マンションやアパートに賃貸で居住している方は、たいていは2年契約で2年経過時に更新のパターンが多いと思います。
日本は世界でも珍しいデフレ国家であり、一部の例外的な地域を除けば土地と建物の価値も年々低下していきますので、賃貸マンションの家賃が下がることがあっても、上がることがないのが基本です。
これがアメリカだと、インフレ国家であり土地の価格も基本は年々上昇しますので、家賃も毎年のように上昇するのが普通です。国際的に見れば、日本の方が異常なのです。
通常は、マンションの賃貸借契約を結んでから2年経って更新する時になっても、それまでと同額の家賃でまた2年更新するということが大半でしょう。
僕も複数回賃貸マンションの引越しを経験していますが、更新したマンションは皆従前の賃料と同額での更新でした。
しかし、中には更新時に家賃の値上げを打診される事例もあります。
特にアベノミクス以降はマンション価格が高騰し不動産市況が好調なこともあってか、賃貸マンションの賃料が下がらず値上げされるケースもあります。
更新時に家賃値上げ通知が届いたら、これに従わなければならないのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。
契約の更新をするかしないかは自由意思で決めれますから、嫌だったら契約しなければいいだけなので、同意しなければならない法的義務は全くありません。
そうは云っても硬い言い回しの書面で通知が来ると、なんとなく気圧されて同意せざるを得ない気持ちになってしまう人もいるでしょう。
家主や仲介不動産屋は、使い回された雛形の書面を用いて、書類郵送するのめんどくせーなあとアクビしながら値上げ通知を送っているかもしれません。
そんな奴らの言うことに従順に従う必要はありません。
まずは値上げを拒否して現状維持で交渉すべきです。
僕の知り合いが実際に家賃の値上げ通知が届いた時に値上げを撤回させこれまでと同額の家賃で更新した方法を紹介します。
それは、値上げの根拠を書面にして送ってくださいと相手方に言うことです。
前置きとして少し法律の話に踏み込みますが、日本の法律では、賃貸借契約における賃借人(マンションの借主)の地位はかなり強いです。
もともと貸主と借主では、力関係は貸主の方が強いはずです。
この条件が飲めないんだったら、借りてくれなくて結構だし、値上げに応じられないんだったら、すぐに出て行ってくださいと言われたら、借主は住む所がなくなって路頭に迷ってしまいますので、渋々条件に応じて受け入れざるを得ない状況になりがちです。
このような貸主のが圧倒的に強い交渉力を持つ構造を是正し、借主の地位を高めることを目的として、「借地借家法」という法律があります。
この法律により借主の保護が図られ、例えば貸主にあまりに有利な契約は無効になりますし、貸主が突然契約を終了させて借主を追い出してしまうということも原則として禁止されています。
この法律によって逆に借主がアンバランスに保護されているため、不公平だと思っている大家さんもたくさんいるようです。
実は家賃の値上げは、この「借地借家法」に定められたケースでしか実施できません。
値上げできる場合は、ざっくりと以下のような場合です。
- 土地・建物の租税負担が増加した
- 世の中の経済情勢の変動で家賃が不相当の値段となった(ハイパーインフレとかはこれに該当します)
- 近隣の建物と比較して、家賃が不相当に割安な状況となっている
これら条件に該当しなければ、貸主は値上げできません。
そのため、最終的には貸主はこれら1〜3のどれに今回の値上げの根拠があるかを示す必要があります。それができないと値上げはできません。
そして、もし最後まで値上げを争うなら、借主側は1〜3のどれにも該当しないから値上げする正当な理由がないと主張することになります。
話を戻しますが、僕の知り合いは、値上げの根拠を書面にして送ってくださいと伝えたところ、相手方の態度がガラッと変わって、やっぱり値上げはやめましたとなったそうです。
なんじゃそのいい加減な対応はと思ってしまいますが、大した根拠もなくとりあえず値上げを打診してみたというケースだったら、実際にそんなケースになることもあるようなので、すぐに全面的に値上げ受け入れるのではなく、まずは根拠をしっかりと紙で教えてくれと言う方法がいいと思います。
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