アルトリアはJUUL減損による赤字決算も収益力には問題無し【2019年通期決算】

アメリカたばこ最大手企業のアルトリアグループ（MO）が2019年通期決算を発表しました。

冴えない決算で株価は下落する結果となりました。

アルトリアは電子タバコ大手のJUULに対して128億ドルという超巨額の資金を投資していましたが、今回の決算で41億ドル分を現金支出を伴わない減損費用として計上した結果、純利益はマイナスとなり赤字決算となりました。

JUULはおしゃれな電子タバコがアメリカの若者に爆売れし収益が爆発的に伸びている急成長企業でしたが、若者の電子タバコへの依存や弊害、健康被害が明らかになるにつれて、アメリカFDAが電子タバコに規制をかけ電子タバコ市場の成長が一気に不透明になり、JUULの今後の業績も期待できなくなりました。

訴訟もたくさん提起されています。

要は、イケイケのグロース株に我慢できずに投資したら（JUULは上場してないけど）、無事最高値での投資となり、そのあと瞬速で投資先の企業価値が暴落して128億ドルの価値がなくなったから含み損の41億ドルを赤字計上したということです（会計詳しくないけど多分そういうことです）。

アルトリアは前回の第3四半期決算でも45億ドルを減損処理していますので、これで合計86億ドル分を減損処理していることとなります。

セクシーな急成長企業の魅惑に抗えず最高値で投資してソッコーで価値がなくなるという、お前は市場の養分になる日本の個人投資家かと言いたくなるくらい株主としては非常に残念な結果でした。

結果論として経営陣に投資のセンスがなかったということです。

インデックス投資しとけやアホ！

ただ、JUULへの投資の大失敗を除けば、コアとなるたばこ事業の収益力は何ら変わりなく、配当狙いの投資家はホールドで良いと考えます。

マルボロはボロボロにお金を稼いでくれます。

調整後のEPS（1株あたり利益）も上昇しています。

そのほか、以下アルトリアの決算資料から2019年通年の決算概要まとめです。JUULへの投資の失敗で将来業績目標の下方修正をしています。

セクター別に見ていくと、燃焼性プロダクト（従来の紙巻たばこ）が好調でした。

売上高こそ1.3%減少していますが、営業利益（OCI）は7.1%増加し、調整後の営業利益率は54.5%と前年の50.6%から3.9%UPしています。

出荷量の減少を、製品の値上げとプロモーション費用の低減効果が上回っています。

出荷量だけで見ると、紙巻たばこは通年で7.3%需要が減少しています。

通年での主力マルボロの小売シェアは、43.1%です（前年比マイナス0.1%）。

こうやってみると、衰退産業で業界全体で需要が落ちて売上高が減少しても、製品の値上げとコストカットで利益は上昇するというたばこ銘柄の常勝海南パターンは崩れていないように見受けました。

そのため、将来はわからないものの今回の決算の数字を見たかぎりだと売る理由はないと見受けます。

アイコスがアメリカでも発売を開始したようですが、日本市場でのアイコス、プルームといった加熱式たばこの各社の消耗戦の様相を見ていると、いっそのこと加熱式たばこが規制されて紙巻たばこだけになったほうが業界的に良いような感じがしない事もないので、特に期待はしていません。

加熱式たばこが日本で発売されてヒットして期待が膨らんで、そして弾けてから、たばこ業界はろくなことがありません。

電子タバコとか、従来の紙巻たばこから逸脱する新手のムーブメントに無駄に足を突っ込んで投資して大失敗して株主価値を棄損しているので、今年のアルトリアの不振は、ぜんぶ雪のせいだ。もとい、ぜんぶJUULのせいだ。

今たばこ株を買い増しや配当再投資できない人は、たばこ株売ってVISAかマスターカードかアマゾン買ったほうがいいと思います。

ジェレミーシーゲル先生の「株式投資の未来」を読んで何も血肉になっていないです。

100人中99人が泣きながらたばこ株売っている時に、１人歓喜の涙を流しながらありがとうこんな安値でこんな価値あるものを譲ってくれてとひたすら株数をかき集める変態になれる人だけが、たばこ株投資では報われます。

ということでたばこ株投資を継続するセンスもないし無事決算で急落したし素直にVISA買おうかしら。

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