持ち株のIBMが10月17日に2018年度第3四半期連結決算を発表しました。
単純に数字だけ見ると減収減益決算となります。
IBMは今回の四半期決算を、「高付加価値ビジネスを反映し、前年同期比で過去3年で最高の売上総利益を達成」としていますが、過去3年で最高の売上総利益達成の割には市場から失望され、株価は終値で7.6%安と大幅下落しました。
売上高が市場予想を下回ったのと、クラウドやAI分野での成長鈍化が嫌気されました。
バフェットが売る前から毎回決算のたびに大幅下落し、バフェットに見切りをつけられ下落し、今回の決算でも大幅下落しと、いつも下落している銘柄ですが、この決算発表後の下落を見て、期待されていないこの銘柄にまだこれだけ売る人が残っていたのかと逆にびっくりしました。
決算概要です。
- 売上高は187.6億ドルで、市場予想191.0ドルを下回る
- 1株利益(EPS)(Non-GAAP)は3.42ドルで、市場予想3.40を上回る
- 通期の予想EPSは少なくとも13.80ドルとし、従来の予想を維持
売上・営業利益・純利益の前年同期比比較
百万ドル | 2018Q3 | 2017Q3 | 増減% |
売上高 | 18,756 | 19,153 | -2.07% |
税引前営業利益 | 2,996 | 3,065 | -2.25% |
純利益 | 2,694 | 2,726 | -1.17% |
希薄化後EPS | 2.94 | 2.92 | 0.68% |
売上高は再び前年同期比で2%超のマイナスとなってしまいました。
IBMの資料では、数字や成長性をよく見せるためか、四半期ベースではなく、過去12か月ベースでの収益の増加のアピールが多いです。
アナリティクス、セキュリティ、クラウド、Watson AI等を含む、IBMが「戦略分野」として注力している分野の売上は、過去12か月間で13%(為替一定ベースだと11%)の増加となる395億ドルとなり、そのうちクラウド分野では20%(為替一定ベースで18%)増加となります。
5つのセグメント別の数字
IBMは事業を5つのセグメントに分けており、各セグメントの売上高の前年同期との比較となります。
百万ドル | コグニティブソリューション | グローバルビジネスサービス | テクノロジーサービス&クラウドプラットフォーム | システム | グローバルファイナンス | その他 |
2018Q3 | 4,148 | 4,130 | 8,292 | 1,736 | 388 | 62 |
2017Q3 | 4,400 | 4,093 | 8,457 | 1,721 | 427 | 56 |
増減% | -5.73% | 0.90% | -1.95% | 0.87% | -9.13% | 10.71% |
Watson AI事業を含むコグニティブ・ソリューション分野(ソリューション・ソフトウェア&トランザクション処理ソフトウェアを含む)は、売上高が5.73%もの減少です。
テクノロジー・サービス&クラウド・プラットフォーム(インフラストラクチャー・サービス、テクニカル・サポート・サービス、統合ソフトウェアを含む)事業も売上高が2%減少しています。
期待されている分野が伸びず、成長が期待できないと判断されてしまいました。
次に、売上総利益率です。
IBMの決算資料では、各セグメントの売上総利益率と前年同期との比較が表示されています。
売上総利益率で見ると、コグニティブ・ソリューション分野は売上総利益率がセグメント別で最も高い分野となりますが、これも78.7%から76.0%と2.7%減少しています。
セグメント | 2018Q3 | 2017Q3 | 増減% |
コグニティブ・ソリューション | 76.0% | 78.7% | -2.7% |
グローバル・ビジネス・サービス | 29.8% | 27.1% | -2.7% |
テクノロジー・サービス&クラウド・プラットフォーム | 42.1% | 40.9% | 1.2% |
システム | 52.7% | 53.6% | -0.9% |
グローバル・ファイナンシング | 26.3% | 25.2% | 1.1% |
全体の売上総利益率は46.9%で、前年同期と同様の数字です。
2018年度通期EPS予想
NON-GAAPベースで、13.80ドル以上、GAAPベースだと11.60ドル以上と予想しています。
年間フリーキャッシュフローについては、120億ドル以上を想定しています。
なおIBMは、第3四半期のフリーキャッシュフローは22億ドルであり、14億ドルの配当支払いと6億ドルの自社株買いの実施により株主還元を実施しています。
引き続きホールド
市場の期待に満たない数字で、全体の売上の低迷と、成長が期待される戦略分野の業績低迷で大幅下落しましたが、かといって稼ぐ力が衰退しているわけでもありません。
事業の成長は数字となって表れませんが、年間純利益1兆円以上稼げる高配当優良企業なのは変わらないので、淡々とインカムをくれれば良い自分としてはニュートラルで引き続きホールドです。
早く誰も期待しない銘柄になれば良いなと思います。
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