古い体育会系の社風の企業から自由な社風の企業に移って無くなった5つのストレス

このブログで何回か書いていますが、僕は転職を経験しています。

転職理由は上司との人間関係が最悪で精神を病む前に逃げたというとてもネガティブで消極的な理由です。

結果として今は比較的安定した精神状態で仕事ができています。

心の健康だけを見ると、転職してよかったと思っています。

ただ、もしあの時もう少し我慢していたら得ることができたもの、転職によって失ったものも当然ありますので、どちらがよかったかはサラリーマン人生が終わるまでは白黒つけることはできません。

前職の企業は、社風としては体育会系でした。

ネットに出てネタになっている猛烈な証券会社のようなカルチャーとまではいきませんが、基本的には年次が絶対で社歴が重視され、上司の言うことは絶対、上司を頂点とするチーム単位という狭い村で常に行動するというかんじでした。

若手の頃にネクタイを付けないで会社に行ったら、直属の先輩社員から、「ネクタイつけたほうがカッコいいよ」と遠回しに言われたものです。

対して今の会社は、社風としては自由な社風に入る会社です。

上司・部下の濃厚な人間関係は比較的希薄な会社です。

新卒絶対主義の従来の日本の伝統的大企業とは異なり転職者の割合も比較的多いので、人間関係も良くも悪くもフランクでドライで、年次とか社歴年数とか謎の権威に従わなければならないということも少ないです。その意味では実力主義なところもあります。

巷ではよく家庭の家事の分担で、冷蔵庫のなくなったお茶を入れるとか、ゴミ袋を出して縛るとか、なくなったティッシュの箱を捨てて新しいティッシュの箱を出すとか、「見えない家事」の負担が男性よりも圧倒的に女性のほうが多くて大変ということを聞きます。

あなたのことが大好きで一生尽くすから、見えない家事はぁたしがぜんぶやるょという可愛くて健気な女性と配偶関係になりたいものですね。そう思います。

いえそういう話ではなくて、体育会系の上意下達の組織から今の会社に移って、そういった直接仕事には関係しないんだけれども「見えない家事」のように確実に負担があってストレスになっていたことが減ったので、それについて列挙していきます。

1 エレベーターの「開」「閉」ボタンの番人をしなくてもよい

前の会社は全国に事務所があったので、通常は地方の事務所である程度の年数を勤務してから見込みがあると本社に呼ばれ本社勤務となります。

本社は大きなビルで、朝のエレベーターは各階停車で全然進みませんし、見たことある顔のおじさんがいっぱい乗ってきます。

エレベーターは、乗り降りするときに誰かが「開」「閉」ボタンの番人をしなければなりません。

下りる人や乗る人が少数でも、ポーズとしてボタンを押すのが通常です。

必然、このようなエレベーターボタンの係は無言の空気で若手がやることになります。

僕は比較的若い年齢で本社勤務となりましたので、エレベーター係にならないわけにはいきません。

偉い人は先に乗ってもすぐに1番奥に行ってしまい、若手社員は先に乗っても後に乗っても気を遣ってボタンの前に陣取って常にその階の最後に下りるという役割を負います。

行先の階につけば「開」ボタンを皆が下りるまで丁寧に押し、下り終わったら「閉」ボタンを押す。この作業を各階で繰り返しです。

朝の混んでいる各階停車のエレベーターでこのボタン係をするのは本当にストレスで嫌でした。

割り切ってその役割を放棄する気概もありませんでした。

当然帰りの時間もエレベーター係になります。

頼むから誰も乗ってくるなと思っていました。

今の会社は転職者が多いし他人に興味のある人も少ないので、エレベーターに乗るときは無遠慮に奥のほうから陣取るし、上司と乗るような場合を除いては積極的に自分がボタン係になることもありません。

朝から無駄な気配りして消耗するのは減りました。

たまに後から顔見知りの年上社員が乗ってきて、あ、しまったと思うこともありますが。

今の会社はそもそも積極的にエレベーター係になろうとする人の絶対数が少ないので、これが自然な行動になります。

地味ですけど、かなり大事ですこれ。見えないストレスが減ります。

2 上司を筆頭にチームでランチしなくてよい

皆さんの会社ではどのようにランチに行くのでしょうか。

前職では、社風としてチーム単位でランチに行くことがデフォルト化していました。

各部の中に課やチームがありますが、チームのリーダーとなる上司と、そのチームの部下みんなで社員食堂に毎日繰り出すのです。

新卒主義の伝統的大企業って、こんなもんじゃないですか。

毎日一緒に行くんですから、話のネタだってなくなります。

だいたい仕事の話になったり他部署の人の話になります。

気を遣って話を振るのも疲れるし、ゆっくり食べることができないし、昼寝もできないし、気の休まるときがありません。

それでも毎日一緒に上司を先頭に列をつくって満員の社員食堂に宿命的に繰り出すんです。

上司と相性が悪いときはもう最悪ですよ、仕事だけじゃなくて毎日ランチも一緒に行くんですから。

なお女性社員はチーム単位では一緒に行かず、部の女性社員みんなで大人数で固まってランチに行くことが定常化していました。

恐るべき同調圧力。これはこれで大変そうでした。

他人と行動したくない人は、1人で朝コンビニで買って自席で食べていましたね。

今の職場では、基本1人で好きなときに好きなとこでランチします。

昼寝したかったらフリースペース見つけて静かに寝ます。自由です。

孤独のグルメがしたかったら1人で街に繰り出します。

転職者が多く、転職者って、何だかんだ前職で心の傷を負っている人が多いので、職番の濃密な人間関係を好みませんし職場の人間と群れようとしません。

同調圧力で集団でランチするイメージが強い女性も、個人で1人1人勝手にランチしています。

同じ部署や同じチームでも、都会のマンションの人間関係のようなもので、互いに近くて遠い存在です。

必然、積極的に上司に外で食事を奢ってもらうという機会は少ないです。

毎日1人だとたまに寂しいので、特定の話せる人を誘って外食したりしてます。

3 他人の電話を取らなくてよい

「3コールまでに絶対電話に出ろ」

若いころはそう言われて電話番でした。

電話はひっきりなしにかかってくるので、いつもどこかの誰かの電話をキャッチアップすることに気がそがれていました。ストレスです。

上司が不在だと言うと、緊急で聞きたいことがあると受けたくもない仕事の話をされ勝手に仕事が増えていきます。それを上司に伝えるとなぜかキレられる。

今の若い人は電話なんかしないでしょうから、まだこういう会社があるなら苦痛のほどを察します。電話のキャッチアップ係も今思い出しただけでも嫌になります。

今の職場は、基本電話をあんまり使用しません。

メールや社内コミュニケーター中心社会です。

メールでビックリマークが使用される頻度も高いです。

自分のことは自分で管理するというのが基本なので、先輩や上司の電話をとれと言われることもありません。

後ろで他人の電話が鳴っていて無視して仕事しても誰も何も言いません。

雑用をしてくれる派遣社員さんもいます。

4 朝の新聞配りがない

朝早く来てしなければならない雑用的な仕事って、どうしてもあります。

今はもうないでしょうが、朝のお茶くみや、その日に届いた業界の雑誌や新聞を陳列したり上役のデスクに綺麗に陳列したり。

朝の残業代も出ないのに、朝早く来てこういった雑用を毎日やっていました。

若手の搾取ですね。

今の会社は、若手でもこういう業務の負担を受けることはないです。誰がやっているんでしょう。派遣社員さんや気が利く人がやっているのかな。

5 飲み会で空いたグラスに心血を捧げる必要はない

会社の飲み会が嫌な人は多いでしょう。僕も嫌いです。アルコール飲めないし。

3か月に1回は異動の季節となり、チーム内送別会、部全体の送別会、そして歓迎会と、前の会社は飲み会だらけでした。よく耐えたな今思えば。

幹事役にも拝命されますし。

飲み会に出れば、上司や先輩社員のグラスの状態を逐一チェックし、空いたら即次のお酒の注文係にならなければなりません。

焼酎のお湯割りとか水割り?とか人生で一回も飲んだことのない謎の液体をその場で作らなければならなくなったり、ただただ苦痛でした。

そして空気的に、なかなか飲み会に参加しないという意思決定をすることは困難です。

今の企業は、飲み会に参加しなくてもモーマンタイです。

そもそも参加する人が少なくて、部長やそれに準じる立場にある人が自ら幹事をすることもあります。

若手社員に無理を押し付けるといったことは皆無です。どこかの広告代理店みたいに社員が芸を出すなんて考えられません。

良い意味で基本他人に関心がありませんので、飲み会に参加しないことによる無言の不利益もありません。

飲み会に出席しても、グラスが空けば上司は自分で注文するし、下の人間が上の人間の面倒を見るという文化がそもそも希薄なので、上の人間のグラスの状態を見ることに心臓を捧げる必要もありません。

そして上司のグラスをしっかり見ろとか、幹事のやり方とか、飲み会の作法をとやかく言われたり指摘されることも一切ありません。

同じように日本の伝統的大企業出身で飲み会にストレスを感じていた同僚とは、飲み会のストレスがなくなって気が楽だと話しています。

また、前の会社では、自分が主役になる飲み会では、翌日に実際に参加者全員のところに直接お礼をして回るという「御礼行脚」がマストの文化でしたが、今の会社は御礼メールをする文化さえありません。誰も何もしません。

12月の年末の最終出社日の午後に、部で社内の納会を実施するときのお酒やお菓子の買い出しに繰り出されるということもありません。

以上、体育会系の社風から自由な社風の会社に移ってストレスが無くなったことを見てきました。

もう一度まとめます。

  1. エレベーターで無駄な気を遣うことがなくなった
  2. ランチは1人で自由にできるようになった
  3. 上司の電話をキャッチすることがなくなった
  4. 雑用係り的な事務仕事がなくなった
  5. 飲み会を何のためらいもなく不参加できるようになった

単純に、だから古い体育会系の会社はダメで、自由な社風の会社のが素晴らしいという二元論で語るつもりはないです。

相性の問題だと思います。

体育会系の会社をディスることばかり書いてきたので1つ弁護すると、「人の面倒を見て人を育てようとする企業文化」、これは圧倒的に前の会社のほうが勝っていました。

社員に投資し、社員を「人財」として見てくれる会社でした。

今の会社は、「人を育てる」というカルチャーが基本ありません。あまりの差に衝撃を感じるくらいです。

こんな会社に新卒で入ってしまったら何も能力が育たないのではないかと感じられます。

なので、必然「人はコスト」という根本思想となり、それが経営者の隠しきれない態度として出てきます。

僕は前の会社の優れた企業文化として染み付いた教育システムの中で培ったものの貯金だけで今の会社で働いています。今は誰も何も教えてくれません。

自発的に英文契約書の読み方を手取り足取り教えてくれることもありません。

それでも、古い会社で新卒からたたき上げの社員の権力が強くて年次が絶対で古い昭和の慣習に嫌気がさしている人は、中途入社が多くてある程度人の流動性のある自由な社風の会社に行くと、雰囲気や働きやすさは劇的に変わると思います。

サラリーマンにとって4月は最もリスクのある月