マリッジ・プレミアム~結婚している男性は独身男性よりも30%年収が高い

一般論として女性は年収が高い男性を好みます。

学生時代は、純粋に好きか嫌いの純度の高いピュアな感情で恋人関係を選びやすいですが、社会人になるとどうしても生活していくためにお金が必要になりますので、恋人の選定条件に「年収」というとても本能的に重要ではあるもののどこか不純な要素が大きく急浮上します。

学生時代に知り合っていたら全く気にかけなかったであろうがり勉な根暗に、高年収だからという理由で言い寄ってくる女性はどこか滑稽ですらあります。

いい男はみんな既婚者で、独身者にはいい男が残っていないという嘆きも世間的には聞こえてくることもありますが、実際に、アメリカでの実証研究によると、男性は結婚していると高い年収を得られるという研究データが存在しています。

これを「マリッジ・プレミアム」といいます。

これは、職業、資格や学歴など、年収に影響を及ぼすであろう各要素の条件を同じとした男性を比較することで得られた実証データであり、単純に結婚という要素のみが年収に対して既婚者と独身者の間でどれほどの影響があるかのデータをとったものです。

率としては、既婚男性のほうが独身男性よりも10%から50%ほど年収が高いという結果が出ています。

一方でこれを女性側に当てはめると、逆の結果となります。

女性は結婚しても独身の女性と年収は変化しないし、あるいはわずかながら低下するという帰結となります。

日本においてもこの傾向は同様に該当し、男性については20%から30%のプラスの「マリッジ・プレミアム」が存在し、いっぽうで女性については結婚することが年収の下落を導くという、マイナスのマリッジ・プレミアムが存在するとう検証データがあります。

年収が高いから結婚できたのか、結婚したから年収が上昇したのか

結婚している男性のほうがそうでない男性と比較して年収が高いということは、女性からすればご飯を食べさせてくれるいい男はみな結婚してしまっていると考えがちですが、上の研究データからいえば、逆の考えが正しいのです。

つまり、年収が高い男性が結婚しているのではなくて、結婚したからこそ年収が高くなったという因果関係です。

高年収⇒結婚ではなく、結婚⇒高年収のベクトルです。

結婚することによって、男の経済力が高まるのです

結婚して奥さんと共同生活することで、何らかの魅力が男性につき、それが仕事にも反映され、高年収男性へと変容していくのでしょうか。

いわゆる日本の慣用句でいう「内助の功」であったり、パートナーの運気をあげる「あげまん」女性の効果なのでしょうか。

なかなか可視的に因果関係を特定できる分野ではありませんので、いくつかの仮説が出ている状況です。

結婚している男性の所得が高い理由

これには、確定的な説はないようですが、いくつか仮説があるようです。

  1. 分業の効果という説
  2. 結婚により労働意欲が出るとする説
  3. シグナル仮説
  4. 差別仮説
  5. 「隠れた魅力」仮説

私見を加えながら紹介します。

1 分業の効果という説

結婚することにより奥さんが家事をしてくれることで、男性は仕事に専念できるようになります。この分業体制により、男性側の仕事の生産性が上昇するという理由です。

これについては、明確に僕は反論したいと思います。

時代的に男女共働き世帯のが専業主婦世帯より多くなる現代では男性側も当然家事を負担しなければなりませんから、この説は前提を欠いているように思います。

また、我が家は専業主婦世帯ですが、結婚することで奥さんに気は遣いますし、家事にプラスして子供の面倒を見なければいけなくなり、これも当然分業が基本となりますので、むしろ仕事に専念するどころか独身時代よりも仕事に専念できなくなりますので、どうにも分業体制の効果で仕事に専念でき生産性が上がり年収があがるという因果関係への納得感が欠けます。

二世帯家族で専業主婦の奥さんが家事に旦那さんにとても献身的という家庭なら成立するのかもしれません。

2 結婚により労働意欲が出るという説

結婚して守るべき妻と子供ができることで、責任感を持った男はがんばって労働意欲がでて、生産性が高まり年収があがるという考えです。

うーむ、なんというきれいごと。

個人的実感として、結婚したから労働意欲が高まったということはほとんどないです。もちろん家族を食べさせていかないといけないので無責任な行動をすることはありませんが、結婚する前もした後も日曜夜は憂鬱ですし、月曜朝はああ世界はまだ動いていて今日も世の中は滅びていないのかと思うのは変わりません。

仕事が嫌だという感情はすべてに超越するユニバーサルな感情です。

家族を食べさせていかないといけないというプレッシャーが男性にとってネガティブな方向に作用する例もあると思うので、どうもこの考えも説得力に欠けます。

3シグナル仮説

男性が結婚しているという事実が、その人が信頼性のある人間であるという合図になることで、重要な仕事をアサインされるようになるという考えです。

日本の伝統的な大企業や古い考えの業界ではこのようなこともある?のかもしれません。

しかし、通常は結婚しているという要素以外にその人の能力を算定する要素が数多く存在するでしょうから、他の能力が同一で差別要素が他にない中、上司の好みで既婚者に重要な仕事をアサインするという限定された局面でしか機能しないような気もします。

自分はそのような立場になったとき、既婚者・独身者という分類よりも、性格的に自分とやりやすいかといった人間的な相性で決めてしまう気がします。

すべての条件が同一だったら(そもそもそんなこと普通考えられませんが)、自分と同じ属性だからということで既婚者を優先してしまうかどうかはなんともわかりません。

4 差別仮説

雇用者が、既婚の男性を独身男性よりも優遇し差別しているために、既婚男性のほうが年収が高くなるとする考えです。

3のシグナル仮説とも共通するものがある考えですね。そういう企業もあるのかもしれません。

なお自分をカスタマーの立場におくと、自分と同属性の既婚・子持ち男性に信頼を置きやすい傾向があるのは否定しきれません。

マイホームの営業をされるときもそうでしたが、独身男性や女性よりも、子供がいる既婚男性のほうが説得感を持って話を聞いてしまうというか、話をちゃんと聞く気になりましたし、信頼して話すことができました。

なので、既婚という属性が顧客対応にとって優位性を持つ場面は存在すると思います。それによって、独身者よりも仕事の成果が上がり、年収に反映されるという因果関係はありえるかなと考えます。

5 「隠れた魅力」仮説

この説は、振り出しに戻ってしまうのですが、経済学的な統計で得られることのできない優れた容姿や魅力ある人間性といった要素が、仕事の生産性を高め年収を高めると同時に、結婚市場での価値を高めるという考えです。

つまり、優れた容姿や人間力を持つ人は、それ故に高年収であるし、かつ、結婚もしているという説で、結婚したから高年収になったという考えとは逆のベクトルです。

結局、魅力ある人は、労働市場でも結婚市場でも高評価となり、年収も高いし結婚もしている。容姿も性格もイケメンな人は万物を得て、そうでない人は何も得ることができないという、割りと一部の人しか救いのない帰結になってしまいますが、直感的には腑に落ちやすい説です。

いろいろ述べましたが、ここで書いていることは大竹文雄 著「経済学的思考のセンス」(中公新書)を読むとよりわかりやすく理解できます。

女性にとっては、結婚することで男は仕事ができるようになり、「マトモなイイ男」になるという因果関係であると理解することで、男性を選ぶ基準がいい意味で緩和されるのではと思います。

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