欧米と中国の動向の後追いしかできない日本の官僚

以前に所属していた会社で、部署横断型のプロジェクトで日本のみならず世界にも訴求できるような業界内の製品の基準なりルールをつくろうという動きがありました。

自社1社のみでは完結できない話なので、業界を管轄している官公庁の役人(キャリア官僚)とも連携して話を進める必要があるので、担当の役人に業界の状況や、なぜその基準やルールが必要なのかをレクチャーし状況を理解させ話を進めていきます。

役人は当然文系なので製品の技術的なことは全然わからないし、2、3年で部署異動してしまうので業界に関する知識や業界を取り巻く法規制・ルールも理解が浅く、こちらから手取り足取り知識をインプットさせる必要がある状況でした。

役人にあるべき規制やルールを主張しても、彼が1番気にしていたことは、他国事例です。

特に、欧米や中国といった大国が、どのような制度を設けていてどのような実例があるかという点です。

もうここばかり気にしていました。独自思想がないのです。

日本は明治時代から欧米の制度や技術を後追いで導入することで欧米先進国を追い抜け追い越せで国が発展してきましたので、まずは前例を求めてそれに依拠しようとする姿勢は今も昔も変わりません。

日本オリジナルで何かをやろうという発想がそもそもなく、アメリカ、ヨーロッパ、中国の動向をキャッチしその前例を踏襲するやり方に固執するうやり方に、これでは世界に勝てるわけないと強く思ったのでした。

ただ自分がもし役人でも他国例や過去例を集めることに注力すると思います。だってオリジナルで新しいやり方を考える能力もないし、他者が実施した例をなぞるのは1番頭に汗をかかなくて楽ですからね。国益がどうこうよりも、自分で苦労する面倒くさい仕事なんて引き受けたくないです。人間だもの。

これは別に国レベルの話だけではなく、企業レベルでも大抵の会社がそうでしょう。

今の僕の会社なんかは社長の発言を聞いているといつも世の中の動向に合わせた後追いの発想しかありませんし、軸となる独自の戦略や思想が存在しないので、常に世の中の動きに悪い影響を受けてあっちに行ったりこっちに行ったりしています。サラリーマン社長の典型です。

日本が中心となって世界標準のルールや仕組みを作るとか威勢のいいことをたまに政府発言や役人の発言で聞いたりしますが、直に仕事で中央省庁の役人と接したことがある身としては、一体何の冗談を言っているんだとしか思えません。

もはや世界標準のルールを作る中心になる国力もないでしょ。経済力か軍事力か日本人の美徳に反する狡猾な外交力がないと、たとえ独自にルールをつくったとしても他国は追随してくれません。