アニメゴジラ映画「GODZILLA 星を喰う者」が残念な映画になっている5つの理由

(画像は公式HPから)

先週公開されたアニメゴジラ映画3部作の最終章、「GODZILLA 星を喰う者」を見てきたのでレビューします。

直接的なストーリーの中身までは書きませんが、映画の全体像や構成のネタバレは含んでいます。

客層は、インドア派っぽいオーラを出した色白でリュックを背負ったもてなさそうな男性が多かったです。

僕はゴジラ映画大好きです。

年代的には少年時代が平成VSシリーズだったのでこのシリーズが1番好きで、その後に始まったミレニアムシリーズは稚拙ぶりと劣化ぶりに怒りを抑えきれずゴジラ映画と認めていません。

91年の「ゴジラVSキングギドラ」、93年の「ゴジラVSメカゴジラ」、94年の「ゴジラVSスペースゴジラ」が特に好きです。「ゴジラVSデストロイア」は、怪獣バトルシーンは良いものの全体的に昭和臭がしVSスペースゴジラから劣化しており、あまり好きではないです。

本作を劇場で見る価値があるかどうかですが、ゴジラが好きな人は劇場で見ると間違いなく後悔します。ただ、劇場で見なくても後悔します。そういう絶妙な出来栄えの映画です。

過去に偉人が、「結婚したまえ、君は後悔するだろう。結婚しないでいたまえ、君は後悔するだろう」と言いましたが、それと同じです。

ゴジラ映画どうこうのを抜きに1本の映画として客観的に見て、最低限のクオリティはある映画です。

が、不満をぶつぶつ述べながら酒が飲める映画です(僕は酒飲めません)。

以下、本映画の残念な5つの点を述べます。

1 ゴジラが主役でない

ゴジラ打倒を目指す人間側の主演キャラクターが映画の主役で、ゴジラは本映画では脇役ポジションです。

ゴジラ映画の主人公はゴジラであるという曲げてはいけない部分がヘニャヘニャに曲がっています。

もうゴジラ映画として根本から崩壊しています。

これストーリーのプロット段階で誰か異議挟まなかったんですかね。

東宝さんは契約でストーリー内容の承認権・監修権を確保できていなかったんですか?

確保していて何も言わなかったなら、それは不作為の罪です。

ゴジラの出番がそもそも少ないです。遺憾の極みです。

無駄に声優使う必要ないので、制作費足らないなら声優に使うお金をゴジラのCGに使ってください。

2 非ゴジラ要素が多すぎる

ゴジラが一切本質に関わってこない人間側の眠くなるストーリーが延々と展開されます。

宗教、闇、恐れ、宇宙、滅び、信仰、永遠といったことが絡む一見深淵なテーマを扱いつつも底の浅い空虚な内容です。

主演キャラクターの内面の葛藤、彼を取り巻く人々とのやりとり、抑揚のない単調な会話シーンの連続といったおなじみの退屈さもあります。

ゴジラが登場しないシーンでも、それがゴジラ打倒に向けた作戦行動の一環とか、ゴジラ誕生の起源に迫るものとか、ゴジラの弱点に迫るものとか、何らかゴジラと繋がりの保てる要素を描いてくれると後のクライマックスシーンにも繋がりを保てて身を入れて見ることができますが、完全にゴジラとは無関係の内容がひたすら展開されるので、さすがに厳しいです。

ゴジラの置いてけぼり感がハンパない。

3 怪獣バトルシーンがない

ゴジラ映画で描かれる怪獣同士の普通のバトルシーンがありません。

前作「GODZILLA 決戦機動増殖都市」でメカゴジラが登場しなかったことでそういう展開になるんだろうなと想定メインシナリオとして考えていましたが、生物体生物としての激しい熱線と光線の応酬、肉弾戦の展開といった怪獣バトルはこの映画にはないです。

なんでこうなったんだと100回叫びたい。

観客が1番みたい要素を外す意味が理解できない。「あえてそういう要素を外した」とか頼むからあえないでくれ。

「ギドラ」と戦うシーンはありますが、「ギドラ」はゴジラファンが期待するキングギドラではありません。

最初は圧倒的だけと最後のやられ方がしょぼくてあっけないという点だけは無駄にキングギドラっぽいです。

4 ゴジラの圧倒的な強さが描かれていない

今作はゴジラの扱いが過去最高に酷いです。

もう製作陣のネタ切れと力不足が明らかです。

「GODZILLA 怪獣惑星」ではゴジラアースを最後に登場させるという絶望的な展開を巧みに描写し、「GODZILLA 決戦機動増殖都市」ではメカゴジラシティの猛攻を前に自己の体温を急上昇させるという変則技を出し最後はゴジラ無双したりと、観客が1番求めている「ゴジラのかっこいいシーン」「ゴジラの圧倒的な強さが描かれるシーン」がありましたが、今作はゴジラはモブキャラ扱いなので、適当に熱線吐いて終わりです。

消化不足が甚だしいです。

パワーアップもなければ新技もありません。

最終章だから最後にゴジラに派手に赤色熱線吐かせるようにしようという話にならなかったんですね。ただ、無念だ。

5 胸熱感がゼロ

ハラハラドキドキするシーンや胸が熱くなる戦闘シーンは皆無です。

クライマックスシーンと呼べるシーンもありません。

メカゴジラに第二の脳を破壊されて半死状態になったゴジラを見てハラハラしたり、ゴジラとモゲラ(人間)が手を組んでスペースゴジラに共闘して挑むといったわくわくするシーンもないです。

戦闘シーンは終始ただただ単調です。何のカタルシスも得られません。

なんでこんなことになってしまったんですか?

おまけ:モスラは出ません

キングギドラとの戦いで窮地に陥ったゴジラをモスラが助け、モスラのパワーをもらったゴジラがバーンスパイラル熱線(通常の青白い熱線でなく赤い熱線)を放ちキングギドラを撃破というベタな展開を期待していたのですが、そんなかっこいいシーンは1ミリもありませんでした。

モスラはいないものと考えてください。扱いが酷すぎて可哀想。

唯一のファインプレー

今回登場するゴジラ以外の怪獣っぽい形をした存在はキングギドラではなく、「ギドラ」という名前です。

名前を「ギドラ」にしたことだけはファインプレーです。

なぜなら、映画を見て怒り心頭のゴジラファンから、「もっとキングギドラをちゃんと出せやごらあ!」とクレームが来ても、「お客様、あれはギドラであってキングギドラではございません」と完全に防御できますからね。

アニメゴジラ3部作の評価順は、第1章『GODZILLA 怪獣惑星』>>第2章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』>>>>>>>>>第3章『GODZILLA 星を喰う者』となります。

後半に行くほど失速し最終章が最も駄作という、期待していただけにゴジラファンとして本当に残念なものでした。

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