「伊勢湾台風物語」を娘と見る

数十年に1度のレベルの大災害をもたらす台風が日本列島を直撃しています。

今日は家に引きこもってずっと台風ニュースを見ていました。

自分の家の周りは自分の目で見る限りは切迫した危険は感じなかったのですが、報道などで「命を守る行動を」と繰り返し何回も言われると、無性に不安になります。

僕は台風にはかなりの恐怖心を感じる性質です。子供の頃夜中に直撃する台風などは、雨戸に猛烈に当たる雨と風の音が怖くて怖くて頭まで布団に潜って耳を塞いでいました。

台風自体も怖いのですが、台風が発生させるかもしれない洪水が怖くて仕方ありませんでした。

その原因の1つとなったのが、子供の頃に見た1つのアニメ作品です。トラウマと言ってもいいかもしれません。

伊勢湾台風という台風をご存知でしょうか?

1959年に東海地方を中心に死者5000人以上という空前規模の犠牲を出した超大型台風で、戦後最大の自然災害の1つです。

名古屋市に甚大な被害を与え、海の堤防が壊れて洪水が街を襲い、多くの家屋を流し破壊しました。

僕はニュースなどで台風のヘクトパスカルを見ると、無意識に伊勢湾台風のヘクトパスカルを基準点として台風の勢力を判断するときがあります。伊勢湾台風は上陸時929ヘクトパスカルです。

この伊勢湾台風をもとにした「伊勢湾台風物語」というアニメーション映画があります。

子供の頃に僕はこのアニメを何回か見ているのですが、本当に可哀相な内容なんです。音楽なんて一生忘れられません。

台風の恐ろしさを認識させるには、どんな言葉よりもこのアニメを見るのが1番の方法であると断言します。

小学校6年生の女の子が主人公なのですが、この女の子に密かに思いを寄せる同級生の男の子や、父親、母親、みんな犠牲になってしまいます。

激しい暴風のため家が壊れそうになり家が傾かないように家族みんなで窓を押さえて家を支えるシーンや、堤防が壊れて激しい洪水が襲い、瞬時に家が浸水し逃げ場がなくなり父親が頭に血を流しながら家の天井を壊して屋根裏に上がり命からがら屋根に逃げるシーンや、屋根に逃げ延びた後に助けを求める人に手を差し伸べた父親が大洪水に飲まれてしまうシーン、同級生の男の子の家族が同じように洪水で家に閉じ込められ、幼い妹を背中に背負ったまま天井を破れずに息絶えていくシーンなど、強烈な印象を与える内容で子供時代の記憶に焼き付いて離れません。

見るなら子供時代に見たほうが良い作品です。

描写が重くて怖くて可哀相で、でもたまに無性に見返したくなります。「うしろの正面だあれ」もそんなアニメ映画ですね。

後世に残し続けたいアニメーション映画です。

不意に伊勢湾台風物語をもう1回見たくなり、見ている時に子供も来たので、まだ少し早いかなと思いつつも一緒に見ました。万一の時に備えて壁や天井をぶち破るために金槌を手の届くところに置いておいたほうが良いだろうかと思いながら。

この物語を見ている時に、なんというか、自分はこの子のために台風で死ぬわけにはいかないという強い決心が生じてきました。

今は、父親目線でこの映画を見てしまいます。

主人公の女の子の父親は台風によって亡くなるのですが、たとえ今洪水が起こって家が流されようが洪水で流れてくる丸太に当たって吹き飛ばされようが、死んでたまるか、まだ俺は生きなければならない。

大きな被害が生じないことを願うばかりです。