株価が暴落してから暴落の備えをしてももう遅い

コロナ・ショックによってマッハのスピードで株式資産が暴落し溶けている相場で、思うことが1つあります。

それは、暴落してから暴落に対応しようと思っても遅すぎ、暴落した場合にどのように自分が対応するかをあらかじめ決めておかなければいけないということです。

特に今回の新型コロナ・ウイルスによるパンデミックによる暴落は、株式の下落のスピードが過去最速ということもあり、株価が下がってから慌てて株を売るのか買い増すのか放置するのかどうすればいいのか考えている間に更に株価が下落しているという状況で、事前のコンティンジェンシープランを立てていないと、とても機動的に対処ができません。

これができていない人は株価の暴落でパニックに陥り恐怖の感情に支配され感情のままに市場から退場してしまう一方で、事前に暴落した場合のシミュレーションをしっかりとしており、自分の対処方法を決めていた人は、暴落しても感情に支配されずに事前のプラン通りに行動し、暴落相場を乗り切ってその後再度訪れる上昇相場に乗ることができます。

自分の判断を介さずに毎月機械的に買い付けを行う、暴落時に備えて常に40%の現金を手元に置いており10%下がるごとに追加投資をしていく、インカム目的だから何があろうと一切売らず配当をもらいながらひたすら毎月の給料を投入するなど、しっかりとマイルールを構築してそれに従って投資できる状態の人はこのような暴落相場では強いです。

株価の数字だけ見て感情に流されて場当たり的に売買することがなく、冷静に対応できるでしょうから。

一方で、自分のリスク許容度がどれくらいなのかを知らず、何も考えずに上昇相場でフルインベストメントし、いざ下落相場が始ると恐怖に染まり初めて自分のリスク許容度の小ささに直面し狼狽売りして退場する投資家もいるでしょう。

株は下がった時に買い、上がった時に売れば誰でも儲けることができますが、今回の暴落でそれができる人がどれだけいることでしょう。

真珠湾攻撃奇襲発案者である連合艦隊司令長官山本五十六は、真珠湾出撃前の各司令官を集めた最後の会議で、出撃後にもワシントンにて継続中の日米交渉がまとまった場合は直ちに反転帰投せよとの命令を下した際に、出撃後に引き返すようでは兵士の士気に影響するからそれは無理ですと言う南雲忠一らに対して次のように言っています。

百年兵を養うは、一日これを用いんがためなり。この命令を受けて帰れんと思う指揮官があれば即刻辞表を出せ!

株式投資もまさにこれと同じで、百年投資の勉強をするは、ただ百年に一度の暴落に備えんがためです。

誰でも儲かる上昇相場ばかりだといいのですが、現実はそうはいきません。

株価の暴落や下落相場は、それを利用することで長期的に見れば財産を築くためのまたとないチャンスです。

ただ、その千載一遇のチャンスをものに出来るかは、他人の意見に流されずにしっかりとした自分の投資哲学を持ち、何年かに一度の暴落を常に想定して、それに備えた投資方法をとっており、いざ暴落が来ても感情に流されずに事前のプラン通りに行動するごく一部の投資家だけなのだろうなと思います。

その意味では、すでに暴落が始まる前から、暴落が実際に発生する場合への準備を備えていた人と、自分の株が暴落するとはつゆとも思わずに何も暴落に備えていなかった人とでは、暴落のはるか前からすでに勝負がついていたということでしょう。

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