有給休暇5日義務化は、夏季休暇5日を有給の取扱いに変更して終わりになる?

2019年4月から、企業は従業員に年5日以上は有給休暇を消化させることが義務付けられます。

会社への義務付けなので、従業員が年5日以上有給を取らないと、企業が罰金などのペナルティを負うこととなります。

有給を全然取れない環境の人は、最低5日は年休が取れることになるので、なんとなく嬉しい人も多いのではと思います。

そんなに有給を取らせたいなら、有給未消化の場合は1日あたりの給料の5倍の金額を未消化の従業員に支払わなければならないとかすれば良いのに。

この有給取得義務化ですが、特に夏休みが有給とは別に設定されている企業の大半は、結局何も変わらないままなのではないかと想定されます。

例えば、年20日有給休暇が付与され、6月から10月の間に有給休暇とは別に5日間夏季休暇を取ることができるという会社で考えます。

法令改正により、20日の有給のうち5日はマストで休暇を取ることができます。

夏季休暇は5日なので、計10日はゆっくり休暇を取ることができる計算です。

では、夏季休暇となっている5日を、有給休暇扱いとしたらどうでしょうか。

夏季休暇5日プラス有給20日ではなく、有給25日ということです。

夏季休暇と有給休暇の定義はどう違うのだという細かい問題は置いておきます。ひとまず違う扱いのものだと思ってください。

そうなると、実際は夏季休暇となる有給分5日を取れば5日のマスト要件はすぐにクリアできます。

あれ?なんか変になってきましたね。

従業員にとっては夏季休暇だったのが2019年4月から有給休暇扱いに変わって、従前は夏季休暇だったはずの今は有給休暇と名前を変えたその休みを5日取れば、5日のマスト要件はクリアされてします。

このように夏季休暇の扱いを有給休暇に変更するために社内規程等諸々や社内の休暇制度を変更する。

これが現在多くの日本企業の人事部で展開されている景色ではないでしょうか。

そんな姑息で卑怯なことが通用するのかと声を大にして言いたいのですが、どうもこれは合法のようなんです。

企業にとっては休暇の扱いを変えるという制度変更だけで、実際は従来の運用を維持できるというとても合理的なものです。

これだと従業員が取らなけらばならないトータルの休暇数が法令の改正の前と後で結局変わらないので、なるべく従業員に有給を消化して休みを増やそうという法令改正からは逸脱した運用がまかりとおってしまうのがとても違和感があります。

ということで、法制度は変えたものの結局は企業が自分に有利にギリギリ合法の範囲で制度運用してしまい、結局労働者の休暇日数が増えない結果になったという帰結になってしまうのかなあと危惧しております。

というか自分の会社がこうなったらなんてブラック企業だと思いそう。



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