新築マンションのモデルルームで営業パーソンからほぼ必ず言われる4つの定型営業文句に騙されてはいけない

いくつかのファミリー向け新築マンションのモデルルームを訪れ、マンション購入時に不動産業者と交わすマイホームの売買契約書や重要事項説明書の内容にケチをつけ修正要求した僕が、一般ファミリー向けの新築マンションのモデルルームで営業パーソンから必ずといっていいほど言われた営業の定型トークを紹介します。

新築マンションの営業トークのテンプレのようなものです。

少し長文となりましたが、これから新築マンションの購入を検討している方は参考にしてみてください。

また、マイホーム購入は夫か妻かどちらかが盛り上がってしまうとマイホームに賭けるそのエネルギーが手に負えなくなりますので、配偶者とあらかじめ営業員の常套句を共通理解しておくとよいと思います。

新築マンションのモデルルームとは、巧みな営業パーソンのトークとプロのインテリアデザイナーが設計した素敵空間に合うように洒落た西洋家具を配置したオプション仕様満載のモデルルームで訪問したカスタマーを魔法にかけてマンション購入に誘う場所であると定義することが可能です。

もちろん、モデルルームを建設する土地の賃貸費用、モデルルームが入る営業事務所の建設費用、モデルルームの空間設計をプロのインテリアデザイナーに外注する費用、モデルルーム内に配置される西洋家具の購入費用、モデルルームの営業員に係る人件費といった各種費用は販売するマンション価格に上乗せされて不動産販売業者に利益がでるような価格が設定されています。

新築マンションのモデルルームをいくつか訪問していると、また営業パーソンがお馴染みの営業文句言っているよと気づく瞬間が訪れます。

特に、富裕層を対象としたマンションではなく、一般のファミリー向けの普通のマンションのモデルルームは、そのマンションに固有の情報を除けば営業マンから言われることは大抵どこの会社でも同じような内容になります。

営業パーソンも、富裕層でもない頭のゆるい中小所得層のファミリーには適当にこれらのセールストークをしとけば購入してくれるだろうと見ている面はあると思われます。

本記事で述べるモデルルームで営業パーソンに言われる4つの定型句は下のようになります。

  1. マンションは資産になる
  2. 不動産価格は将来的に値上がりする
  3. 夫に万一の時があったときの保険・保障になる
  4. 今の家賃より安くなります

それでは、順次内容を見ていきます。

モデルルームで営業パーソンに言われる定型文句その1:マンションは資産になる

ただのファミリー向けマンションが資産になるわけないだろボケ。

大変失礼しました。不謹慎な言葉を使用してしまいました。毎回のようにこの言葉を言われたのでこの言葉に対してもうアレルギー反応が出てしまいます。

マンションは資産になるというのはまず間違いなく言われる言葉です。マンションは実物資産にもなりますとかよく言われます。

初めてのモデルルーム体験で、「マンションは資産です」と言われると、ふむそんなものかと納得してしまいがちです。

ただ、ここは立ち止まってよく考えてみる必要があります。

マイホームマンションは資産ではありません。

資産とは、配当を産んでくれる株式や、家賃収入を産んでくれる賃貸マンションのように、自分の財布にお金をもたらしてくれるものをいいます。

自分や家族と暮らすマイホームは、一銭たりとも自分の財布にお金が入りませんので、資産ではありません。

資産ではなく、お金が出ていく単なる「負債」です。

大切な家族の生活やかけがいのない思い出が詰まるマイホームを「負債」と呼ぶのは感覚的に受け入れがたく、個人的にも家族で暮らすマイホームを負債であるとは考えていませんが、人間の感情を抜きにして経済合理的に考えると、マイホームは負債以外の何物でもありません。

ほとんどの人は35年ローンをしてマイホームを購入しますから、35年間自分の財布からお金を奪っていく負債なのです。

ローンの支払いが終わった35年後には誰も買いたくない老朽化したコンクリートの塊が残るだけです。

都市圏の一部の地域の高級マンションだと今後のマンション価格の値上がりが見込め、資産価値の上昇があるという場合もありますが、人口が減り住宅が余る日本で、郊外に建てられた普通のファミリー向けマンションの資産価値が上昇すると考えるほうが無理があります。

モデルルームで営業パーソンに言われる定型文句その2:不動産価格は将来的に値上がりする

マンション価格が今後値上がりしていくから、今が買い時です!というのも、営業マンの常套句筆頭格の営業トークです。

マンションという存在がこの世に生まれてからモデルルームの現場でこれまでずっと言われ続けている言葉だと思います。営業サイドからすると常に今が買い時なのです。

東京大学や京都大学を出た優れたエコノミストでも将来の不動産価格の予想をするのは困難を極めるのに、ただの不動産販売営業員に今後マンション価格が上がっていくかどうかなど分かるはずがありません

上がると分かっているならあなたが買えよという話です。

不動産価格が上昇していくかについては、「将来どうなるかわからない」が正解です。

アベノミクス以降はマンション価格が上昇傾向ではありますが、現在はその勢いもなくなってきました。

人口が増加し高度経済成長期であったバブル崩壊前の日本では土地や不動産価格が上昇していくのが当然とする「不動産神話」なるものがありました。

しかし、人口が減少し不動産の総需要が減少することに加え経済成長率も1%台の日本では一部の地域を除いて不動産価格が上昇していくのは厳しいと考えるのが自然かと思います。

加えて、新築マンションは購入時の価格が1番高くて年々価格が下落していくのが一般的です。

値上がりが見込めると思って買ったマンションが資産価値が下落していくただの「負動産」になる可能性がるということを頭に入れておかないといけません。

モデルルームで営業パーソンに言われる定型文句その3:夫に万一の時があったときの保険・保障になる

住宅ローンを組む時は、住宅ローンの中に「団体信用生命保険」という保険に加入することが一般的です。

団体信用生命保険とは、住宅ローンの残債が残っている途中でローン負債を負っている者が死亡した場合に、残りの住宅ローンの支払いが保険金で肩代わりされるというものです。

簡単に言えば、夫が35年ローンを組んで不幸にもマイホーム購入から10年目に亡くなってしまった場合、この生命保険からの保険金で残り25年分のローンが完済され、残された妻と子どもは一切ローンの負担を肩代わりしなくてよいということです。

夫に早く逝ってほしい妻にとっては夫はいなくなるわローンはなくなるわでとてもありがたい制度だと思います(笑)。

団体信用生命保険は、共働きではなく、夫婦のいずれか一方が家庭の経済力を担っている専業主婦(夫)世帯だと特に効用が大きい制度です。

この制度をダシに、担当営業員から、旦那様に万一のことがあっても安心です、旦那様側から見ても、マイホームを買うことで万一のことがあっても家族に資産を残すことが出来ますと普通に家族の前で夫が殺された前提の話をされます

いやオレまだ死なないからといっても、妻側から見れば早く家だけ残して逝ってほしいと思われているかもしれませんので、この話をされても余計な反論はせずに聞き流しましょう。

この話をされると夫側は苦しいです。

否定すると自分に万一のことがあった場合の家族のことを考えていないように捉えられてしまうし、多額の生命保険に入っているという場合を除けば、自分に万一があっても家を残せるというのは家族にとっては安心材料で正論ですので、安心と安定を重視する妻目線から見れば家族を思うなら早くこの保険に入ってくれという話になってしまいます。

適当に早く話題を変えてしまうのが得策です。

ある大手鉄鋼メーカーのグループの不動産会社の営業員などは、一通り話を聞いてモデルルームの見学が終了してモデルルームから出る帰り際に、わざわざ妻の隣まで行って「万が一のときがあった場合の資産になります」としつこくアピールしてすり込もうとしているのを見て、決してこの会社からマンションを買ってなるものかと決意を固くしました。

そのため、マンション営業員側に一言いうと、あまりこの点をアピールすると夫側の心証を損ねるので、軽く利点を伝える程度に抑えておいたほうが良いと思います。

モデルルームで営業パーソンに言われる定型文句その4:今の家賃より安くなります

安くなるわけないだろ小学校低学年から算数やり直してこい

この定型文句は景品表示法に定める有利誤認に該当し不当表示認定して不動産広告から排除した方が一般国民の利益になると思っています。

これはよくマンションのチラシ広告でも見られる表現で、「今の家賃と比べてみてください!」「今の家賃より毎月の支払いは安くなります!」と謳って販売マンションの1番安い部屋の35年ローンの試算をして、月々の支払がたったこれだけですみたいによく書いてありますが、今の家賃より安くならないケースのが大半です。

見かけの数字に騙されてはいけません。

モデルルームではこちらが何も言わなくても必ずローンの毎月払いの想定金額を試算してデータを持ってきます。

営業マンの仕事は、マンションを売ることです。なので、シミュレーションして出る毎月払いの数字を見かけ上は小さくしてモデルルーム訪問客にこの金額なら買えるかもと思わせるのが戦略です。

ローンのシミュレーションでは、初めの数年間の支払い金額を低く見せるために、必ず不動産会社が提携している金融機関の中で1番低い変動金利を適用して計算したデータを持ってきます。0.6%とか0.7%とか0%台の変動金利での試算結果です。

変動金利は、世の中の情勢に応じて将来の適用金利が変わります。金利の変動リスクを受け入れるという方は変動金利でよいですが、常に一定の金利にして金利変動のリスクを取りたくないという方は、変動金利ではなく固定金利で試算を出してもらう必要があります。

その場合も、不動産会社が提携している金融機関の中の1番低い固定金利の利率ではなくて、保守的に見て2%を超える金利とか3%の金利とかで余裕をもって計算してもらうと良いと思います。

ここも自分から営業マンに指示しないと金額が高くなる固定金利でのシミュレーション結果など持ってきてくれませんので、自分でしっかりと指示しましょう。

ローンのシミュレーション時におけるボーナス払いの有無も注意が必要です。ボーナス払いをすると、見かけ上の毎月の支払額は小さくなります。ただ、ボーナス月に多く支払うのですから、トータルで見れば支払う金額の数字は変わりません。

業績の変動によって削減される可能性のあるボーナス払いはしないほうが無難です。

ボーナス払いはなしで試算してもらうべきです。

また、マンションには管理費用と積立修繕金が毎月かかることと、固定資産税がかかることを計算に入れる必要があります。毎月のローン支払い資産額の計算には、これら費用は一切含まれていません。

3000万円台から4000万円台のマンションであれば、これら費用によりたいてい毎月ローンの支払いにプラスして4万円くらいの支出が必要になるという現実を理解する必要があります。

そのため、ローンシミュレーションで出てきた毎月の支払額プラス4万円くらいが実際の毎月の負担額です。

しかも、管理費や積立修繕金は年月を経るに従って上昇していきます。

新築マンションでは見かけ上の負担金の金額を低くしてカスタマーに見せるために、はじめの数年間の管理費と積立修繕金の金額が低めに設定されていることもありますので、この点も注意が必要です。

今後35年間管理費と積立修繕金がどのようなペースで増えていく想定なのか、しっかりと不動産販売会社にデータを見せてもらって確認しましょう。

築年数が増えた後にこんなに積立修繕金が増えるなんて聞いていないといった事態になっても遅いです。

数年か10年単位で毎月の積立修繕金とは別に数十万円規模の追加の積立修繕金の支払いを求められることもあります。

管理費と積立修繕金が増えるに従ってマンションは老化し資産価値は下落していきます。

管理費や積立修繕金は、あくまでマンションの共有部分のメンテナンスや修繕にかかるお金なので、自分のマンションの部屋の経年劣化に伴うメンテナンス・修繕・補修費用は別途必要だということも認識する必要があります。

まとめますと、ローンのシミュレーションを資産してもらう場合には、何も言わないと1番安い変動金利での試算を出して見かけ上の数字を低くしたデータを出されますので、必ず、以下の条件でシミュレーションしてもらいましょう。

  • ボーナス払いはなし
  • 金利は変動金利ではなく固定金利
  • 毎月のローン支払い額に加えて20年後の想定管理費用・積立修繕金を加算する
  • 固定資産税の金額を加算する

なお、お金がかかる話ばかりで気が滅入りますが、マンション購入時には、別途一括積立修繕金、マンションの所有権移転の登記費用、ローン契約締結時の初期費用等々で、物件価格の3~4%ほどの初期費用が発生します。これは毎月のローンの支払いとはまったく別に必要になる費用です。この初期費用も考慮に入れる必要があります。

以上のように、高額な初期費用、毎月発生し年々上昇していく管理費・積立修繕金、毎年かかる固定資産税、専用部分である自室のメンテナンス費用・補修費用を計算に入れたうえで、1番見かけ上の支払い金額が低くなる変動金利でのローン計算方法を固定金利での計算方法に変えるということをすると、トータルで見ると現在の家賃よりもマンションを購入した方が毎月の支払額が低くなるとは、ほとんどのケースで該当しない大嘘であるということが分かります。

モデルルームでは初めにアンケート用紙への記入が求められ、そこに現在の家賃を記入する欄がありますが、「今の家賃より間違いなくお安くなります」とウソを言われても面倒なので、家賃は高めの金額を書いておくと余計な面倒がなくてよいでしょう。

まとめ

以上、新築マンションのモデルルームで営業員からほぼ必ず言われる常套句として下の4つを見てきました。

  1. マンションは資産になる
  2. 不動産価格は将来的に値上がりする
  3. 夫に万一の時があったときの保険・保障になる
  4. 現在の家賃より新築マンションを買ったほうが毎月の支払いは安くなります

これら一見最もらしく見える文句をそのまま鵜呑みにすると大変危険です。

営業員の言うことをそのまま受け取らずに、必ず自分で調べて自分の頭で納得するまで考える必要があります。

唯一、3の「夫に万一の時があったときの保険・保障になる」という点だけは、妻から見ると、まったくもってその通りだわ、あなた早くローン組んで私と家族を安心させてちょうだいとなってしまうので、説得的な反論根拠が乏しいのが夫にはつらいところではあります。

モデルルームの営業員の仕事とはマンションを売ることです。売って終わりです。買った後の顧客のことなど興味ないしどうでもよいのです。

しかも新築マンションの販売業務を実施するは、実際のマンションの売主ではないことがほとんどです。ただの下請け外注先に過ぎません

何を言っているのか分からないと言う人もいると思いますが、マンション広告などをよく見ると、隅のほうに小さく書かれている誰も注意を向けて読まないところをよく見てみると、マンションの「売主」と「販売提携(代理)」が別の会社というパターンがほとんどです。

「販売提携(代理)」とはデベロッパー(三菱地所、三井不動産、野村不動産、住友不動産、東急不動産などの不動産会社)からマンションの販売を外注され委託されている会社です。

三菱地所が売主となる「ザ・パークハウス」や三井不動産が売主となる「パークホームズ」、野村不動産が売主となる「オハナ」「プラウド」、住友不動産が売主となる「シティハウス」、東急不動産が売主となる「ブランズ」のモデルルームには、三菱地所や三井不動産や野村不動産や住友不動産や東急不動産の高給取りのホワイトカラーの社員はいません。

顧客へマンションを売るという面倒くさくて付加価値のない業務は、これら中核会社は自らせずに、販売代理に特化したグループ会社や外注先に委託しているのです。

「売主:三菱地所、販売代理:長谷工アーベスト」といった場合だと、三菱地所がマンションの販売業務を長谷工アーベストに委託している事例なので、モデルルームでもらう名刺はすべて長谷工アーベスト社員のものです。

そして販売を請け負っている会社の仕事は顧客最優先の対応をすることではなく、マンション販売を受託しお金をもらっている請負先のためにマンションを売切ることです。売ってしまえばその後のことはもう販売会社には関係ありません。

請け負った業務外の無関係の事象に過ぎません。

マンション販売はそういう世界です。

営業員は基本マンションを売るために都合の言いことしか言わないし、都合の悪いことはこちらから明確に要求しないと情報をくれません。

しっかり自分で知識武装して、モデルルーム見学に行きましょう。

マンション業界のことを真面目に勉強し中途半端な知識を身に付けた人ほど、担当営業員の言うことにいちいち揚げ足をとらずにはいられなくなり、ひねくれものになって新築マンションなど到底買うものか、新築マンション買うやつなんて経済合理性から逸脱したアホなやつだという思考になってしまいますが、それでも僕は買いましたので大丈夫です。

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