20代の頃は、仕事に対してそれなりの情熱なり野心を持っていた頃がありました。
国際的なかっこいいことやっている花形の部署に行ってやる、時価総額兆単位の企業を動かすような大きな仕事をしてやる、英語を頑張って勉強して成果も出して海外勤務してやる、お金を稼いで都心の高層階のマンションに住んで哀れな愚民どもを見下してやるんだと思ったり。
当時は上司や先輩社員に仕事ができるキレッキレの人が多く、将来こうなりたいなと思えるような尊敬・信頼できる「憧れの先輩」もいて、仕事のモチベーションもすこぶる高かったです。
上昇志向が1番強い時期だったので、外資系ホテルのカフェラウンジに同じく上昇志向の強い友達と一緒によくこもって将来を語っていました。
忙しい時期もありましたが、仕事の充実感が勝っており、サラリーマンのサクセスロードを順調に登っている実感があったので、終電まで仕事している俺かっこいいという状態でした。
タクシーチケットも無尽蔵に出してくれるので、11時くらいに電車で帰るよりは、わざと終電すぎるまで会社にいてタクシーで帰ることもありました。
この若くてギラギラしていた時期がどこか懐かしく、少し愛おしく思う晩夏の夜です。
今となっては、憧れの先輩など存在せずに、出世したいなんて全然思わない、仕事で成し遂げたいことなんてない、子供2人を大学まで出せるお金を稼げればそれでいい、むしろもう閑職でネットサーフィンしてるだけで800万くらい稼げる楽な仕事が理想だろ的な思考になっています。
少年老いやすくとはこのことなのか。
炭酸が抜けたメロンソーダのようになってしまいました。
こういう仕事にギラギラしてる感じって、態度や雰囲気や顔付きにも出るんでしょうね。
男性的なフェロモンというか魅力を高める作用があるんだと思います。
当時付き合っていた女性に、仕事を頑張っているところが素敵だと言われていました。
当然彼女よりも仕事を優先していた時期です。土曜日も仕事を自宅に持ち帰って、同じ空間にいる恋人の相手をせずにワードファイルと向き合っていることもありました。
結婚してこれだといけないのでしょうが、恋人時代だとこっちの方が逆に好きになってくれたりします。
金曜日に残業のあと当時の会社近くで待ち合わせをして、近くにあるお高いホテルの上階にあるラウンジバーなどに連れて行き、飲めもしないお酒を形だけ飲みビル群の夜景を見ながら、俺は将来こうなるんだ、こういったことがしたいんだ、今はこんな大きな仕事をしているんだと、自身たっぷりに調子よく夢を語っていました。
今となっては1ミリも出てこないような会話です。
とても楽しそうに話を聞いてくれていました。本当にありがとう。その後ひどいことしてごめんなさい。今も君を後悔とともに思ひながら・・なんて。
当時の自分が今の自分を見たら、どう思うんでしょう。まさかすべての牙を抜かれ、仕事よりも投資や副業で成功したいと思ったり、平凡な生活が1番だと考え夢も希望もなく家族を養うための働きマシーンと化して無為に日々を過ごしている様を見たら、君は一体どうするだろうか。
自分の仕事を自信を持って楽しく語ることはもうないのかなあ。
なんというか、夫婦関係でも、やっぱり夫が仕事に情熱を持って夢(バンドで成功したいとか突拍子も無いことじゃ無いよ)とか野望とかちょっとギラギラしたことを頼もしく語れる方が、妻も夫に男性的な魅力を感じていいのだろうなあと思うのです。