訴訟問題に揺れるジョンソン&ジョンソン/ 80億ドルの賠償支払い命令

ジョンソン&ジョンソンの株価が低迷しています。

配当利回り3%前後をうろうろしています。

先日は、アメリカFDAの検査において同社の製品のベビーパウダーにアスベストが含まれることが判明し、1ロット分のベビーパウダーを自発的に市場から回収することを発表し、株価が下落していました。

ジョンソン&ジョンソンは、一貫して自社製品にアスベストは含まれていないことを主張していました。

以下は2018年12月頃の声明文となります。

ジョンソン・アンド・ジョンソンの声明文翻訳しました~アスベスト問題により16年ぶりとなる1日で10%暴落を記録

なお、ジョンソン&ジョンソンの自発的リコールの声明文によると、この検査ではオンラインの小売から購入された1つの製品サンプルから、0.00002%以下のアスベスト混入が明らかになったということです。

アメリカFDAの検査でベビーパウダーにアスベストが含まれることが発表されましたが、ジョンソン&ジョンソンは自社製品に対して過去40年にわたり繰り返し何千回のテストを繰り返しており、そのテストではアスベストは確認できなかったと言及しており、間接的にFDAの検査のがおかしいんじゃないのかという主張が伝わってきます。

ベビーパウダーの件でもすでに数多くの訴訟が発生していることに加え、他の分野でも訴訟を抱えており、この会社は現在訴訟まみれです。

ウォール・ストリートジャーナルの記事によると、「リスパダール」という抗精神病薬の使用によって男性の乳房組織が肥大化するという症状が消費者に発生して訴えられ、フィラデルフィアの裁判所で損害倍賞として80億ドルもの支払いを命じる評決が出ました。

この薬に含まれる副作用をしっかりと警告することをしていなかったというのが理由のようです。

ジョンソン&ジョンソンは当然上訴する予定です。

しかし日本人の感覚からすると、頭おかしい金額ですね。

アメリカ特有の「懲罰的賠償制度」によって、こんな天文学的な金額になっています。これは日本の司法制度にはない制度です。

評決とあるので、陪審による判断であると思われます。

余談ですが、アメリカの裁判ではこのような「素人」の集団である陪審により過大な損害賠償の支払い命令が発生したり、「合理的ではない」判断が下されることがあるので、企業対企業で契約するときには、万一紛争が発生し裁判所で争うことになっても、陪審制度はお互いに利用しないことを予め合意するという内容を契約書で定めてしまうケースもあります。

ジョンソン&ジョンソンは、このリスパダールに関して1万3000件もの訴訟を抱えているということです。

額だけ見るとベビーパウダーよりもこちらの方が心配になりますね。

適当な金額でお上(当局)と手打ちして和解金を支払って終わりという展開になるのでしょうか。

打診買いしたいです。