グーグルやフェイスブックのビジネスに影響か、カリフォルニアで新たな個人情報保護規制が成立

今年の5月25日に、欧州では一般データ保護規則(GDPR)という新しい個人情報保護規制が施行され、欧州でビジネスを展開する企業は対応に追われました。違反した場合の制裁金の最大値はグループの売上げの4%です。純利益ではなく売上げベースの数値です。例えばグーグルの場合年間売上は約12兆円なので、この4%の4800億円が仮に違反した場合の最大の賠償金額となります。

GDPR制定の背景は、グーグルやフェイスブックなどのアメリカ巨大IT企業が欧州の個人情報をユーザーから不透明な形で使用してビジネスをしているのはけしからんというところにあります。

ユーザーが自分の個人情報を、企業に対してコントロールできることを担保させようという狙いがあります。

GDPRの概要については、この記事で書いています

先日、似たような動きがアメリカでも起きました。アメリカのカリフォルニア州でカリフォルニア消費者プライバシー法という州法が成立しました。これもGDPRと同様に、広告ビジネスへの規制を強化する法令です。ユーザーは、どんな個人情報が収集されているのか、誰に自己の個人情報が売られているのか、開示先はどこかを知る権利を持ち、個人情報の販売停止を求める権利もあるようです。フェイスブックなどは個人情報を売って商売をしているので、ビジネスモデル的にも影響が大きいかもしれません。施行は2020年なので、まだ余裕はあります。なお州法とは日本の地方自治体が制定する条例のようなもので、国レベルでの法令ではありません。直近だと東京都が独自に受動喫煙防止条例を制定しましたが、それと同じレベルです。

グーグルとフェイスブックはこの法令に反対するロビー活動を実施していたということです。

今はカリフォルニア州だけですが、時代の流れとして将来的には他の州も同様の規制法令を施行していく可能性が高いように思います。

規制強化でビジネスが制限されるのを嫌気するのか、規制によって対応コストが上がり新規参入が制限されて既存業者のシェア維持に資することになるのか、見方は別れそうですが、僕は後者と考えます。規制とはいつの時代も先行者有利に働く蓋然性が高いと思うのです。

なおこのような個人情報保護規制の強化の流れで、1番潤っているのはその筋を専門とするコンサル会社と弁護士でしょう。GDPRでも、大いにビジネスの種となっています。欧州はGDPRに続き、通信の秘密を守ることを目的とした新たな「クッキー法」の導入を検討していたり、中国でもデータプライバシーに関する法案ができたりと、世界的に様々な規制が新しく生まれているので、しばらくは飯の種に困らないのではないでしょうか。

個人情報保護対応に強いコンサル会社の株は有望だと思います。

 

 



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