大企業との取引の契約書のレビューをしています。

今回の契約書が締結されれば、新たな取引として日本経済新聞の第7面くらいに記事として掲載される可能性は皆無でしょう。

米国企業からは、例によって「ザ・アメリカ大企業の契約書」を提示されました。

取引先を奴隷としか思っていない、「お前のものは俺のもの」「俺のものも俺のもの」「取引のリスクは全部お前負担で俺は負わないからね」というジャイアン思想全開の契約書です。

アメリカ大企業の美しいキャッシュフロー、強固な営業利益率や営業キャッシュフローマージンを支えているのは、こういった江戸以来続く不平等条約並みに不平等な契約内容を圧倒的交渉力を背景に結ばされている多くの企業です。

アメリカ企業の日本支社のビジネス担当者と笑顔でミーティングしたり、メールなどでやり取りした後に取引条件をまとめた契約書が届き、それをビジネス担当者が法務に確認依頼として投げます。

ビジネス担当者は、契約書の内容をほとんど読みません。だからアメリカ企業がどんな取引条件を具体的に契約書の中で求めているのか、理解していません。

なので米国企業の強欲さに1番辟易しているのは、実は1番最後に相手方から提示された契約書の精査をする法務担当者なのではと思わないこともないです。

僕の印象論では、ベテランの法務部員になればなるほど、アメリカ大企業の契約書に異議を唱えずに一応のリスクは指摘してこのまま締結していいですと事業部に返答します。

なぜなら、彼らはアメリカ大企業に連戦連敗して契約書の内容を変えてもらえなかった過去しかないからです。

連戦連敗とは表現が悪いですが、契約書を双方が平等になるように真面目で優しい日本人的な内容に修正して相手方に返しても、アメリカ大企業はほとんどそれを飲んでくれません。

テンプレだから、これ受け入れてくれないと取引できないからさっさと合意してくれの一点張りです。

そこに論理なんか存在しません。あるのは力関係です。

しかし僕は、仕事は大嫌いで会社も大嫌いで自分がいないときに早く爆発すればいいのにと思っていますが、日本企業を一方的に搾取する強欲なアメリカ大企業の書面をそのまま受け入れればよいと割り切って考えるほどにはまだ老いてはいません。

不正義・不条理への怒りを抑えることができないのです。

それは、先の大戦前に「ハル・ノート」を受け取り戦わずして米国に屈することを選択しなかった日本人のDNAかもしれません。

上役からは「どうせ内容変えてくれないから無理にチャレンジしなくていいよ」と言われましたが、会社で自分しか真面目に読まないであろう厚い英文契約をアルクを駆使しながら5回は読み込み、強欲さに溢れる条項や一方的なリスクテイクとなっている条項を平等な内容となるよう真っ赤に修正してやりました。

上司はあまりに多い僕の修正ぶりに笑い、変えてくれない公算は高いが1回これで出してみようということになり、真っ赤に添削されたワードファイルが相手先企業に送られたのでした。

その後2か月くらい音沙汰なかったものの、ついに先方から返答が来て、初めの原案と同じ内容に真っ赤に修正された契約書ファイルが届きました。

理由は、「会社方針で契約書の内容変更はできない」以上。予想通りよ。

アメリカ大企業大嫌い。

事業部の契約書の内容を読まないビジネス担当者は、契約書の細かい内容なんてどうでもいいからさっさと締結しないとビジネスが進まないから早く合意してくれというプレッシャーをこちらにかけてきます。

ゴールデンウィーク直前くらいに直接顔を合わせて契約書の文言を協議するミーティングが設定されたので、超絶憂鬱すぎて風邪をひく予定です。

こんな強欲な内容を受け入れるくらいならば弊社は名誉ある死を選択すると内心思いながらも、満面の笑みで合意してこようと思います。

なお、僕は対アメリカ大企業という点については、中国企業に内心期待しています。

日本の大企業ごときではアメリカ大企業と対等以上の内容で契約を結ぶことはできません。

たぶん同じようなことが政府役人間のレベルでも展開されているんだろうなと思います。

しかし毒をもって毒を制すというか、中国政府系企業とか中国大企業ならば、日本企業が勝ち取れないところまで踏み込むことができるかもしれない。

日本企業が中国大企業に搾取される日が来るとしても、せめてアメリカ大企業に一矢報いてほしい。