本日の日経新聞の第1面に、「チャートは語る バブル30年成熟した株」との表題で、日経平均株価のバブル最高値期から2019年末までを簡単に振り返るような特集が掲載されており、興味深かったです。
一言でいうと、株を買い煽る内容の記事でした。
日経新聞はもう誰も覚えていない2018年の年末の暴落後の底を言い当てていますので、侮るなかれ。
昨年以下の記事をブログで「日経新聞逆指標乙」と書いたのですが、結果この時がほぼ相場の底でした。
【逆指標なるか】日経平均1010円暴落翌日の日本経済新聞の買い煽り記事が胸につかえる
同記事によると、2000年から2018年度までで、企業(除く金融)の純利益は7.4倍となり、人件費の伸びは3%であるが、配当は5.4倍に増加したとのこと。
株主としての富の成長の方が給料の成長よりずっと速いわけです。だったら資本家になりましょう。
トマ・ピケティが「21世紀の資本論」で指摘している、R(資本収益率)>G(経済成長率)の現象ままです。
企業の稼ぐ利益はどんどんと増加しているのに、その利益は全く従業員へと還元されず、株主へと還元されている現実があらわれています。
2019年も、業績好調の大手企業でも早期退職募集やリストラの記事をよく見かけましたが、従業員を切ってコストカットしても、株主にはちゃんと配当金を出すんです。
こういった統計数字は採用する期間によって数字は結構変わりますので異なる期間にすれば異なる数字になると思いますが、それでも溜まった利益を従業員への給与増額よりも、配当金や自社株買いといった形で株主に還元する割合を高めているのが日本企業の現状です。
また、リーマン・ショック後の日経平均のPBR(株価純資産倍率)は0.83倍であり、歴史的にはここが底値ということです。
いっぽうで現在のPBRは1.17倍です。まだこれだけ見ると安いと言えないこともないのではないでしょうか。
なお、記事の最後に、日本の株式市場は世界の時価総額の4割近くを占めた頃と比べて今や1割になったものの、「世界の株式のなかの1つとして、投資に見合う市場になったのは30年の大きな成果だ」との言葉で締めているのですが、何言っているのか日本語の意味がさっぱりわかりませんでした。
日経の記事はたまにこういった何言っているかわからない時がありますので、新聞の言葉を疑いもせず信じるのは絶対にやめたほうがいいです。
アメリカ市場や中国市場の動向といった外的要因に振り回されるばかりで、アメリカ市場が暴落すればそれ以上に追随して暴落し、国民性を反映してか全く主体性がなく、売買の過半以上を占める海外機関投資家のおもちゃにされている30年も前の最高値を未だに超えることのできない、短期目線の投機家ばかりで占められ長期目線の投資家は醸成されず、本国の日本国民の大半からも敬遠され投資されていない株式市場の成果っていったい何なんでしょうか。
5年で給料が2倍にならなかった人は株を買って株主になろう~日本企業の株主還元が5年で2倍へ