幼稚園児をもつ親による「幼児教育の無償化」の内容まとめ~一般私立幼稚園だと3年間で約90万円負担軽減!すべての幼稚園費用が無償にはならないことには注意【2019年10月1日実施】

2019年10月1日から、幼児教育の無償化が全面的に実施され、幼稚園や保育園の保育料が無償化されます。

ニュースやメディアで話題として取り上げられることも増えており、幼稚園・保育園に通っている子どもがいる世帯、これから幼稚園・保育園に通う予定の世帯は特に関心が高い問題だと思います。

自分にも直接関係のあることなので、無償化となる対象者や、無償となるのはどの範囲なのか、幼児教育の無償化とは何なのかについて内容を調べて纏めてみました。

先に5つのポイントを書くと次のようになります。

幼児教育無償化の5つのポイント

  1. 幼稚園・保育園を利用するすべての3歳〜5歳(年長含む)の子どもの保育料が無料になる
  2. 無償の対象は「保育料」に限り、入園料・制服代・バス代・給食代・冷暖房代・課外活動費用などの「実費」は無料にはならない
  3. 無償化スタートは2019年10月1日から。ただし、5歳児(年長さん)は、2019年4月1日から先行して無料になる
  4. 一般の私立幼稚園だと、年間約30万円、3年間だと約90万円負担が軽減される結果になる
  5. 児童手当や幼稚園・保育園の補助金制度と異なり、所得制限は一切ない

それでは、以下具体的に述べていきます。

☆幼児教育無償化の時期は? 2019年10月から無償化がスタート

幼児教育無償化は、2019年10月1日から始まります。

これは、消費税が現行の8%から10%に引き上げられる時期と同時期での実施です。

もともとは、5歳児のみ無償化を2019年4月から先行して実施し(これについては後で述べます)、2020年4月から全面的に無償化を実施する想定でした。

しかし、2019年10月に消費時が10%になることに伴う増収にあわせて、子育て世代への負担軽減を図るために、当初予定より6か月前倒しでスタートすることにしたのです。

年長さんは先行して2019年4月から保育料無償がスタート

政府のアナウンスによると、5歳児については幼児教育無償化が2019年4月1日から先行してスタートします。

5歳児には幼稚園の年長さんも含まれますので、2019年4月から子どもが年長さんになるという家庭は、保育料が先行して無料化します。

幼児教育無償化の対象者・利用料

幼児教育無償化により、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳のすべての子どもの利用料が無償化されます。

保育園に通う3歳から5歳の子ども、幼稚園に通う年少さん・年中さん・年長さんみんな、保育園や幼稚園の利用料が無料になるということです(幼稚園については満3歳(3歳になった日)から、保育所については3歳児クラス(3歳になった後の最初の4月以降)から無償化されます)。

0歳から2歳児の子どもの利用料については、住民税非課税世帯のみが対象として無償化されます。

但し、幼稚園については、無償化となる上限額が27,500円と設定されています。

なお今回の幼児教育無償化制度は、児童手当や幼稚園・保育園等の補助金制度と違って、所得制限が一切ありません

相対的に高所得の方も、制度の恩恵を享受することができます。

☆地域型保育、企業主導型保育事業も無償化の対象

幼稚園、保育所、認定こども園に加えて、地域型保育(小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育)、企業主導型保育事業(標準的な利用料)も同じく無償化の対象となります。

☆幼稚園の預かり保育を利用する場合

先の述べたように、幼稚園の場合は月額上限が2.57万円となりますが、預かり保育を利用する場合は、新たに保育の必要性があると認定を受けた場合においては、預かり保育について最大月1.13万円までの範囲で利用料が無償化されます。

☆認可外保育施設を利用する場合

認可外保育施設等を利用する子どもについては、保育の必要性があると認定された3歳~5歳の子どもを対象として、月額3.7万円までの利用料が無償化されます。

0歳~2歳の子どもについては、住民税非課税世帯の子どもを対象として月額4.2万円までの利用料が無償化されます。

☆注意!「保育料」のみ無償で、入園費用・バス代・給食代・課外活動費(遠足代)などは有償のまま

幼児教育の無償化と聞くと、幼稚園、保育園、こども園にかかる一切の費用が無料になると思いがちですが、そうではないので注意が必要です。

対象となるのは保育料・利用料のみです。実費として徴収されている費用(通園送迎費、食材料費、行事費など)は、無償化の対象外です。

例えば一般の私立幼稚園だと、入園時に入園料約10万+制服代約3万+教材費約1万といった初期費用が発生しますが、これらの入園にかかる費用は無償にはなりません。

また、毎月(年)の幼稚園の費用項目と費用額はおおむね下のようになりますが、

  • 保育料:25,000円/月
  • バス代:5,000円/月
  • 給食代:5,000円~6,000円/月
  • 冷房費・暖房費:10,000円/年
  • 教材費:都度つど
  • 遠足代、お出かけ代等の課外活動費:都度つど

これらの費用のうち、バス代、給食費、冷暖房費、教材費、課外活動費は無償になりません。

あくまで「保育料・利用料」(上の項目でいうと25,000円/月位)のみが無償になります。

一般の私立幼稚園では初年度の入園料・制服代等を除くと年額の総費用で約50万円かかるので、年額の保育料約30万円分が無償になるということになります。

単純計算で、お受験幼稚園ではない一般の私立の幼稚園の場合だと3年間でこれまでよりも90万円ほど負担が軽くなる計算ですね。

なお、内閣府が出している「幼稚園、保育所、認定こども園等の無償化について」という資料に載っている全体フロー図が視覚的にわかりやすいので、参考までに載せておきます。

☆幼稚園、保育園、認定保育園の無償化の理由は少子化対策

幼児教育無償化がなぜ実施されるかという制度の理由・背景ですが、少子化問題の解消のためとなっています(内閣府が公開している「新しい経済政策パッケージについて」(平成29年12月8日閣議決定)による)。

20代・30代の世代が、彼らが理想とする数の子どもを持たない理由の1番が、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」というものです。

ならば、費用負担を軽くしてやれば少子化は解消に向かっていくだろうという発想です。子育て・教育にかかる多大な費用負担を軽減して少子化対策となることが期待されています。

また、別に内閣府が公表している「幼稚園、保育園、認定こども園等の無償化について」という資料では、幼児教育無償化の理由として以下のものを挙げています。

  • 子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型に抜本的に変えるため、幼児教育の無償化を一気に加速する。
  • 幼児教育の無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性や、幼児教育の負担軽減を図る少子化対策の観点などから取り組むもの

☆幼児教育無償化により待機児童問題は悪化しないのか?

幼児教育の無償化によって、保育園に子どもを預ける人が増えてしまえば、ますます待機児童問題が深刻化するのではという懸念が生じます。

これについて政府は、待機児童解消は最優先の課題であるとし、2020年度末までに、女性就業率80%に対応できる32万人分の受け皿の整備を進めるとしています(「子育て安心プラン」の前倒しでの実施)。

併せて、保育士の確保、低賃金労働となっている保育士の待遇について、他の産業との賃金格差を考慮した施策を実施していく予定です。

2019年4月からは、早速1%(月3000円相当)の賃上げが実施されます。

☆幼児教育無償化の具体的な手続について

具体的な手続きについては、国の資料によると現時点では「現在検討が行われているところ」ということで、まだ明確には決定していません。

何も申請不要で自動的に幼稚園から毎月口座引き落としされている保育料がそのまま引き落とされなくなるというのが国民にとっては1番ユーザビリティの良い方法ですが、国のすることなのでそうはならないのかなと想定しています。

つまりは、みんな利用するに決まっているのにわざわざ幼児教育無償化の適用を受けるために役所での面倒くさい申請手続が必要となり、さらに無償対象となる保育料はいったんは幼稚園にそのまま引き落とされ、後払いで幼稚園に支払い済みの保育料相当分の金額の支払いを受けるといった具合です。

4か月分を後払いの児童手当制度や、1年分を12月の時期に幼稚園経由で現金の入った紙袋で受け取る幼稚園の補助金はこういったパターンです。

無駄な手続はしたくないので、申請なし、かつ無償分を後払いで支払いという形式ではなく、毎月の保育料の支払いが文字通りなくなるという国民目線の運用を望みます。

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