トルコ・リラの急落で、世界金融市場が不安定になっています。
トルコ・リラという文言は、以前FXで損失を献上した苦い思い出の記憶をうずかせます。
高金利通貨という誘惑に駆られ抗えませんでした。また買った当時既にリーマンショック時と同等のレートまで下がっているからまさかこれ以上下落することはないだろうと思っていました。僕がトルコ・リラに投資した初期の頃は1日でスワップが140円くらいもらえる時期だったので、単純計算で月4,200円です。3単位ほどトルコ・リラを持てば、月12,000円以上が手元に入ってきます。
当時は1トルコ・リラ50円ほどでしたので、1万通貨単位のFXだと最低50万円からの投資です。3単位だと150万です。150万の投資で月1万2千、年13万以上のスワップポイントが手に入ります。150万円分で利回り5%の高配当株を買った場合は、税引きがないと仮定しても年7万5千円なので、利回り8%を超えるトルコ・リラの圧勝です。
当時浅はかな自分は、トルコ・リラのスワップポイントの蓄積で子供の大学費用貯金しようと本気で考えていました。仕事中に電卓でスワポを計算していました。完全なフラグでしたね。年13万円で15年放置すれば約200万円になりますので、それなりの金額となります。実際はたこ足配当よりも酷いものでした。
さて、トルコのような、先進国と比較すると小国の金融不安が世界経済に影響を与えるとは到底思えず、いつものように短期的にはよい買い場にしかならないのではと思うのですが、日本株や中国株、新興国の株式市場は急落しています。
僕は米中貿易戦争に起因するチャイナショックは心配していますが、トルコのことは心配していません。FXで長期塩漬けしていたころから彼の国は大統領が暴走したりクーデターが起きたりで常に不安定な国なので、むしろデフォルトで不安定な国という認識です。ロスカットポイントが近づいている中で休日にトルコにクーデターが発生し、翌月曜日の窓を開けたトルコ・リラの下落を震えながら待つ恐怖に比べれば、FXから撤退している今回はそこまで心理的な不安はありません。株価の下落に耐性を持つ強靭な精神力を鍛えるために深夜に証券口座にアクセスし下落した株価を見ましたが、下落した日中株とは反対に意外にもアメリカ株は上昇していました。
東京新聞のHPに、トルコ・リラの急落が世界金融市場に影響を与える理由について解説がありました。とても教科書的な解説なので、後付けの理由で実態は違うのだろうと思いますが。
リラ下落の理由
元々トルコ国内ではインフレが加速しています。これはずっと言われていますが、インフレが加速しているにもかかわらず、エルドアン大統領は利上げに反対しており、利上げは実施されません。するとますますインフレが加速することになります。トルコは中央銀行の独立性がないのですね。インフレを受けた経済混乱への懸念から資金が外国に流出することになります。それに加えて米国との関係悪化で関税措置を発動され、経済悪化懸念でさらに資金が流出しリラが下落します。
年初来のトルコリラは対ドルで4割以上下落しています。
(出典:毎日新聞HP)
対円でのトルコリラの2年チャートです。ひたすら下がっています。僕は1トルコ・リラ28円くらいの時に損きり撤退しています。
(出典:SBI証券HP)
世界経済への影響
欧州の金融機関は、トルコ企業に多額の融資をしており、リラ下落によりトルコ企業の外貨建て借金が膨らみ不良債権化する懸念があります。そうすると、欧州の銀行の収益が圧迫され、欧州経済悪化につながります。
特にスペインやイタリアの銀行によるトルコ企業への融資が多いようです。EUの劣等生のイメージが定着してしまったこれらの国はいつも何かの問題に絡んできますね。
また波及効果で、財務基盤の弱い新興国の通貨も同様に売られるようになります。
このような他国に起因する経済プチ危機?のニュースを見るといつも思うのですが、日本が不安定になったら世界市場は金融危機になるのでしょうか。2017年の名目GDP(USドル)では、トルコは日本の6分の1ほどのGDPですが、そのような国でも世界市場に影響を与えています。あのイタリアでさえ国際金融市場に影響力を及ぼす力を持っています。
日本はいつも空気のようなモブキャラ扱いなので、日本発の世界金融危機のような、主役あるいは準主役として影響力を与える国であってほしいと思います(本当に金融危機になるのは勘弁ですが)。
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