30歳過ぎてもドラえもんが好きだし、ドラゴンボールが好きだし、コナンが好きです。
年は重ねても心は本当に昔から何も変わりません。
名探偵コナンの怪盗キッドや金田一少年の事件簿の高遠遙一といった少年時代からかっこよくて憧れを感じているキャラクターへの憧憬が全くなくならない永遠の中2です。
ということで今年のコナンの映画は大好きな怪盗キッドが登場する映画ということで、公開を大変楽しみにしており、キッド様見たさに「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」を早速子供を連れて見てきました。
核心部分のストーリー内容のネタバレはしないように簡単にレビューをしていきます。
今作は、玄人受けは悪い映画です。ですがライト層には間違いなく受けがいいです。結果大ヒットすると想定されます。
深く考えずに映像を追っている分にはエンタメ要素盛りだくさんで、とても満足できる映画として完成されています。
もっとも、はっきり言えばストーリー自体は大人目線だと浅くて凡庸です。
映画ならでは要素というか、舞台となるシンガポールの綺麗なホテルや背景描写、かっこいいアクションシーンなど視覚的に映える要素は多く、飽きない展開にしているのは巧みです。
何より怪盗キッドが出ている尺が長いので、これだけでキッド好きの僕などは満足できてしまいます。
今作は、コナンと怪盗キッドが協働する展開なのですが、主役はコナンでも工藤新一でも怪盗キッドでもなく、京極真(with園子)です。
この2人の恋模様を中核として、物語は進行します。なので新一と蘭は脇役です笑。
コナン暦の長い大人のお友達は真犯人はこいつだろうなと途中で簡単にわかるでしょう。実際予想通りでした。
工藤新一本人は今作は登場せず、コナン君の存在感は薄い感じでした。
コナンと怪盗キッドは今作は密にコミュニケーションをし、推理も基本2人で進めていくので、コナン単独の独壇場的な活躍はないです。
僕のように大人の観客の視点からいうと、犯人側に犯罪を犯さざるを得ない共感できる背景事情があると良いなあと思うことがあります。
例えばこのあたりは金田一少年とコナンの住み分けはうまいなあと思っているのですが、コナンは犯人側が犯罪を犯す理由がしょぼいです。
犯人側に感情移入できません。
一方で、金田一少年は犯人が殺人をする読者が感情移入できるような止むに止まれぬ事情があるパターンが多いです。大人向けのドラマですね。
金田一の単行本で、臓器移植がないと助からない娘を持つ父親が犯罪をし、最後は自分が死んで自分の臓器を娘のために捧げる話があるのですが、この話などは自分が親になってから読むともはや涙なしでは読めないです。
ジャンルの違いですが、表層的なかっこよさではなく、こういった犯人側の深いヒューマンドラマを備えたドラマがあるとより良いなあと思いました。
法律で裁けないなら、この俺が裁いてやるよ的な話が個人的にはツボなんです。そして犯人側が勝つ話。
いやでも、なくても今作は満足でしたよ。怪盗キッドの登場シーンが多いので、怪盗キッド好きな人には間違いなく楽しいエンタメ映画です。おすすめです。
ただ単純にかっこよさのレベルでいうと、「世紀末の魔術師」の怪盗キッドのしびれるようなかっこよさには及びません。この映画を見て僕はコナンが好きになりました。
今作はコナンと一緒に行動する時間が長く常に味方側視点で先に手品がバレているので、底の見えないミステリアスなクールさの描写は希薄です。ヘマも多いです。
なお、予告編で怪盗キッドがかなりの危機に陥る展開が諸々描写されていますが、あれは編集による予告詐欺なので注意してください。
しかし京極真は1人だけ北斗の拳の人間が間違ってコナンの世界に紛れてしまったような異質感がありますね。映画でもドラゴニックオーラ使ってるみたいでした笑。
ジョーカー的に強すぎるので、今後どう扱っていくんだろうか。
まだ「ドラえもんのび太の月面探査記」も公開していますが、今年はドラえもんの映画よりもコナンの映画の勝ちです。
なお個人的に1番気になったのが、本作はシンガポールのリゾートホテルであるマリーナベイ・サンズが中心舞台になるのですが、このビルを映画で描写するにあたっての権利処理をどうしているかということです。
ホテル側からホテルの描写の許諾を取っているのか、著作物性がないと判断して何も許諾取らず勝手に描いてしまっているのか、向学のために教えて欲しいです。
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