コロナウイルスの影響で狙えたら狙いたいなと考えている銘柄がマスターカード(MA)です。
グローバルに決済手段を提供しているおなじみのプレイスレスな金融テクノロジー企業です。
リーマンショック時にVISAとマスターカード買って気絶していたら今頃人生上がりでしたね。
これまで株価の推移だけ見ていて決算内容は全く見ていなかったのですが、ちょっと興味があった(というかとうとう我慢できなくなってきたという最後の養分予備軍)ので2019年通期決算の内容を見てみました。
業績好調で株価もひたすら上昇している銘柄なので、前年から数字が二けた伸びているとかは当たり前なのですが、1番驚いたのが株主還元です。
特に自社株買いの凄まじさです。
マスターカードは現在の配当利回りは0.5%と、全く高配当株ではありません。
しかしその一方で、ものすごい自社株買いをして株主還元をしています。
具体的に数字を見ていくと、マスターカードの2019年通期の純利益は81億ドル(約9000億円)です。配当金として株主に13.4億ドル支払っていますので、単純な配当性向という点では16.5%ほどです(配当金額を純利益で割った金額)。
では年間の自社株買いでいくら使っているのかというと、なんと65億ドル!です。
配当が13.4億ドルなので、その約5倍の金額を自社株買いに使っていることになります。
配当金と自社株買いを合計した総株主還元額は78.4億ドルとなり、配当と自社株買いを併せた総合的な株主還元性向は純利益の96.7%に該当します。
この会社は配当性向だけ見ても意味がないですね。
稼いだ利益を全部株主に返しています。さながら自社株買いマシーンです。
こんなに自社株買いするならそもそも株式そんなに発行しなければいいのにと思うのですが、そういう問題でもないんでしょう。
純利益という会計上の数字ではなく、実際に稼いだキャッシュであるキャッシュフローの動きも見てみると、営業活動によるキャッシュフローは純利益とほぼ同額の82億ドルで、うち13.4億ドルを配当、65億ドルを自社株買いで株主へキャッシュアウトしていますので、株主還元の結果最後に手元に残る現金は6.3億ドルしかありません。
キャッシュの動きを見てもフリーキャッシュフローのほとんどすべてを株主に還元しています。
企業が自社株買いをすると株数が減るために1株当たりの利益が上昇し、株価も上がりやすくなります。配当のように税金も取られません。
ライバル企業のVISAも同じような株主還元なんでしょう。クレジットカード会社ってすごいですね。
以下、2019年通期決算を見ていきます。とても堅調な決算内容です。
数字はGAAPベースで、単位は10億ドルです。
2019年 | 2018年 | 増減率 | 為替一定ベース | |
売上高 | $16.9 | $15.0 | 13% | 16% |
営業利益 | $9.7 | $7.3 | 33% | 37% |
営業利益率 | 57.2% | 48.7% | 8.5ppt | 8.8ppt |
純利益 | $8.1 | $5.9 | 39% | 42% |
EPS(1株あたり利益) | $7.94 | $5.60 | 42% | 46% |
(マスターカード決算資料より数字引用)
特殊要因を除いた調整後の数字をベースにすると、EPSは$7.77となり、前年比20%のUPとなります。
ご覧のようにすべてにおいて数字は前年を大きく上回っています。
個別事業セクターで見ていくと、カードの総取扱高(Gross dollar volume)は13%UP、越境取引量は16%UP、スイッチ取引(Switched transactions)は19%UPでした。
費用について目を向けると、営業経費が為替一定ベースで14%ほど増加しています。
これは主因は事業への先行投資です。利益が伸びているうちはよいですが、利益の伸び以上に経費が伸びてくるようだと気になります。今は売上や利益が伸びているので、さほど気にはならないレベル感です。
マスターカードの決算資料によると、2020年通期の予想として、売上高は10%台前半の成長、営業費用は10%に近い1桁台の伸びということです。
PER(株価収益率)は現在40ほどです。
僕はPER50の銘柄に投資したことがあるので、それと比べると安いです。
PERだけ見ていてPERが安くなるのを見ていると一生買えない銘柄です。
やっと下がってきたと思ったらすでに企業の成長は衰退期に入ってきていてもはやこれまでのような美味しい株価のパフォーマンスは期待できない状況になっているという銘柄なんだと思います。
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