ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)が、近々開催される同社のアナリストや投資家とのミーティングを前にして、自社のビジネス状況のアップデートを公表しました。
それを受けた後のアメリカ市場で株価は一時3%くらい下落しましたが、その後は回復してきています。
理由は加熱式たばこの売上を従来予想より下方修正したからということです。
ただ、BTIは今年ひたすら株価が下落する宿命を一身に負っており、加熱式たばこ市場への期待も薄れてきているなか、そんなこと既に織り込み済みで株価に影響ないのではと思わざるを得ないのですが、どうもそうでもないようです。
BTIの公表内容は、概要以下のようになります。
なお、総論として事業全体は好調であり自信をもっているといっています。
EPSについて
- 為替一定ベースで、2018年度は、調整後の希薄化後EPSの1桁台後半以上の成長を想定している。
- 通年のEPS成長は、為替の逆風により7%ほどの悪影響がある。従来のガイダンスでは、ここは6%のネガティブインパクトとしていました。
世界のたばこ需要
- たばこの世界総需要は、今年度3.5%程度下落するとの想定に変更はない。
アメリカ事業
- アメリカでの事業は好調である。
- アメリカのたばこの総需要は、過去のデータを鑑みると2018年度は4.0~4.5%ほど下落予定。
加熱式たばこ
- 加熱式たばこ(グロー)の売上高は、順調に増加している。
- 加熱式製品の主力市場ではある日本では加熱式たばこ全体の需要はフラットであるものの、BTIのgloは今年初めの3.3%から4.4%のシェアに上昇している。
- 蒸気たばこ製品の事業は順調で、為替一定ベースで二桁の数量増加を想定している。
- 加熱式たばこと蒸気たばこ製品の売上は高い成長を見せているものの、2018年の売上を従来目標の10億ポンドから9億ポンドに下方修正。
- 主原因は、日本における加熱式たばこ市場の需要がフラットであることと、アメリカで販売している蒸気たばこ製品の「Vuse Vibe」のリコールの影響
- オーラルたばこ製品は、順調
日本の加熱式たばこ市場の需要が伸びていないのは、保守的な喫煙者(年齢層の高いカスタマーだと思います)が新製品へ移行せず、従来の紙巻たばこを吸い続けているからと分析しています。
また、加熱式たばこを使用している多くのユーザーは、従来の紙巻たばこと加熱式たばこを併用している状況のようです。これは、いったんカスタマーが加熱式たばこを使用すると、紙巻たばこから完全に加熱式たばこにスイッチするとしていた当初の想定とは異にする展開となります。
これについては、新しい製品に浮気せず、自分がいつも吸っている銘柄・ブランドを変わらずにずっと吸い続けるロイヤルティの高いカスタマー像というむしろたばこ会社にとっては嬉しい消費者の行動なのではと思ってしまいます。
従来製品でも新製品でもどっちもたばこ製品には違いないので別に構わないような気がするのですが。
元々の喫煙者の中でパイを分け合うよりは、生じうるであろう規制当局との新たなバトルを別にすれば、これまで喫煙していなかった人が加熱式たばこに新たにアクセスしてそれを端緒として喫煙者になって喫煙者のパイが増えるというストーリーになるとたばこ会社にとっては良いのしょう。
BTIは大麻ビジネスに進出するのか
カナダで大麻が解禁され、コカ・コーラやアルトリアが大麻ビジネス進出を検討しているとうニュースがありましたが、BTIはどうなのでしょうか。
BTIは、現段階では大麻ビジネスに参入する計画はないとしています。
大麻ビジネス市場自体は詳細に研究しているけれども、まだ具体的な行動に出る段階ではないようです。
配当利回り6%
配当利回りはなんと驚異の6%を超えてきました。
アルトリア、フィリップモリス、JTのいずれよりも高いです。
そしてもちろんそのいずれの銘柄よりも株価の下落の様が酷いです。
今の株価と配当金がそのまま推移すると過程すると、税引き後の計算でも10年で投資額のほぼ半分を配当金で回収できる計算になります。
当然増配するでしょうからペースは早まるでしょう。
資産2000万あるとして全額BTIに投資すると税引き後でもほぼ年間配当金100万達成です。
高配当銘柄だけじゃなくて、配当利回り2%前後で将来的に二桁増配が長く期待できる銘柄にも追加投資を考えているのですが、これではまたBTIに追加投資する誘惑に駆られてしまいます。
関連記事
コメントを残す