【おススメ本】「“普通の人”だから勝てる エナフン流株式投資術」の感想

日本株投資をしている人にはおなじみのブログ「エナフンさんの梨の木」を運営している著者による本「“普通の人”だから勝てるエナフン流株式投資術」を読みました。

エナフンさんのブログは、日本の成長株に投資している方にはバイブル的な存在のブログです。

著者自身も、成長株投資で数億円の資産を築いた実績のある方です。

僕もエナフンさんのブログは日本株に投資している投資歴の浅い頃に読んだことがありますが、内容が難しくてあまり理解できなかったのが正直なところです。

今はアメリカ株がメインですが、初めて買った株は日本株ですし、以前は日本株の中小株投資で資産10倍だぜえっへんと鼻息荒い時代がありました。

結果として大して思い描いた儲けが出ないままメインの投資先をアメリカ株に転進したわけですが、アメリカ株の優位性を信じながらも、今でも日本の成長小型株で1度はテンバガー(10倍株)を達成してみたいという野望は胸の奥底に潜んでいます。

そんな野心家の方には、本書はおススメです。

著者は、アメリカの伝説のファンドマネジャー、ピーター・リンチに影響を受けている方です。そのため、ピーター・リンチの手法を日本の個別株に適用する方法を実施することで成功をおさめています。

ピーター・リンチの本はアメリカ株投資家にもなじみの深いものですが、彼の主張と同様、本書を読んでいても、個人投資家の強みとして、自分が仕事で所属する業界の知識や、自分の趣味の領域の知識、家族がはまっている製品・サービスの知識の活用など、儲けの種は常に自分の身近なところに存在していると主張します。

実際にその方法で5倍株、10倍株を複数達成されているのですから、説得力が違います。

著者の投資手法は、「短期的な株価の変動は完全に無視して長期保有し、企業の成長や業績回復に伴う長期的な株価の上昇を狙う」(本書より引用)ものです。

言葉でいうとものすごく王道投資に感じますが、これを忠実に実践することがどれほど難しいかは投資をしている方はみな感じていることだと思います。

一片の淀みも無く己が道(=割安成長株長期投資)を貫く、簡単なようでなんと難しいことよ by 宇水さん

本書は、割安成長株投資の羅針盤としての役割を果たしてくれる本です。

「この本で紹介するたった1つの方法を実践すれば誰でも簡単に10倍株ゲットだぜ!」というお手軽な内容の本ではありません(そんな方法が存在するわけありません)。

投資の本質というか、株価の変動原因は何なのか、「割安」とは具体的にどのような状態を指しているのか、株価を動かす主体は何であるのか、株価を形成する原理原則は何なのかなど、投資の普遍的な考え方を分かりやすく解説するスタイルとなっています。

例えば金利が上昇するとなぜ株価の下落圧力となるのか、金利が上昇する中で配当利回りが高いという理由だけで高配当株を買うとそれが裏目に出てしまうことがあり、実際に今年のアメリカ高配当株にも該当する現象ですが、それらの解説も登場します。

投資の知識がフレームワークとして整理されます。

一見初心者向けに簡単に記載してありますが、内容はかなり高度なことが書かれており、特に本書のPART3「原理を知る」のところは難解で1回読んだだけでは自分の理解力では腑に落ちずよく理解できないところもありました。

どんな本もそうですが、本書を読んだだけでは何ら投資パフォーマンスは変わらないと思います。

バイ・アンド・ホームワーク(こっちはジム・クレイマーの台詞です)さながら、複数回読み返して本書に書かれているエッセンスを自分なりに咀嚼し、具体的な投資行動に移して試行錯誤していくことで本書の内容が自分の血肉と化していくのだと思います。

そしてそれができる人はたぶん3%もいません。だからこそ少しでも実行に移せばそれだけ大きなアドバンテージです。

なお、コラムで会社四季報の読み方を解説されているのですが、これは大変参考になるものでした。



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