現在は言葉自体は過去のものとなりつつはありますが、バブル期の女性が男性に求める条件は、高学歴、高収入、高身長のいわゆる「3高」でした。
この3高のうち、高学歴と高収入は、つまりはお金です。
高学歴は最終的には高年収に帰結する相関関係がありますので、結局は高年収の男性がよいということになります(単純に高学歴としての教養を求めるというい側面もあるかもしれませんが)。
残る1つは、高身長です。
身長が高いほうがかっこよくてたくましくて頼りがいがあるし守ってくれそうという男性的な強さに惹かれる要素という考えももちろんできます。
しかし、経済学というのはあくまでもリアリスティックな学問です。
身長が高いというのも結局は高身長だと高収入という関連性があるという事実を女性は本能的経験的に感知しているために高身長の男性を求めるのではないかという疑いを持ち、身長が高いことで得られる年収部分、「高身長プレミアム」はあるのか、あるとすればどれほどかを計量経済学的な分析により調べています。
この種の実証研究は日本の経済学者が先行して出る幕はなく、たいていはアメリカの経済学者による研究が先行します。
そして日本の学者は、欧米の学者の説をもっともらしく紹介するだけの本を書いて印税をもらっています。
身長プレミアムは存在する
アメリカでは、高身長なほうが年収が高いという高身長プレミアムは存在するという研究データがあります。
それによればアメリカ人男性は身長が2.54センチ高くなれば、1時間あたりの賃金が1.8%上昇するということです。
単純計算で、10センチ身長が高くなると7.2%賃金が上昇することになります。
さらに、身長が低いほうから25%のグループと高いほうから25%のグループを比較すると、その格差は13%以上になります。
また、アメリカの歴代大統領選挙のうち、背が高いほうの候補者が勝利する確率が圧倒的だというデータもあります。
ちなみに日本でも同様の身長プレミアムの研究はありますが、アメリカの研究ほどの高身長の優位性が認められず、統計的に有意であるとまでは言えないレベルのようです。
16歳時点での身長が年収に影響する
研究では、現在の身長ではなく、16歳の時点における身長が高かったということが将来年収に影響すると結論付けています。
なぜ16歳時点の身長が賃金へ影響を及ぼすのでしょうか。
これは、以下のような因果関係です。
高身長⇒運動部に加入する⇒運動部でのリーダーシップ・チーム運営能力の獲得(労働市場で高評価される要素)⇒高年収
単に身長が高いということが高年収に直接つながるわけではなく、身長が高いことで、運動部へ加入する確率が上昇し、運動部での経験で忍耐力・調和力・リーダーシップ・組織運営能力・コミュニケーション能力といった企業が重視する能力を獲得することで、労働市場で成功する優位性が発生するというメカニズムです。
どうも身長が高いということと、運動部への加入率というのは相関関係があるみたいです。
この事実を知ってしまうと、息子がいたら中高では運動部に入っておけと言いたくなります。
女性の本能は高身長だと高年収だと嗅ぎ取っているのか?
高身長⇒運動部への加入⇒労働市場で評価される能力の獲得⇒身長プレミアムによる高収入と、媒介事項はありますが高身長だと高年収という関係性は(日本ではまだ有意性が確認できていませんが)存在しています。
そのため、女性は本能的に、高身長な男性のほうが高年収であると嗅ぎ取っているのかもしれません。
そうなると、3高というのは結局すべてお金に帰着してしまいますね。
もう1点ですが、結婚相手の男性の身長が高いほうが、自分の子供の身長も高くなる傾向があります。そうなると、自分の子供が16歳時点で高身長となりやがて高年収となると、そういうことまで本能的にわかっているのかもしれません。
なお本記事の内容は、大竹文雄 著「経済学的思考のセンス」(中公新書)(これは良書だと思います)に詳しいです。
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