春の季節になると、新卒採用の就職活動が本格化し、企業の説明会や面接が本格的に始まってきます。
今は空前の売り手市場なので、内定をもらっている学生も多いことでしょう。
僕の所属している企業でも、連日新卒の採用面接を実施しており、人が足らないので人事部から頼まれて面接官として学生の面接をしています。
面倒くさいことこの上ないです。通常業務にプラスして面接業務を入れられるので、仕事が溜まってしまいます。
かといって投げやりに面接をするわけにもいかないので、事前にエントリーシートをしっかりと見ています。
面接官だって面接は緊張します。特に僕は知らない人間と初対面で話すのは苦痛なタイプの人間なので、知らない人間に会って興味もないのに質問をその場で考えていろいろと話すのは気苦労が多いです。
面接が終了するとドッと疲れます。自分は人事部には向いてないなと思わせれます。
学生のエントリーシートを見ていて毎回思うのが、アルバイトのリーダーが多すぎるということです。
だいたいエントリーシートは質問がテンプレ化されており、学生時代頑張ったこととか苦労したこととか、またそれら経験によって得たものとかを記載させる欄があるのですが、2人に1人はバイトリーダーです。
バイトリーダーとして後輩の指導にあたり職場の雰囲気をよくしたとか、バイトリーダーとして個々の適正を踏まえた指導ができるようになったとか、バイトリーダーとしてみんなをまとめてさらに店の売上を地域でトップクラスにしたとか。
そもそもバイトリーダーなるポジションの定義って何なのだろう。そしてそんなに量産型のポジションなんだろうか。
エントリーシートを見ている限りは、リーダー格の人ばかりで店の売上も上がっているので、日本経済はとても好調に推移していくのだろうなと思いますよ。
もう何年も新卒の学生の面接に関与していると、「バイトリーダー」という言葉に拒否反応が出てきます。ああ、またかと。
だいたい学生はサークルの中核メンバーとして成果を成し遂げたこととかバイトリーダーの経験を書くかどちらかなのですが、僕はサークルやバイトの内容に興味はないです。話されてもイメージわきません。
エントリーシートにサークルとバイトのこと書くの禁止にしたらどうだろう。
それよりも、普通に大学の授業にちゃんと出てしっかり勉強して「優」や「A」評価をたくさん獲得したとか、大学の授業のつまらなさに辟易して図書館にこもってトルストイのアンナ・カレーニアを読破したとか、そういうことを評価したいです。
エントリーシート読んでいると、何となく、ああこの人はうちが第一志望じゃないんだろうな、嫌々適当にそれっぽい文章こねくり回したんだろうなとわかってきます。
また、企業理念に共感したとか志望動機に書いてあると印象最悪です。なぜなら僕自身が自分の企業の企業理念に全く共感していないからです。
社員の7割は企業理念覚えてないと思います。
企業理念なんてものは、たまたまその会社で企業理念なるものを創作しようとした時に、たまたま経営企画部とかそういうコストばかり垂れ流して何の役にも立たない系の部署にいた3人くらいの人が案を持ち寄ってつくった文章が時間が経って経典のようにその後扱われているにすぎません。
日本国憲法みたいなものですね。日本敗戦後にマッカーサーの指示でめんどくせーなあと思いながらアメリカ人の実務家が適当につくった文章案が、その後時間が経って日本人から神聖で変更すべきではないとても尊い経典のように扱われているのと同じです。
偏屈な面接官の心理を少し述べると、採用したい学生のタイプは完全に主観です。スペックの高さよりも、面接官もただの社畜でただの人間なので、一緒に働きたいと思う人を採用します。
僕の場合だと、一緒に働きたいタイプの人はオラオラ系でもギラギラ系でもイケイケドンドン系でもいろいろなことに挑戦したいタイプの人でもなく、おとなしくて柔和で地道に粘り強く物事に取り込める根が真面目で素直な優男タイプの人を採用したいので、そういった人は高評価します。完全に個人の好みです。
また、学歴はしっかり見ます。
企業によっては、学歴で判断しないように、企業側が面接官に学歴を隠すところもありますが、僕の所属している企業はそういうことはしていません。
人間は自分と属性の似ている人に好感がわきます。
僕は国立大出身なので、早稲田・慶應含む私大文系卒よりは、国語と世界史と英語の3科目のマーク式の試験だけではなく、しっかりとセンター試験を受けて数学も含む記述式の試験を受けて合格した国立大・公立大卒業の学生を贔屓します。旧帝大卒の人のエントリーシートだと心なしかしっかりと読む気になります。そらそうよ。
あくまでエントリーシートを見た段階での評価です。
サラリーマンになってから東大卒よりも優秀な早慶卒の人をたくさん見ていますし、僕の出身大学の人は実際の面接でのコミュ力の乏しさにもったいないなあと思ってしまうこともあります。本当は採用したいのに、これでは採用できないではないか。本命じゃないからこうなっちゃうのかなあ。
また、二次面接などから入ると、面接資料に合わせて一次面接の担当者による学生の評価書ももらえます。
実際に自分が面接して、どう見ても底が浅い思考しか出来なくて一貫性のない矛盾だらけの事しか言っていない学生を、人事部の一次面接の担当者が「論理性があり質問者の意図をくみ取って自分の言葉で丁寧に説明できる」とか高評価しているのを見ると、とても残念な気持ちになります。
人事部がしょぼくてこれじゃいい人取れないです弊社は。
もっとも、自分も3次面接の人に同じように思われているんだろうな。
就活記事
新卒採用面接担当官は学生のおじぎの仕方とかノックの仕方なんて全く見ません