昨今、メディアを様々なパワハラ案件がにぎわせています。
(個人的にはパワハラ問題をもっともらしく報道しているメディア会社なんてパワハラだらけなんだろうなと思っていますが。)
パワーハラスメントという言葉は、労働基準法などの労働関連法規に規定のない文言です。労働法が誕生したころにはパワハラなんて言葉もなかったでしょうからね。
行政機関である厚生労働省は、パワハラを次のように定義しています。
「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。」
具体的な事例の当てはめに困るよくわからない定義ですね笑。
同じことをされても人によって感じ方が違うので、判断に主観を考慮すると、はっきりとこれはパワハラでこれはパワハラではないと白黒切り分けるのは不可能です。
これはセクハラもそうですが、例えば女性が密かに片思いしている上司から「髪切ったね、可愛いね」と言われると胸キュンしてときめくのに対して、同じセリフを脂ぎった嫌悪している上司から言われると何このおやじきも過ぎと更なる嫌悪感を惹起させます。
相手との人間関係も考慮しないとセクハラになるかどうかは認定できませんので、難しい問題です。
さて、一定規模以上の企業になると、パワハラなどの問題を従業員が通報できる「内部通報制度」を設けている企業が多いです。
自動車メーカーの検査の不正行為が実施されている事実を末端の従業員が通報したり、パワハラ、セクハラ行為の通報をする連絡先を社内外に設けるといった具合です。
直属の上司や部門長の不正など、直接のレポートラインに言いにくい問題が発生した場合にこの制度が役立ちます。
社内の110番通報先みたいなイメージですね。
通報先は各企業によって異なりますが、コンプライアンス部門、人事部門、法務部門、あるいは社外弁護士といったパターンが多いのではないでしょうか。
そして、こういった内部通報先の部署でもパワハラが横行しているという笑えない現状が発生している職場も多いのだろうなと感じています。
僕は複数の会社の法務部門で働いた経験がありますが、パワハラがない法務部門なんかありませんでした。
どれも世間的には有名な企業でしたが、現実はこんなものです。
パワハラの通報先となりパワハラの相談を受けている法務部員が部下にパワハラをしているという、なんの冗談だよという状況でした。
パワハラによって潰れてしまったり辞めてしまう法務部の社員を複数見てきました。
パワハラって、パワハラしている本人が1番自覚がないので、どうにもなりません。
本来法務部門は、法令遵守・コンプライアンス遵守の精神をどこの部署よりも備え、セクハラ・パワハラが発生しないように従業員に啓発活動をしたり、セクハラ・パワハラ防止の第一線に立つべき部署です。
しかしながら、表向きにはセクハラ・パワハラ予防の社内セミナーを開催したりセクハラ・パワハラについて理解しているように見えても、ストレートど真ん中のパワハラを部員がして部門はそれを見て見ぬふりをしているわけです。
さすがに弁護士事務所なら大丈夫だろうと思われる人もいるかもしれませんが、特に中小規模の弁護士事務所は企業以上にパワハラ天国のところもあります。
中小規模の弁護士事務所に入った大学の同期は、たいていイカれたボス弁護士のパワハラが原因となって事務所を転所するか独立するかそもそも弁護士事務所という閉鎖空間の人間関係が嫌になって企業に転職している人も多いです。
自分の事務所内からまず法令遵守してくれよといった感じですね。
サラリーマンの人間社会を経験せず小さな事務所で自分がずっと王様であった弁護士は、人間的におかしい人が多い(同期談)とのことです。
こういった、情報を発信したり啓発活動をしている主体自身が実はその問題を抱えているというケースは、世の中にいっぱいありそうです。
セミナーやメディアなどでもっともらしく教育論や子どもの育て方を説く著名人の家庭が実は家庭崩壊していたとか教育に失敗して子どもが非行したり問題起こしているなどといったことも実は多かったりするのではないでしょうか。
ブラック企業を撲滅しようとしている厚労省が残業時間余裕で150時間オーバー(予算が決まっているので当然満額の残業代は出ない)の1番のブラック企業(役所)であるということと同じですね。
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