マイホームの購入が決定してから、まだ建物の完成までかなり時間があることから実際の引渡しまではまだまだ時間があります。
しかし、妻の頭はすでに新居の家具をどうするか、どう部屋を使うか、カーテンを絨毯をどうするか、来るべき引越しの日までにどれを買い揃えなければならないのかということで頭がいっぱいです。
僕は、1ヶ月以上先の話だと遥か未来の話と捉え興味がないので、空返事で答えて妻をネガティブに刺激してしまいます。
我が家では、妻が西洋家具が好きで、僕は部屋のレイアウトに興味がないので、なかなか話が合いません。
垂直志向の欧州と水平志向の日本
僕は、面積をとる西洋家具を入れるという思想には親近感を持ちません。マンションのモデルルームは、完全に西洋家具に毒されているので好きではありません。
これは広い住環境を可能としている大陸だからこそ成立する志向です。
古来わが国は、椅子に座る文化ではなく、床に直接座るという文化です。
椅子に座り天井を見上げるという行為は、垂直志向である欧州的な所作であり、床に直接座りやや下に目をやるというのが、日本的な水平志向の所作です。
だからこそ、欧州の建造物には天井に豪華絢爛なステンドグラスの装飾が施されていますが、垂直的志向ではなく水平的志向のわが国には天井に絵画を描いたりきらびやかな紋様を付するという思考はないのです。
教会に代表されるような高層階建物と螺旋階段を特徴とする、垂直志向建築・回転の文化たる欧州と、長屋の1階建てに代表される水平志向建築と押し扉ではない「引き戸」を特徴とする日本式建築とは相容れないのです。
障子もお寺の鐘も、日本では「引く」水平方式です。これが欧州では扉を「押して」開け、教会の鐘も日本と異なり「押す」垂直方式なのです。
わが国の住宅では、広々と面積を占有するテーブルではなく、折りたたんで格納することができる小さな机やちゃぶ台があれば足ります。
またベッドというこの上なく面積をとるくせに夜寝るときしか使用しない西洋家具も蛇足の極みです。
日本人は古来から布団を夜敷き、朝になればそれを畳んで収納するという生活様式なのですから、ベッドを買うという思考に執着せずに、布団を使用して面積を有効活用すればいいのです。
なお以上のような屁理屈を妻に面と向かって述べると夫婦関係にひびが入るためそんなこと言う勇気は1ミリもありません。
水平志向で受容体質の僕は、妻の意見を鋭意受容する以外選択肢はありません。
光をコントロールする欧州と光を受容する日本
そんな僕ですが、ささやかな抵抗をしているところが1つあります。
それは、妻と子供が寝た後に、光が入るほうのカーテンをすべて開けるのです。これは結婚する前に付き合っている時からそうだったのですが、妻は夜寝る前必ずカーテンをすべて閉めます。そして僕は必ずカーテンを全開にして寝ます。
ここに譲りえない二項対立問題が出現します。
僕は朝、何も遮るもののない太陽の光を浴びて起きたいのです。この僕の太陽の光への渇望を誰も遮ることなどできません。
そして妻も僕も我が強く譲らない性格のため、今日に至ってもこのカーテン夜になったら閉めるか全開にしておくか問題は決着がついておりません。
僕は、カーテンという光を遮るものが好きではありません。
日本には古来、カーテンなるものは存在しませんでした。これは西洋からの輸入品なのです。
ヨーロッパは、光を自らの力で支配しようとしました。
そのため、カーテンやレースといった道具により、ガラスを挟んで光を遮ることにしたのです。合理的な人間が自然をコントロールするという発想です。
対比して日本人は、そのような自然をコントロールするという発想はとりません。
敵対せず、受容するのです。
日本はカーテンで直接光を遮ることをせず、庇を深くして光を和らげたり、紙でできた障子を使うことで、光の光度を和らげたうえで光を通過させるのです。
半透明の文化です。なんと繊細なる民族でありましょうか。
そしてこの障子から入る光の陰影が、日本的な独特の情緒を発生させ、わび、さびにつながってゆくのです。
夜寝る前にカーテンを閉めるという行為は、光を自分がコントロールしたいという欧州的傲慢なる志向に他なりません。
受容文化の伝統を体現する僕は、自然を受け入れ調和する道にいるのです。
ということで、夜カーテンを開けるというささやかな草の根のレジスタンス運動を継続中です。
なお僕はソファーだけは好きです。ソファーで映画を見るために、一人暮らししていた独身のときにIKEAで大きなソファーを買いました。
大事な愛着のあるソファーでした。西洋家具っていいな。
その後引越しと同時に妻の希望で処分してしまいましたが。
この辺の感覚が合わないと日常生活疲れませんか?
まあ人間はどんな環境にでも慣れることができるみたいですが、ストレス貯まりそうだなと感じました。
でも新しいものっていいですよね。奥様の期待の大きさもわかります^^
たまっているからこうして書いてささやかに発散しているのかなと思います笑
自分も偏屈なところがあって妻に気苦労をかけているところがあるので、そこは申し訳ないなと思うところもありますね。
新居はもう早く引っ越したいと思っています!