「オニールの成長株発掘法」(著者ウィリアム・J・オニール、パンローリング社)を読みました。大化け成長株銘柄の発掘法について説明した本です。
良書です。
数年前に1度読んでいるので、再読です。
厚い本ですが、はじめの100ページくらいはひたすらチャートが出てきて、少しイライラします笑。
投資本に限りませんが、本を2回、3回と繰り返し読むことで理解が深まります。
投資経験を積むことで知識や体験が増すことで以前は理解できなかったり流してしまっていた記述が具体的なイメージで頭に入るようになります。
この本の内容の主張を簡単に言うと、売上、収益率、ROEが大幅に上昇している企業を見つけ、その企業が機関投資家による買い集めを示す強いチャートパターンを示した時に投資しろ、というものです。
投資を始めた人が個別株を選択する時に、選択基準としてはじめに覚えるのがPERとPBRでしょう。
投資初心者用の本を見ると、PERが20を超えると割高だから20以下のものを選べとか、PBRが1以下のものを選ぶと割安とか、そう言った類のことが書いてあります。
基準としてもわかりやすいし簡単なので、とりあえず知っている株でPER20より下の株を安値と思って買っても、どんどん株価は下がるし、一向に上がらない。そして損失が広がって損切りできない。
PERだけで銘柄を感覚的に選んでいると、そんな経験ばかりではないでしょうか。
オニールは、PERの水準で投資を判断するのは、最高の投資機会を逃すことになると主張します。
PERとは、株価を1株あたりの当期純利益(EPS)で割ったもので、利益の何倍の価格でその企業の株が取引されているかを指す指標です。
これが高いと株価が割高な銘柄となり、低ければ割安というのが一般的な評価ですが、高いものには高いだけの理由があり、低いものには低いだけの理由があります。
巨人の坂本勇人や広島の鈴木誠也など超一流選手は年棒は高額ですが、成績も超一流なんだからそれで当然なのと同じです。
PERが低い銘柄だけ見ていたら、最高の銘柄を常に射程から外していることになります。
例えば、現在では時価総額約100兆円もあるグーグルの株価は2004年9月から2006年初めにかけて約4倍上昇しましたが、その間の平均PERは50〜60でした。
また、かつてゼロックスは1960年にPERが100という数字でしたが、その後株価はなんと3300%も上昇しています。
正しいのは、マーケットなのです。
オニールの本は、多くの人が投資の基本だと思っていることとは反することが書いてあります。
一例を挙げると、以下のような記載です。
- PERは株価の動きと関連性がなく、株式売買には役立たず。見るべきはEPS増加率
- 安い株を買ってはいけない。株は株価が上昇中に買うべきで、下落中に買うな
- ナンピンはNG。買い増しは最初に買った価格よりも上がった時にする
- 株は高値近辺で買うべき。最安値をつけた株なんか買うな
- 配当金やPERなんて気にしていると、最高の銘柄なんて絶対に買えない
- チャートは超重要。チャートパターンは人間の心理を反映しており歴史を超えた普遍的なもの
- 分散投資はするな。分散投資をしているから安全と思うのは錯覚。卵は1つのかごに入れろ
新鮮な驚きを持って刺激的な内容を読むことができます。
この本はかなりチャート分析を重要視しています。
どこかの著名なファンダメンタル投資家が、「私はテクニカル分析をして稼いだ投資家を知らない」と言っていましたが、オニールから言わせればこれは嘘ということになります。
「ピボットポイント」と呼ばれる、大きく上昇を始める前の適切なタイミングで買いに出動するべきであり、チャート分析なしではこれを判別できません。
大化け銘柄が劇的な株価の上昇を見せる前には、決まったパターンがあります。
ほとんどの投資家が実施できない損切りについては、例外なく買値から8%下落した時点で実施することを繰り返し主張します。例外は一切なしです。
もう一度書きます。例外は一切なしです。絶対に損切りしてください。
そもそも、オニールの基準で株を買えれば、マイナス8%の損きりラインまで下落することはほとんどないとのこと。
オニール自信が圧倒的な投資の成績を出している人で、内容は巷にあふれるバフェット本とは趣向が違いますが、「株は高値で買え」という一見常識とは反することを主張する流れは読み物として大変面白いです。
株を買うなら、みんな安値で買いたい。そう思っているからこそ、損をするのだ。誰も高値で株を買うことができない。だからこれそれを実施できる人はマーケットで儲かることができるのだ。
「ワイド・モート」(経済的な堀)とは何か?「千年投資の公理 売られ過ぎの優良企業を買う」
不人気株大歓迎!「テンプルトン卿の流儀 伝説的バーゲンハンターの市場攻略戦略」【オススメ投資本】