大手不動産デベロッパー(マンション販売業者)に売買契約書の電子締結(クラウド契約)を打診したら受け入れてもらえるのか?

僕はマイホーム(新築マンションです)を購入することを決意し、既に不動産業者との契約書の締結を済ませております。

今回は、契約締結に当たりデベロッパーに対して僕が要求したこととその結果の一部を、自分の人生の軌跡として、またマンションの購入を決意した方が何らかの理由でこのブログを訪れた際の業者とのやり取りの過去の1つの前例として、もしかしたら参考になるかもしれないので記録したいと思います。

対象物件と業者の属性

僕が購入を決めたマンションとマンション販売業者の属性はおおよそ以下のような感じです。

マンションの属性

普通のファミリー向けのマンションです。

  • 新築
  • マンション自体は、竣工(建物の完成)と引渡は数か月以上先の状態のまだ完成していない状態
  • 主要ターゲットはファミリー層向け

不動産業者

業界的には大手に属する不動産デベロッパーです。

自分は何を要求したのか、またその理由は?

マンションの売買契約書を締結する際、売買契約書の締結を、書面での締結ではなく電子締結(システムによるクラウド上での電子的な契約締結)はできないかと要求しました。

理由は、書面で契約書を締結するさいに発生する印紙税数万円を払いたくなかったからです。

契約書の電子締結とは何か?

契約書は、通常は紙媒体の原本を2部用意し、締結者のお互いの住所・氏名を記載のうえ仰々しく判子を押す(よく失敗する割り印も)というのが通常のやり方です。

今日も日本全国で、数多の契約書が締結されていることでしょう。

ただ、ここ数年、このような紙ベースでの契約書の締結方法に代わる方法が誕生しました。

契約書を、紙を用いずにウェブ上でお互いが合意する方法で締結するという電子締結です。
年々これらの契約書の電子締結サービスを導入する企業が増加しており、僕もこのシステムを業務で使用したことがあります。

弁護士ドットコム、ドキュサイン、アドビが契約の電子締結サービスを提供

今回の記事では蛇足ですが、日本企業では「弁護士ドットコム」、アメリカ企業では「ドキュサイン」という話題の新興企業やPDFでお馴染みの「アドビ」といった企業が電子締結のサービスを展開しています。

間違いなく業界的に今後広まっていくサービスなので、投資対象として有望だろうなと思っていますが、キャピタルゲイン投資のセンスがないのと、どうも参入障壁が低そうなイメージと、今後システム上からの電子締結した契約書の情報漏洩やハッキングなどの負の側面が発生した場合のリスクを考えて株価の推移をたまに眺めているだけとなっています。

なぜ電子締結が書面での締結よりもいいのか

事務作業が楽になる

契約書の紙ベースでの、一方が判子を押して、もう一方に郵送して、また判子を押して1部をまた相手に郵送してといった煩雑な契約書をめぐる事務作業がなくなります。

いちいち判子を朱肉に全力で押して緊張しながら捺印するといった手作業もすべてなくなります。

ウェブのシステム上に表示される、「同意します」ボタンにチェックすればそれだけで契約締結が完了します。

物理的な原本を印刷する必要もありません。事務的には大変楽です。

印紙税の節約

僕がマンション販売業者に電子締結できないかとお願いした1番の理由は、印紙税を払いたくないからです。

印紙税とは、課税文書となる一定の契約書にかかってくる税金です。印紙税法という法令に従って、契約書原本に、既定額の印紙を貼らなければならないのです。

印紙税は、「文書」を対象とします。つまり紙媒体にかかる税金のため、文書でなかったら税金としてかかってこないのです。そのため、紙でなく電子的な方法でクラウド上で締結すれば、印紙税はかかりません

取引の種類や取引額によってかかってくる印紙代は変わってくるのですが、千万単位の金額となる不動産取引では、万単位の金額が印紙税として発生します

国に払うお金となりますので、契約書の原本2部に貼る印紙代は、不動産販売業者と不動産購入者で案分して負担するのが通常です。

担当の営業員さんに契約の電子締結をお願いしてみる

数千万払うことに比べたら数万円払うくらいいいじゃないかけちくさい奴だなと思われそうですが、思ったことを言わないで悶々と後に引きずって後悔するよりはダメ元で言ってみる選択をすることとしました。

一刻も早く円滑にマイホームが欲しい妻から、この男はいったい何でこんな些細なことにこだわっているのかしら、なぜ私はこんな細かいことで夢のマイホーム業者に無理難題を言う男と結婚したのかしら、恥ずかしいこと言ってないでさっさと判子押しなさいよ、という怪訝な冷たい目で見られながらもそれに屈せず、担当の営業員に対して、売買契約書の電子締結はできないかと慇懃無礼にお願いしてみました。

流暢な英語による一心不乱の弁舌で日本の国際連盟脱退を総会会場で演説した時の外相松岡洋石並みの熱弁を心では奮いつつ、以下のことを伝えました。

  • 今や不動産契約取引は、電子締結の時代となること誠に時代必須の理である。
  • 世界に冠たる覇権国家であるエメリカにおいては、既に不動産取引は電子締結が一般になると聞くに及び、契約実務における我が国の後進性、真に嘆かわしいことこの上無し。
  • これでは、まるで工場で開発した試作戦闘機を牛車によって数日かかり飛行場まで運んでテスト飛行した昔日の我が国の後進性の有様を見るが如くである。
  • 業界を牽引すべき大手デベロッパーの貴社が、殊に電子契約システムを導入していないとは、嘆かわしいことこの身に耐えず。大和に費やしき鋼鉄により1万余機の零戦をつくれたこと、忘るること能わず
  • 印紙代は、唯だこれ国にのみ払う税金なり、然らば我ら利益共同体として、万策を講じてこれに当たるべし

僕の打診を受けて、担当営業員がマンションギャラリーの責任者のもとに行って、電子締結の可否を確認しに行ってくれました。

面倒くさい客で恐縮です。

さて、電子締結はオッケーしてくれるかな?

結果、電子締結は受け入れてくれたのか?

僕の熱意と、国に税金を支払う無駄を理解してくれ、なんと電子締結を認めてくれ・・・・ませんでした

そりゃそうです。これまでの自社のやり方を少数の顧客のために変えるなどあり得ません。前例至上主義です。

理由としては、不動産業法(宅建法のこと?)に基づいて、契約書は書面でやらなければならないからという理由をもらいました。
が、これは宅建法37条のことを言っているものと思われますが、理由としては正しくありません。

宅建法37条は、契約が成立した場合に、販売業者が代金や支払い方法を記した書面を交付しなければならないという規定で、契約書の締結方法に関する規定ではありません。

不動産売買契約書を紙で締結しろなどとはどこにも書いていません。法令解釈を捻じ曲げてまでクラウド締結したくないのか。

日本でマイホーム売買に電子契約が普及するのはまだ時間がかかるのかなと思いました。

もしマイホームを買うときは、まずはステイトオブザアートな電子契約締結を主張のうえ、電子契約取引できないなら書面にかかる印紙代分を値引きしないと判子押せないもんねぷっぷくぷー(ちびまる子ちゃん風)と言うと良いと思います。

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