NTTドコモが10月31日に2018年度第2四半期の決算を発表しました。
決算内容自体は、良いものでした。
売上高、利益ともに伸長し、通年での業績予測も上方修正をしています。
株価暴落の原因となったのは、決算発表において、2019年度第1四半期に携帯料金を2割から4割値下げする新料金プランを実施し今後利益が減少すると発表したことです。
決算のポイント
- 2018年上期は、売上高・営業利益・純利益ともに前年同期比アップの増収増益決算
- 通信事業の営業利益は7.2%増加し、スマートライフ領域の営業利益は21.9%増加
- 上期で740億円のコスト効率化を達成。年間目標は1200億円
- 携帯料金を2割〜4割低廉化させる新プランを発表
- 継続的な増配と自己株式取得による株主還元を表明
- 2020年代へ向けて、モバイル通信収入が中心になっている現状を、会員サービスを軸とした事業運営への転換を図る
業績
(億円単位) | 2017年度上期 | 2018年度上期 | 増減% |
売上高 | 22,945 | 23,895 | 4.1% |
営業利益 | 5,599 | 6,105 | 9.0% |
純利益 | 3,921 | 4,071 | 3.8% |
フリーキャッシュフロー | 3,913 | 3,747 | -4.2% |
セグメント別の数字
ドコモは事業セグメントを通信事業とスマートライフ領域の2つに分けています。
通信事業は、ドコモのメインとなる事業で、携帯電話の契約によるモバイル通信サービスを中心とする事業です。
スマートライフ領域はコンテンツ配信(dTV、dマガジンなど)や金融・決済サービス、ライフスタイルサービス、法人ソリューションなどです。
セグメント別の売上構成比のグラフです。
売上構成比は、通信事業が82%、スマートライフ領域が18%となっており、モバイル通信サービスでの収益が圧倒的です。
今後値下げによる通信事業の利益率が低下するため、ドコモはスマートライフ領域の伸長でこれを補完したい考えです。
営業利益率ベースでみると、通信事業の営業利益率が26.7%、スマートライフ領域の営業利益率が19.5%となります。利益率でもモバイル通信サービスのが高いです。
今タームの各セグメントの売上高と営業利益は以下のようになります。売上高・営業利益ともに数字は伸びています。
(出典:NTTドコモ決算資料。以下同じ)
売上高と営業利益の伸び率を表すと以下のグラフのようになります。
通信事業の売上高が4.9%アップ、営業利益は7.2%アップと堅調に推移していますが、力を入れているスマートライフ領域の営業利益率が21.8%も伸びています。
ユーザーへの携帯料金の2割から4割の値下げを発表
株価暴落の原因となった、ユーザーへの新料金プランの発表です。実施時期は2019年度第1四半期です。
ドコモは2023年度に営業利益が2017年度水準の9900億円へ回復することを目指すとしてます。
会社の予定通りに行っても5年間は業績は減益すると宣言したということです。
5年も先のことを予想しても絶対に当たらないので、利益の回復時期がこれより後退する蓋然性も相当程度あると考えておいたほうが良いように思います。
携帯電話以外での、スマートライフ事業、法人ビジネスとった他の事業がどれだけ伸びるか(あるいは伸びないか)が重要になってきます。
6000億円の自社株買いを発表
5年間もの間減益になることを宣言されて頭に血が上って暴動を起こしそうな株主へのアピールでしょうか。
決算発表と同時に、ドコモは6000億円を上限とする自社株買いを発表しています。
期間は、2018年11月1日から2019年3月31日までです。
6000億円という規模は、ドコモ史上過去最大規模の金額です(2003年度と2004年度も同額)。
ドコモの2013年度からの自社株買いと配当金による株主還元の推移です。
ドコモは株主還元方針として、継続的な増配と自己株式取得を加速するとしています。減益確定なのに継続的な増配をするということは、配当性向はあげるつもりなのでしょうかね。今は50%ほどです。
来年増配しなかったら株主総会は荒れそうです。
配当金に関しては、ドコモは2018年に1株あたりの年間配当金を100円から110円へと10%増配しています。
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