投資というのは人間が行うことなので、投資行動の研究とは結局は人間心理の探求に行きつきます。
そして投資というのは少数派が勝つ世界なので、他人が買っているときに売り、他人が売っているときに買うことができる人が勝ちます。言うは易し行うは難し。
この「人が買っているとき」と「人が売っているとき」、言い換えれば、市場が強欲な状態になっているときと、市場が恐怖に陥っているときを指数化した指標が存在しています。
「Fear&Greed Index」(恐怖・強欲指数)といいます。
算出方法は細かいのでよくわからないのですが、CNNの以下のサイトで確認できます。
https://money.cnn.com/data/fear-and-greed/
このインデックスは数値が0から100までで、0~50だと恐怖寄り、51~100だと強欲よりとなります。振り切れると「Extreme Greed」(強欲の極み)や「Extreme Fear」(恐怖の極み)となります。
現在は70弱と、「Extreme Greed」(強欲の極み)にけっこう近い市場のセンチメントです。
ちなみに記憶に新しい2018年12月の暴落時には20を下回り、一けた台の数字をつけました。
まさに「Extreme Fear」(恐怖の極み)という状態です。そして結果としてそこが市場の底でした。
今でいうと、アメリカも日本も株式相場は好調で、大きな下落もなく緩やかに株価が上昇している局面ですので、心理的にとても株が買いやすいですしボーナスも入るしで投資したい欲求がでてきます。だから強欲なんですね。
市場に搾取される一般大衆側である自分の行動を見ても、毎晩証券口座に気持ちよくログインして株価を見ては総資産の計算をしてキャリアハイ更新してるぜウハハとなったり、何でもいいから抵抗なく株が買いたくなる心理状態のときは、恐怖・強欲指数が高まって「Extreme Greed」と市場が強欲に触れている局面なのが圧倒的です。
あまりに市場に素直な自分の単純な心理があっぱれです。
そして強欲局面で欲望丸出しで株を買う愚か者となり、投資して残余資金の弾がつき、絶好の投資チャンスであるはずの市場が恐怖で染まっている「Extreme Fear」のときには真っ赤に染まる証券口座を見たくなくてログインせず、株式市場から遠ざかってしまいます。
出血大サービスの割引セールが開催されているのに、なぜ君は籠ってばかりで参加しないのかね。
こんなんじゃ市場に勝てるわけありませんね。
自分がとても買い向かえない局面で買って、買いたくてたまらない局面では売るという己を超克した超人的な行為ができないとだめです。
結局相場の状況に応じた自分の心理パターンを分析することが市場から退場せずに参加し続けるには1番有効なのではと思わされます。
体感的に、この「Fear&Greed Index」はかなり逆張り投資の指標として機能するのではと思っています。
証拠としてこのインデックスとS&P500の推移を合体させたチャートをさらっと作って添付したいのですが、デジタル弱いのでやり方がわからず・・と思っていたら「岩井コスモ証券のマーケットレポート」にそれっぽいチャートが載っていましたので興味がある人はリンクから見てみてください。
ここ数年の動きだと、指数が20を下回ったあたりで投資すると、底値に近い鮮やかな投資ができます。まさに言うは易し。
分かっていても人間できないもんはできないよね。死なないと分かっていてもジェットコースターは怖くて乗れないし、バンジージャンプも高い距離からも飛び込みもできないのと一緒です。
傾向としてですが、市場のセンチメントというのは恐怖か強欲かどちらかの極に触れがちで、平均値である50付近で定常化することはほとんどありません。
S&P500の年平均成長率が7%といっても、実際は7%ジャストの年なんて皆無であり、計算して平均化すると7%でも、実際は20%上昇→25%上昇→30%上昇からの50%下落・・・と、かなり激しい動きをするのと同じです。
平均は何も語りませんし平均値を見ても何もわかりません。
S&P500(アメリカ株)は毎年7%とか10%上昇しない当たり前の事実~1970年から2018年の過去49年間のS&P500のパフォーマンスから分かること【平均だけ見ると本質が見えない】
実際にFear&Greed Indexも、真ん中である50で安定することは皆無で常に振り子のように激しく上下します。
下のチャートを見ればそれがよくわかります。常に激しいアップ&ダウンです。
(出典:money.cnn.com)
Extreme Greedに至っても一気にExtreme Fearに傾くし、その逆も然りです。
真ん中でどっしり構えていればいいのに、忙しく上がって下がってを繰り返して、本当にあほで愛しいですね人間心理って。
ウォーレン・バフェットから絶賛された「投資で一番大切な20の教え」や「市場サイクルを極める: 勝率を高める王道の投資哲学」を著したハワード・マーカスが言っているように「振り子は幸せの中心点にとどまらない」のです。
もちろん万能な指標など存在せず、状況に応じて各種の指標を組み合わせてみることが有効ですし、投資方法はある手法の優位性が市場に感知されると市場がそれに倣い即座に優位性がなくなる世界ですので、みんなが恐怖・強欲指数を逆張り指標として活用するようになるとこれに基づいて投資しても儲けられなくなりますが、自分の心理状態をみてみるとここ数年はこの恐怖・強欲指数が20を下回る局面では恐怖が凄すぎてこれから世界不況一直線でもっと株価は下がるんじゃないかと不安一色でとてもとても買い向かえない心理状態なので、そう簡単にこの指数を使って逆張りできる強者はいないでしょう。
偉そうに書きましたが自分自身は恐怖・強欲指数が「恐怖の極み」(Extreme Fear)の時に投資できたことはただの1回もありません。
あ、嘘つきました。
2019年3月の恐怖の極みに近いときに、NTTドコモ100株買っていました。
やるじゃん自分!
ただ、当時これで200株保有でしたが、その後事情により100株売ってしまったんです。なぜよりによってドコモを売ったんだ、JT売っとけよ。
まだ100株持ってますけど、ドコモの最近の爆上げを見るたびに、心が疼きます。
別枠ファイルに保存され意図せずして想起される過去の女性の香りに心が揺れ動くように。
I miss多大なる含み益・・・。