たばこ株ホルダーにとっては急展開の見逃せないニュースが流れてきました。
ウォールストリート・ジャーナルによれば、アルトリアグループ(MO)が、電子たばこ最大手のJuul Labsに投資する協議を実施しているということです。
このニュースを受けて、アルトリアの株価は高騰しました。
Juulは、アメリカの新興たばこ企業で、創設からまだ3年の若い企業です。
上場はしていませんが、2018年夏の時点における時価総額は約160億ドル(約1.76兆円)と言われています。
「Juul」という電子たばこがアメリカの10代を含む若者を中心に大ヒットしており、この分野の製品では伝統的ビッグタバコのアルトリアもブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)も完全に劣勢に回っています。
Juulは、電子たばこ市場のシェアの約70%を占めるほど圧倒的なシェアを持つ製品で、マンゴーフルーツ味とかクリーム味といったフルーツフレーバー味の香りがハイティーンの若者を魅了しています。また、SNSを用いたマーケティングも有効活用しています。
高校生を含む10代の間であまりに電子たばこがヒットしてしまったためにアメリカではこれが社会問題となっており、若者をニコチン中毒から守るためにアメリカFDAが電子たばこの販売規制を出したのは記憶に新しいです。
この手のニュースはウォールストリート・ジャーナルの報道が早いですね。FDAのメンソール製品規制もウォールストリート・ジャーナルが初めに報道してましたし、今回もウォールストリート・ジャーナルで報道したものを他のアメリカ大手メディアのCNBCやニューヨークタイムズが引用しています。
投資規模としては、Juulを完全に買収し100%子会社してしまうというものではなく、過半数未満の株式の取得規模となります。
50%に満たない範囲で、大規模な投資を実施する運びです。
時期としては、2018年の年内には合意が成立する予定です。
今回のアルトリアによる投資は、双方にとってメリットがあります。
アルトリアがJuulに投資することで、JuulはFDAからの規制防衛のための資金を獲得できますし、FDAと何十年にも渡り規制の対話とバトル(?)を続けてきたアルトリア大先生の「対FDA対応ノウハウ」を活用できます。
FDAへの規制対応コストが増大していくという現実が、今回Juulをアルトリアとのパートナーシップに向かわせたと考えられます。
一方で、アルトリアにとっては、伝統的な紙巻たばこの需要が年々減少する中で、拡大している電子たばこ製品市場での高いプレゼンスを得ることができます。
今回のニュースは、まだ正式にアルトリアとJuulによって対外発表されたディールではありませんが、こうなってくるとJuulはアルトリアの敵だからFDAに電子たばこが派手に規制されて残念!と気楽に思っていましたがそうでもなくなってきます。
両者共存共栄の関係として、是非ともFDAの科学的根拠のない規制に対抗して欲しいところです。
しかしこうなると、メンソール規制で1番業績ダメージが大きいと想定され、電子たばこ市場もアルトリアに取られてしまってと、より一層BTIの存在感が薄くなってしまいますね。
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