誰も彼も株式相場が今後どうなるかの予測に余念がありません。
現在は、米中貿易摩擦をめぐる交渉に進展が見られることから相場の重しはなくなると言ったり、米中貿易摩擦をめぐる交渉に不透明感が生じ、景気後退指標も出始めているので警戒が必要とか、日々いろいろな予測が出ます。
株式市場は科学と異なり一定解がないので、いろんな人がいろんな予測をしてそれをビジネスにしています。
よくもまあこんな毎日予測が変わるものだと、株式投資をしている人は思うことも多いことでしょう。
人間はDNAレベルで、将来の予測をせずにはいられない生物であることを実感します。
株式市場の予測といえば、毎年年始に日経新聞で企業経営者を対象にした今年の日経平均や為替予想の特集を思い浮かべます。本当に悲しいくらい毎年当たらないんですよねこれ。ここ数年はみんなトヨタ自動車の株を押しているような印象です。今年は三菱商事や信越化学も多い印象でした。
アナリストや大学教授といった「専門家」の予想がどれくらいの精度で当たるのかを実際に調査する研究がアメリカで実施されているのですが、結論としては、専門家の予測はサイコロを振って決めるのと大して変わらないという結果が出ています。
そのため、安易に専門家の将来予測の意見につられて売買をすると痛手を被る可能性が高いです。
大多数の投資家にとっては、予測に振りまわされてストレスを感じるよりは、一切の予測をしない方が健全です。
それがモルガン・スタンレーの超高学歴のアナリストでもハーバード大学の教授でも同じです。
ハーバード大学の経済学会は、1929年の大暴落の直後に、「現在の株価と景気の落ち込みは、大規模な不況の前兆ではない」と言い、さらに「深刻な不況が起きる確率は無視できる程度に過ぎない」(「大暴落」ジョン・K・ガルブレイス著)と声明を出す黒歴史すらあります。
まさに専門家が選んだ株と猿がダーツで選んだ株のパフォーマンスは変わらないというやつと同じです。
今現在の株式市場の相場というのは、プロの専門家が現時点での情報をすべて考慮して導出した予想をすでに反映した数値になっています。
将来予測というのは、このような市場全体のプロの共通のコンセンサスが今後どのように変動していくかを予測しなければなりません。
以上がいわゆる市場の将来予測に対して批判的な意見の教科書的なものです。
そうは言っても株式投資って、これから相場がどうなるかを考えるのが面白いので、大多数の個人投資家にとってはそうであってもなかなか予測をするのはやめられません。
バフェットやニトリの会長のようなアノマリーとは思えないほど予測精度の高い人もいますので。
「投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント」に記載のあったことなのですが、JPモルガンの創業者は、「株は今度どうなるか?」と尋ねられた時、「変動する」と答えたということです。
変動する以上のことはわからないということですね。
かっこいいセリフなので、会社で「今後企業業績はどうなるか?」と聞かれたら、ただ「変動する」と言おうと思います。
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