冴えない株価が続いている配当王スリーエムが2019年第3四半期決算を発表しました。
CEOは、マクロ経済環境が逆境のなかにおいて強い事業パフォーマンスが発揮できたと言っているものの、市場の失望を買う内容を発表し株価が4%ほど下落しています。
結果として、配当利回りが再び3.5%を超えてきて、高配当銘柄化してきました。
直近安値の150ドル付近まで株価が下落してくると買いやすくなります。
数字がアナリスト予想に届かなかったのと、2019年通期の予想EPS(1株当たり利益)を下方修正したのが嫌気されたのだと思われます。
決算概要は以下のようなものでした(数字比較は前年同期比)。
- 売上高は80億ドルで、2.0%ダウン
- 現地通貨ベースのオーガニック売上(買収や事業売却等の影響を除いたもの)は1.3%ダウン
- GAAPベースのEPSは2.72ドル(但し0.14ドルの事業売却利益含む)で5.4%アップ
- 営業キャッシュフローは20億ドルで、フリーキャッシュフローは17億ドル
- 10億ドルを配当と自社株買いにより株主に還元
また2019年通期の数字を、以下のように下方修正しています。最近は決算のたびに下方修正していますね。
- 2019年通期のGAAPベースの予想EPSを、従来の8.25~8.75ドルのレンジから8.20~8.30ドルのレンジへと下方修正
- 現地通貨ベースのオーガニックな予想売上高を、従来のマイナス1~プラス2%のレンジからマイナス1.5~マイナス1%のレンジへと下方修正
- ROI(Return on investment、投資利益率)を従来予想の20~22%から18.5~19.5%へと下方修正
スリーエムは事業セクターを4つに分けていますが、それぞれ以下のような売上高の増減でした(現地通貨ベースのオーガニックベース)。
・セーフティ&インダストリー:-3.3%
・トランスポーテーション&エレクトロニクス:-3.4%
・ヘルスケア:+2.0%
・コンシューマー:+2.6%
地域別の売上では、アジア太平洋地域の売上が不調でした。-4.4%です。米中貿易摩擦の影響もあるのでしょう。
なおスリーエムは、第1四半期の決算において約5.5億ドルを、PFAS(有機フッ素化合物の1つ)による環境汚染等の訴訟費用として計上しています。ジョンソン&ジョンソンと同様に、こちらも不確実性のある訴訟の影響があるのかもしれません。
スリーエムの配当利回りは現在3.5%ですが、過去と比較するとかなり高配当銘柄化してきたことは事実です。
ジョンソン&ジョンソンと並んで安定的に3割30発100打点が期待できる銘柄(勝手なイメージ・・)だと思っているので、決算を見る限りは同社の優位性を破壊するようななにか重大にまずいことが同社に起きているようには見受けられないし、しばらく株価が低迷するとしても市況の改善に伴って自然に業績は改善するから拾っておけば間違いないという思いと、株価は過去の業績ではなく将来への期待で動くのだから、将来のEPSがこのまま伸びなければ他のさえないオールドエコノミーの銘柄のようにずっと低迷するのではという不安もあります。
しかし、自分が不安を覚えない銘柄に伸びしろはすでにないです。
オーナーになりたい企業です。