文系最高偏差値を誇り、入れば人生勝ち組の烙印を押されているように見られている東大法学部(文科I類)ですが、卒業生はどういった進路に行くのでしょうか。
大学生の進路というと文系だと通常は就職一択ですが、東大法学部は特殊です。
東大はもともと国に仕える官僚養成学校として設立されており、特に東大法学部生は大半がエリート官僚になる時代もありました。
今もこの世間ではこのイメージが一般的だと思います。
進路は大まかにいうと、国家公務員一種(官僚):大学院進学(ロースクールが大半):民間就職:留年の4つに分類できます。
留年を除いて、比率として官僚:大学院:民間就職=3:3:4の年もあれば、2:3:5の年もあったりと、時代ごとにけっこう比率は異なります。
1990年代までは官僚が最大比率だったのかもしれませんが、今は全然そんなことはなく、実は現在は意外にも就職組が1番多いのが現実です。
ひと昔前は東大法学部で民間就職志望だと同級生に変人扱いされたと聞きましたが(実際に東大法学部卒の上司がそう言っていました)、今の時代は東大法学部出ても、多くはサラリーマンになるんです。
これはこれでなんか夢がないですね。
東大経済学部や文学部なんかも大多数は就職するしか選択肢がないので、東大出ても結果みんな会社員になっちゃうんです。
理系でも医学部以外は大学院までいってから大多数は就職です。
末は博士か大臣になれるのは本当に一握りで、皆その他一般人として普通の人生を終えていきます。
なお、新司法試験の始まる前は旧司法試験を目指している人もそれなりに多かったので、「司法試験組」という分類でくくれましたが、現在は法科大学院ができたので今は法曹を目指す層は予備試験合格組を除いて「大学院進学組」になっています。
ロースクール黎明期の数年間はこの進路が1番多かったようですが、弁護士余りの惨状とロースクール制度の破綻で急速に司法は敬遠されて人数が減っています。
大学院進学組は、数は少数ですが「公共政策大学院」も含まれます。ここに行く人は、院卒後に官僚にいなる人が多いです。
先に述べたように現在は民間就職の数が最大派閥なのですが、官僚離れ×司法離れ=民間志望者増加という消極的な側面も否定できない状況です。
薄給で激務で天下りもできなず国民からひたすらサンドバックにされる官僚と、アメリカを真似たロースクール制度は国家的詐欺とも言える失敗で終わり(本当にこの制度導入したバカは誰か責任取るべきだと思います)、弁護士余りで平均給与が低下をしている法曹(検事・弁護士・裁判官)の魅力の低下から、一般民間企業への就職が相対的に有利だとして選択する人が増えています。
哀れな「民間」(笑)
今はさすがに違うかもしれませんが、東大法学部を出て就職する人は、官僚や法曹を目指す同級生たちからはすべからく「民間」と一括りにされ表には出さないものの憐れみの対象でした。
例えば慶應経済学部に在学して就活している人は大半が就職しますので、やれ三菱商事に内定もらった、やれUFJから内定もらった、テレビ局にいけた、外資のゴールドマンサックスから内定もらったなど、いわゆる就職先の就職偏差値で地位を競い無駄なマウンティングをする傾向がありますが(別に慶應でなくても他の大学も一般的にそうでしょう)、官僚・法曹組の多い東大法学部では、そのような現象は起きません。
「ミンカン」に就職した時点で、カースト最下層民なのです。シュードラのようなものです。
例え最大商社の三菱商事に内定をもらっても、トヨタ自動車でもキーエンスでもアクセンチュアでもモルガン・スタンレーでもメガバンクでも「民間企業への就職」という一事をもって、官僚志望・法曹志望の人たちからは「民間乙」「民間で可哀そう」と内心思われて蔑まれます。
ヒエラルキーとして、常に民間就職よりも官僚と法曹のが格上という選民思想です。
官僚と法曹とでは、試験自体は司法試験のが難しいので実際は試験の難しさだけ見ると法曹のが格上ですが、天下国家に仕えるという大義がそれに勝るので、人によっては官僚志望が最強と考えている人もいます。
とにもかくにも「民間就職」は最下層のヒエラルキーに属するということです。
就職偏差値最高を誇る日本銀行をもってしても、官庁の「格下」扱いです。官僚試験の滑り止めです。
ホントどうでもいいですね。
実際僕もそういう思考であったことは否定しません。東大法学部に行って民間企業に行くって、なんかがっかりしますよね。コスパだけ考えれば慶應経済行って遊んで過ごして就職すればいい話ですから。
ただこれが卒業して10年もすると、様相も変わってきます。
血反吐を吐きながら毎日朝まで残業して国のために働いているのに全く年収1000万に到達せずに何様の国民様から一方的にたたかれる高級官僚が、民間に行って自分よりはるかに高給をもらって優れたライフワークバランスで働いている同期に劣等感を抱くようになり、「もしかして自分って負け組じゃね?」という公言できない鬱憤たる思いを抱くようになります。
中には少数派ですが、30歳前後で官僚からコンサルタントや大手総合商社に転職する人も出てきます。
国民の大多数は未だに誤解していますが、官僚は給料低いです。
確かに国民の平均給与よりは高いです。しかし、東大出た人間が民間企業に行ってもらえる給与額よりずっと低い額の給料しかもらえません。
東大出た人間の給与を国民平均と比較しても無意味です。いい加減官僚は高給だとナンセンスな批判するのはやめてください事実誤認も甚だしいです。
僕の時代からすでに東大法学部の最上位層・準最上位層は官僚よりも司法や民間就職を選ぶ傾向があり、2番手、3番手が多く官僚になっているイメージがありましたが、国のためを思うと優秀層にも官僚になって日本を引っ張って行ってもらわないと困ります。
東大法学部生だって留年するんだよ
東大法学部は2割くらいは留年する感覚です。
官僚試験に落ちたり(試験は通っても、官庁面接で落とされる人がちょくちょくいます)、ロースクールに落ちたりといった試験落ちの留年が理由がメインです。
特にロースクール受験は、ロースクール全盛期の頃は苛烈を極めました。
内部生の枠が100人のところを内部生200人で競ったりするのですから、2人に1人が落ちるわけです。
東大法学部生内部の戦いです。
落ちた人は不本意ながら早稲田や慶應といった私学のロースクールに行ったり、今さら早慶なんて行けるかといったプライドが高い人のが多いので、翌年のロースクール受験のために留年します。
浪人生のようなものですね。東大法学部に入ってもずっと競争するんですこの人種は。もう宿命です。
泣きたくなるよ人生受験ばっかりで本当に。辛いね。
もう頑張らなくていいんだよと宮崎あおいか広瀬すずに優しく言ってもらったら救われる人がいっぱいいると思う。
就職留年は少ないと思います。
定期試験の分量も多く単位を取るのも本当に本当に本当に大変なので、純粋に単位が取れなくて留年になったという人も中にはいるでしょう。民法の試験の勉強とか思い出すだけで辛い。
旧司法試験の時代は、司法試験合格のための留年組もたくさんいたようです。なんでそんなに勉強好きなんだお前らは。
東大に行きたいんじゃなくて、東大「法学部」に行きたいんだ
少し自分語りします。
僕は高校生の頃から官僚になって権力を持って日本を動かす大きな仕事をしたいという願望を抱いていましたので、国家公務員一種(官僚)になりたくて文一(東大は1、2年は教養学部で、3年から法学部です。教養学部文科I類⇨法学部となります)を受験しました。
官僚の主流は圧倒的に東大法学部卒ですので。
なので、文二(経済学部)や文三(文学部や教育学部など)に行っても全く無意味だと思っていました。
本当は文三に行って日本文学かフランス文学に溺れたかった自称ロマンチストです。
世間は学部を区別せずに単に学校名の「東大」と一括りにしますが、早稲田で政経や法学部の偏差値が高くて商学部の偏差値が最弱扱いされたまにネタにされるように、東大文一を目指している受験生の多くは「東大」に行きたいのではなくて、「東大法学部」に行きたいのです。
東大文二や文三しか行けないんだったらもうそこで人生終了なんです。
そこには明確な壁が存在します。
余裕で東大理一に受かるのに、東大理三(医学部)にこだわる人の心理もこれに近いのではと思われます(偏差値は理三が日本最強)。
実際入学して社会人になるとあの頃のこだわりは何だったのかと感じるほどどうでも良い思考なのですが、若い頃は純粋で危うい野心を持つものです。
3人に1人がサラリーマン、官僚は2割、無職が65人
東大法学部のHPに2016年度の卒業生の進路状況が載っていました。
これが現時点では最新の統計調査になります。
その調査によると、総計386人の卒業生うち、大学院入学101人、就職決定者220人(公務員・民間含む)、自宅勉学・進路未定65人ということです。
大学院進学はこのうち8割が法科大学院進学の法曹志望者となります。
就職決定者のうち、公務員は、中央官庁が81人で地方が10人で、民間就職は129人となります。
多いほうから整えると、民間就職129人、大学院101人、官僚81人、自宅勉学・進路未定65人、地方公務員10人、となります。
この「自宅勉学・進路未定」というのは、言い方はオブラートですが要は「無職かフリーターかニート」ということです。
カテゴリーに含まれる人の正確な属性がよくわかりませんが、留年だと卒業生ではないので定義上この統計に含まれないでしょうし、卒業してしまって試験勉強するかプー太郎する人ということだと推定されます。
官僚試験やロースクール試験のための浪人生的なポジションの人だと思われます。
東大法学部入って頂点(てっぺん)獲ったと思っても、また新たな試験の人生です。
もうやだよ試験は。
東大法学部卒業生の進路を比率で示すと、下の図ようになります。
民間就職33%、大学院進学26%、官僚21%、地方公務員3%、無職17%という結果です。
東大法学部出ても3人に1人がサラリーマンになることが分かりました。
東大法学部卒サラリーマンはマイノリティーではなく単なるマジョリティーです。
統計をみると、民間就職129人のうち、業種では47人が金融業と最も比率が大きいです。給料も1番高いでしょうね。
大学院進学はこのうちの8割が法科大学院なので、比率でいうと20%ほどが法曹志望になります。
これも法科大学院卒業したあとに司法試験に受からないといけないという試験勉強が待っています。
落ちたらただの無職浪人生です。
官僚になる人の割合は21%まで下がっています。
これは驚きですね。官僚の不人気ぶりをあらわしています。
2005年くらいに農水省の入省者に東大法学部卒が1人もいなくて騒がれましたが、もう今はそんなレベルじゃないですね。
民間就職する人たちから、逆に「官僚乙」と思われている時代になっているのかもしれません。
いい加減官僚叩きばかりしてないで日本国のために官僚の給料上げるべきでは。
また東大法学部卒業生の17%が無職になると聞くと、世間はさぞ驚くことでしょう。
なんか思い出して書いていたら、東大法学部なんか行っても苦しいことだらけで全然幸せになれない気がしてきたのはなぜだろう。
慶應経済(引き合いに出してばっかですいません、憧れなんです慶應経済)いって華やかなリア充キャンパスライフ送って適度な大企業に就職して海外赴任するのが1番勝ち組だと思います。
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