中国規制当局によるテンセントのモンスターハンターワールドの発売差し止め措置を受けて、なぜ中国のモンハンはPS4で発売しないのか疑問に思った

テンセントの株価が下落しています。今年中には500香港ドル到達は時間の問題だと思っていましたが、直近の決算で減速したことに加え、全世界で爆発的な大ヒットとなったカプコンのモンスターハンターワールドの中国でのライセンス販売が中国の規制当局によって販売差し止めを受けたというニュースにネガティブに反応しています。
日本は憲法で検閲行為が禁止されていますが、中国は日本と異なり表現行為に対して検閲を実施します。

アニメやゲーム等のコンテンツに対しても、管轄する役所がゲームの内容をチェックし、当局の基準に合致しない場合は当該コンテンツを発売することができません。

モンハンはプレイしたことがないのですが、モンスターとの戦闘シーンで過激なグロ表現があったのか、ストーリーに共産党的によくない部分があったのかもしれません。

しかし、中国(世界でも)最大のゲーム会社テンセントは中国当局側の規制基準を熟知しており役所の人間とも太いパイプを構築しているでしょうから、このビッグタイトルで販売差し止めを受けるなどという当局とのコミュニケーションミスをするとは通常は思えません。当局の意に沿わないことを秘密裡にやっていて、あるいは儲け主義が蔓延して規律が緩んでいるゲーム業界が当局側の人間の鼻について懲罰的・見せしめ的に販売停止措置が取られてしまったのではと疑いの念が出てきます。

モンハンのタイトルのみの局地戦だけでおさまれば影響はないと思いますが(それでも予約だけで100万本以上受注がありました)、他のタイトルにも波及すると厳しくなってきます。

なおカプコンとのライセンス契約で、テンセントはおそらくカプコン側に一定のミニマムギャランティーやライセンスフィーを既に払っていると想像しますが、当局側の規制という、いわば一方的にテンセントやカプコンのどちらかの帰責事由があるとは断定できない不可抗力的な事象の発生によりゲームの配信が不可能になった場合に、もし支払い済みだとしたら、この金額をカプコンがテンセントに返すのか、あるいはそのまま貰ったままなのか、契約内容にもよるので何ともいえませんが、中国当局規制による事業の停滞リスクをライセンスする側(カプコン)が負うのかライセンスされる側(テンセント)が負うのか、個人的には関心があります。日本から中国にコンテンツを輸出する会社によっ ては、避けては通れない事業リスクですね。

なおテンセントは、2017年はひたすら右肩上がりで買いたくても見ているだけという人(特に自分)が多かったと思うので、この下落を好機として買いに入る人も多そうに思います。

買いたい人が多いということは、それだけまだ下がりやすいとも言えます。僕も香港ドルが40万ほどあるので、単元株で買える値段(今は50万強)までテンセントが落ちてきたら・・・と思うものの、たぶんその時は今より悪い状況になっているので自分の胆力では怖くて買えないでしょう。

ところで、今回のモンハンの差し止めのニュースを受けて不思議に思ったことがあります。
それは、中国でのモンスターハンターワールドはテンセントのゲーム配信プラットフォーム「We Game」でリリースされたという点です。

We Gameでプレイしたことがないので分かりませんが、たぶんYahoo Gameのようにゲームコンテンツのダウンロードをすることなくサイトにアクセスしてプレイできる媒体なのでしょう。

関係ないですが、このようにApp StoreやGoogle Playを通じてアプリをダウンロードしてゲームを遊ぶというスタイルから、アップル・グーグルを通さずに直接にゲーム配信サイトにアクセスしてゲームを楽しむというスタイルが今後広がる可能性は相当程度あるのかもしれませんね(アップル、グーグルにとってはアプリ販売やアプリ内課金による手数料売上が減少することを意味します)。

モンハンは、日本やアメリカ、欧州ではプレイステーション4をプラットフォームとして販売しています。それが中国では、PS4ではなくテンセントのプラットフォームでの配信です。これだとソフト販売に掛かってくるソニーへのライセンス料も不要なので利益率が高いのだろうとは思いますが、中国以外ではPS4なのに、なぜ中国だけは違うのか疑問に思ったので中国のゲーム市場についてググっていたところ、とてもわかりやすい記事をJETROのHP上で見つけました

この「中国ゲーム市場の攻略法」という記事によれば、中国ではコンソールゲーム(PS4や任天堂Switchのようにゲーム機を使って遊ぶゲームです)のシェアが低く、2016年では市場シェアはわずか2%しかないということでした。

これに対して、アメリカは48%、日本は38%のコンソールゲームシェアがあるので、極端に低い数字であることがわかります。中国は極端にモバイルゲームとオンラインゲームが市場の中心です。

理由としては、中国では2000年にゲーム機の生産と販売が禁止されたことがあり、2013年になってこれが許可されたため、コンソールゲームの市場での浸透性が低いという経緯のようです。そういえば全世界で爆発的に売れている任天堂Switchもまだ中国ではリリースされていません。

シェアが低いということは逆の見方をいえばチャンスでもあるので、もしSwitchが中国で発売されれば、中国でのゲームのプレイスタイルも変わる可能性はあります。任天堂が、自身で中国で発売するのか、あるいはライセンスしてライセンス先から販売するのか、気になります。

テンセントとしては当然自社プラットフォームで配信したいものだと思いますが、中国でモンハンがPS4で発売されないことは、中国でのコンソール市場の小ささということが原因の1つのようです。・・・と最後に綺麗にまとめようと思っていたのですが、どうやら中国でもモンハンはPS4でリリースされているようです。マルチプラットフォームでの販売です。日本でも、ドラクエXIはプレステ4とニンテンドー3DSの両プラットフォームで発売していたので、これと同じです。

そりゃそうだよね・・もともとPS4タイトルだもの。ソニーだって中国で発売したいですよね。

ネット情報を見る限りはPS4でのモンハンの発売は規制されていないようなので、事態はさらに複雑になります。

ゲームの内容は同じソフトなのに、ソニーのPS4からでているモンハンは当局規制が入らなくて、なぜかテンセントのWe Gameから発売しているモンハンには当局の規制が入り発売が停止になる。

これはソフトの内容というよりも、テンセントに固有の問題があったのではと疑ってしまいます。

中国大陸ゲーム市場は複雑怪奇。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です